時計であることを主張する異端のスマートウオッチ「wena wrist」の魅力に迫る

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いま、コアなガジェットファンの間で注目を集めているソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」(通称・SAP)。「未来」を生み出す、新発想のデジタルグッズを「組織」や「前例」などといった、“大企業・ソニー”の枠組みに囚われず具現化していこうという試みです。昨年7月にはクラウドファンディングとオンラインストアの機能を兼ね備えた支援サイト「First Flight」もオープン。すでに多くの「未来」が具現化しています。ゲットナビでも、電子ペーパーを使った学習リモコン「HUIS REMOTE CONTROLLER」など様々な注目製品を紹介してきました。

 

今回紹介するスマートウオッチ「wena wrist」も、そんな「未来」のひとつ。いまだ大定番の現われていないスマートウオッチ市場に、新たな回答を突きつけました。今回、短期間ではありますが、それを使用する機会に恵まれたので、そのイノベーションについて、紹介したいと思います。

 

wena wrist(Three Hands/シルバー)

 

 

■機能をあえて3つに絞り込んだシンプルなスマートウオッチ

 

wena wristの最大の特徴は、その見た目。スマートウオッチというと「Apple Watch」に代表されるように、文字盤部分が丸ごとモニタになっているのが普通なのですが、「wena wrist」は一見普通の時計です。いや、じっくり見ても普通の時計。文字盤内にモニタやLEDなどといった表示・通知機能が一切見当たらないのです。

 

wena wrist(Chronograph/ブラック)

 

フツーに格好いいメタルバンドの腕時計。ビジネスシーンやフォーマルな場にはふさわしくないと言われているスマートウオッチですが、これなら問題にならないでしょう。

 

 

では、この製品はどのあたりが「スマート」なのでしょうか?その答は、バンド部分に隠されていました。wena wristは腕時計本体ではなく、バンドの部分に通知LEDランプやおサイフケータイ機能などといった、各種スマート機能を組み込んだのです。まさにこれこそ「逆転の発想」。そしてさすがはソニーの技術力と言えるでしょう。

 

 

wena wristは、「むやみに多機能を追い求めず、厳選した3つの機能を搭載」(公式Webサイトより)。1つは留め金部分に内蔵された内蔵されたFeliCaチップを使ったおサイフケータイ機能、1つは同じく留め金部分に内蔵されたLEDとバイブレーターを利用した通知機能、1つが歩数や消費カロリーを記録する活動量計機能です。「Apple Watch」やAndroid wearのようなアプリ機能はありませんが、現時点でそれらがほとんど活用されていない現実を考えると、確かにこの割り切りが正解に思えます。

 

 

特にiPhoneユーザーに取ってはおサイフケータイ機能がうれしいところ。これまで諦めていた、そして今後も実現されなさそうなおサイフケータイ機能をスマホとは別のかたちでウェアラブルできるようになるのです。もちろん残高などはiPhone側から確認可能。現時点では以下の6サービスに対応しています。

 

  • dポイントカード(NTTドコモ)
  • Edy(楽天Edy)
  • iD(NTTドコモ)
  • QUICPay(ジェーシービー他)
  • スマートフォンSKiPサービス(ANA)
  • ゴールドポイントカード(ヨドバシカメラ)

 

使い方も簡単、無料アプリ「おサイフリンク」でwena wristにサービスを登録するだけでOK。あとはレジやカウンターでリーダーにかざすだけでピピッと会計などが完了します。

 

※記事執筆時点ではこの「おサイフリンク」アプリはiOS端末向けにのみ提供中。Androidスマホでは「wena wrist」に各サービスを登録することができません。ただし、First Frightでは、有料の楽天Edy初期設定代行サービスを提供中(購入時のみ)。こちらを利用することで、現在利用中の楽天Edy IDを紐付けすることが可能です。

 

 

バンドの留め金部分をリーダーに近づけるだけで決済完了

 

自販機の場合、左手の内側をリーダーにかざす操作がちょっとやりにくい面はあるものの、財布などを取り出すことなくジュースが買えました。これはちょっと感動モノ。残高が足りないなど、エラーが起きた場合は内蔵バイブレーターがブブッと振動して伝えてくれます。

 

ただし、Suicaなどの交通系電子マネーには非対応なのはものすごく残念。現時点では定期代わりに使うことはできません。また、仮に使えるようになったとしても(「おサイフリンク」のこれまでの状況を考えるとかなり難しそう……)、左手首に装着した腕時計を、右側にある改札のリーダー部分にタッチするのがかなり辛そうですね。これは人によってはかなり大きなマイナスになるでしょう。個人的に、非接触型決済を最も利用するのが駅の改札なので、これにはかなりガッカリしました。

 

「おサイフリンク」画面。各サービスの登録内容(残高など)を確認したり、チャージしたりもできます

 

 

■相手に不快感を与えない優れた通知機能

 

もう1つの目玉機能である「通知」機能については、シンプルながらも機能的には充分。メールやSNSなどの着信通知を光と振動で伝えてくれます。モニタを搭載していないため、届いたメールの具体的な内容までは確認できないのですが、従来スマートウオッチでも内容を見たい場合はスマホを取りだしていましたから、そこはさほど重要ではないと感じました。

 

メールなどを受信すると留め金部分のLEDが点灯&振動

 

通知設定は専用アプリ「wena」でカスタマイズ。アプリごとに光の色を変えることもできます

 

そして、実際に使って意外なメリットだと感じたのは、通知領域がバンドの留め金部分、つまり腕の内側にあるため、自然な体勢で通知内容を確認できること。従来スマートウオッチでは画面を見るために、手首の外側を顔の方向に向ける動作が必要だったのですが、wena wristではわずかに目線を下げるだけで通知内容を確認できるのです。

 

これは重要な会議中や、取引先との商談中など、よそ見をしにくいシーンで効果絶大。相手に不快感を感じさせることなく利用できるのはとても良いことですよね。

 

ほか、活動量計機能では、あらかじめ設定しておいた目標歩数を達成するとバイブで報せてくれるなどといった機能を用意。スマホと連携していない状態でも最大5日分の歩数データを保存しておくことができます。脈拍の測定などはできないなど、本気のフィットネスには機能不足なのですが、毎日1万歩は歩くようにするなど、ちょっとした健康サポートであればこれで充分でしょう。

 

 

■これがスマートウオッチの「最適解」?

 

現状、あのアップルですら苦戦しているスマートウオッチの世界。wena wristは、その状況下で、あえて“腕時計寄り”の回答を提示した製品と言えるでしょう。ギリギリ必要最低限の機能を、これまで通りの腕時計に内蔵するというアイディアは、誰もが思い付くようで、誰も実行してきませんでした。また、機能を絞り込むことで、従来スマートウオッチと比べて長時間利用できるようにしていることもポイントです。バッテリー駆動時間は公称「約1週間」。実際、今回の仕様でも、約1週間弱、一度も充電することなく乗り切ることができました。

 

また、デザイン面で優秀なのも特筆すべき美点。今回は試用した「Three Hands」モデルのほか、「Chronograph」モデルも用意。本体カラーもシルバー、ブラックの2色から選べます(ほか、限定で「Three Hands」ホワイトモデルを用意)。

 

Three Hands(左)とChronograph(右)に、それぞれシルバーとブラックを用意

 

通知機能やおサイフケータイ機能が欲しいが、おもちゃみたいなスマートウオッチは身につけたくないという人にまず試してみていただきたいですね。交通系電子マネーに対応していなかったり、Androidスマホ用の「おサイフリンク」アプリが提供されていなかったり、困った問題も少なくないのですが、現時点では、実はこれが正解なのかも?

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