進学塾経営者が感じる「成績が上がる生徒・上がらない生徒」の共通項

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後藤 高浩

進学塾経営者が感じる「成績が上がる生徒・上がらない生徒」の共通項

10月のGSテストの結果が戻ってきました。1人ひとりの成績や志望校合格率をじっくり見ていたら、あっという間に1時間以上が経過してしまいました。先月もそのことを感じましたが、今月はさらに成績の変動が大きいようです。夏に頑張った分が結果となって表れて来る時期であると同時に、秋になってからの勉強量・気持ちの入り方の差が大きいことが要因になっているのだと思います。

 

どの学年も、全体として1学期よりは成績が上がってきています。ほとんどの学年が、全員全科目の平均で偏差値60を超えています。特に成績上位の生徒たちがさらに伸びているのが目につきます。小6と中3では、全国数千人の中で2位(男女別では全国1位)の生徒が出ました。そういう生徒がいると、周りも良い方に引っ張られるケースが多いのですが、やはりそれに続く生徒たちも成績が上がってきています。

 

非受験学年のクラスも全体的には成績が上がってきていて、全国で上位を争っている生徒たちが多いのですが、まだ小6・中3ほどには目の色が変わっていません。少し成績が上がったら安心してしまい、「上には上がいるのでそのライバルたちを倒そう!」というテンションになってこないのです。特に小5・中2の生徒たちは、そろそろ受験生としての意識を持たせなくてはならないので、気合いの入れどころだと考えています。

 

GSは成績順で2クラスに分かれている学年が多いのですが、その2番手クラスの上位の生徒たちで飛躍的に伸びてきている生徒がいます。上位クラスの真ん中くらいの位置に一気に上がってきた生徒もいます(学年によってはクラス替えを行いました)。

 

全体的には成績が順調に推移している一方で、クラスで何名かずつは苦しい状況(成績が横這い&下降)に陥ってしまっている生徒もいます。当然、生徒面談や保護者面談の中で、改善すべく様々働きかけを行っているわけですが、やはりそれらの生徒にはいくつかの共通点があることが見えてきました。

 

 

入試が押し迫って来たこの時期に、成績が上がる生徒と上がらない生徒について、その特徴をまとめてみます。個人情報の問題があるので、現在在籍している生徒の事例に限っていないことと、多少状況を変えている部分があることをご承知おきください。ただし、これにより、ある一定の共通項はお伝えできると思います。

 

■成績が上がる生徒

●目標が明確になっている
やはりこれは大きいですね。志望校が明確になっているというようなレベルではありません。「絶対に自分は〇〇中学(高校)に合格する」と決めている節があります。スタート時の成績はあまり関係ありません。志望校のラインにかなり足りない生徒でも、そういう強い意志を持っている生徒は必ず成績が上がってきます。本気で勉強を始めても、すぐに結果につながるわけではありません。そういう時でも、ブレずに我慢して努力を続けることができるのです。

 

●志望校合格がゴールではないということを理解している
単に、目先の合格だけを追い求めていないことも特徴です。何のために今、受験勉強を頑張るのか、その学校にどうして行きたいのか、将来自分はどういう方向で頑張っていきたいのか、このあたりをしっかり認識している生徒が多いです。必ずしも、将来の大学の学部や職業まで明確になっている必要はありません。「今目の前で取り組んでいる受験がゴールではない」ということがよく分かっているのです。

 

●今の自分の状況に満足していない
全国トップレベルの成績を取っている生徒たちも、あまり嬉しそうではありません。95点を取っても、100点を取れなかったことを悔しがっていたりします。だからこそ、その5点分が血肉となって、次につながって行くわけですが……。「次は5教科で500点を目指します!」というようなことをサラッと言ってのけたりします。

 

●楽しそうに勉強している
楽しそうという言葉はちょっと正確でないかもしれません。イヤイヤやっていないという方が近いかもしれません。ストイックに淡々とやるべきことをこなしているということです。余計なことを考えていないので、当然勉強量も多くなります。授業中の様子で一番違うのは、目力・表情です。力のある講師は、成績を見なくても、(授業中や生徒面談の時の)生徒の目を見るだけでこの生徒は伸びかどうかがたいたい分かります。

 

こういうことを書くと、「成績が良いから(上がっているから)楽しそうに勉強できるんでしょ?」という声が聞こえてくるのですが、もし一瞬でもそう考えてしまった生徒や保護者の方は、その思考が成績を上げるための阻害要因であることを理解してください。

 

 

●周りのことはあまり気にならない
特に、友達関係においてそのことを強く感じます。常にマイペースで、周りの生徒たちのことをあまり気にしていません。成績の勝った負けたという意識もあまりないですし、あくまでも自分が納得できているかどうかを重視しているようです。

 

当然、友達に悪い影響を受けることもあまりありません。この時期、特に学校では様々足の引っ張り合いが始まることがあるのですが、そういうところからうまく身をかわす術を身につけている生徒が多いです。

 

●勉強だけしているわけではない
これはGS特有の特徴なのかもしれませんが、ガリ勉タイプの生徒はあまりいません。バリバリの体育会系の生徒も多いですし、文科系も含めて何か勉強以外のことにも打ち込んでいる(いた)生徒の方が、受験生のこの時期には伸びるような気がします。さすがに(小6・中3の)この時期になると、運動や他のことはストップしている生徒がほとんどです。だからちょっと体重が増加気味の生徒が多いのですが、これはとても良い傾向です。ダイエットなどしている生徒はだいたいうまくいきません(これは経験則で確かに言えることです)。

 

この時期最悪なのは、スマホやゲームに時間を取られている生徒です(GSではほとんどいないと信じていますが……)。

 

●親子関係が良好
これは本人だけの問題ではありませんね……。この時期親子バトルをしている生徒は、成績が停滞する場合が多いです。特に小6・中3の生徒は、ここから3ヵ月の精神状態がそのまま結果に結びついてしまうので、注意が必要です。

 

この時期成績が大きく上がっている生徒は、良い意味で親子のコミュニケーションが取れているケースが多いです。どちらかと言うと「勉強は子どもに任せていますから……」とおっしゃるご家庭が多いのですが、受験校の確定や子どもが悩んでいるようなタイミングでは、的確なコミュニケーションを取っていただいていたりします。ひと言で言うと、子どもが安心して受験勉強に向かえているかどうかが大きいのです。

 

 

■成績が上がらない生徒

当然、成績が上がる生徒の類型と反対の項目が並ぶことになるわけですが、視点が異なる部分もあるので、改めてまとめてみます。

 

●受験校が決まっていない
明確な目標を持って、それを達成するために邁進していなくてはならない時期を迎えているわけですが、その根本が揺らいでいる生徒はうまくいきません。成績がまったく足りないのに、まだ憧れ程度の夢を見ていたり(この時期は可能性が0に近い学校についてははっきりそう伝えています)、学校見学に行って、「あっちがいい、ここはダメ」とか言っていたり(そんなことはもっと早い時期にやるべきことです)、とにかく腰が落ち着かないのです。

 

この時期は、自分が実際に受ける学校の過去問をやり込んでいかなくてはならない時期なのです。GSの生徒たちには、「過去問管理シート」を持たせて取り組ませていて、その出来具合を点検しています。この時期に受験校が決まっていなければ、その部分でも乗り遅れてしまうわけです。

 

●トレードオフの関係を持ち出して言い訳をする
あっ、すいません。トレードオフというのは一般的な言葉ではありませんね……。簡単に言うと、「~だったので、~ができなかった」という言い訳が増えてくるということです。「学校行事が忙しくて勉強ができない」とか、「〇〇の科目を頑張っていたので、〇〇の科目に時間が回らなかった」とかいう感じのことを言っている生徒のことです。中1・中2生でも、部活を言い訳にしている生徒は伸びません。「そんなもん、自分で決めたんだから全部きちんとやれよ!」ということです。決してトレードオフの関係ではありません。

 

入試の時期は決まっていて、待ってはくれません。当日に点数を取らないと、その学校に入学することはできないのです。やるべきことの総量と残された時間はみんなに平等です。いかに言い訳を排除して頑張っていくかが勝負の分かれ目になります。

 

●無駄な時間をかけている
効率の悪い勉強をしている生徒は、この時期になって成績が停滞してきます。ノートまとめに意味なく時間を使っていたり(色をたくさん使ってきれいなノートを作っている生徒は要注意です)、分からない問題1問にかなり時間をかけてしまったり、入試に出ないことを延々とやっていたり……。

 

過去問の取り組みについて、特にそれが顕著になります。どういうシチュエーションで解いて、誰が採点して、やり直し・復習をどんな風にやっているかという部分です。この時期に、過去問の本やノートを持って廊下や職員室をウロウロしている生徒は、だいたい状況が良くない生徒です。理由を考えてみてください。

 

 

●「自信がない」が口癖になっている
言葉に出さなくても、ずっとそう思っているのであれば同じです。そういう生徒たちに、「なんで自信を持てないの?」と聞くと、決まって「やってもやっても成績が上がらないから」とか、「みんなができることを自分だけできないから」というような返事か返ってきます。しかし、私が見ている限り、まったく因果関係が逆である生徒の方が多いです。そんなことを言いながら(考えながら)やっているから、成績が上がらないのです。常に言い訳を用意してやっている状態なのですから、うまくいくわけがありません。

 

なかには、「自分は成績が上がらない、きっと合格できない」というような自己暗示をかけながらやっているような生徒もいたりします。この時期に、そういう生徒たちの目を覚まさせるのは簡単です。「本当に受かりたいのかどうか」を迫ればいいのです。「自分は本当に合格したいんだ、だからやるしかないんだ」というところに行き着くことができれば、劇的に変わって取り組み出せるようになる場合が多いです。

 

●友達に足を引っ張られている
特に小学生で、中学受験をしない学校の友達と仲が良い生徒は要注意です。日々の行動の基準が違うわけですから、同じように遊んでいたり、連絡を取り合って無駄な時間を使っていたりすると最悪です。特に成績が思わしくなくなってくると、受験から逃げたいという気持ちもあり、「公立中にあの子たちと一緒に行けばいいか……」というような雰囲気になってしまったりします。

 

それは中学生についても同じことが言えます。本気で受験勉強に取り組んでいる生徒とそうでない生徒に2分されるので(中学校によっては後者の方が多いところも……)、どういうグループに属しているかはとても大きいのです。女子生徒に多いのですが、この時期不安が大きくなってくるので、その不安を周囲にまき散らす「かまってちゃん」があちこちに出没します。そういう生徒には近寄らないことです。不安が伝染してしまったり、とにかく時間を無駄に奪われます。

 

私は、「友達は選べ!」ということを常に発信しています。こういうことを書くから、後藤は冷たい奴だとか言われてしまうわけですが(苦笑)、このブログで毒にも薬にもならないことを書いても意味がないでしょう……。「みんなで仲良く」ということはお題目としてはいいのですが、受験や将来にとってマイナスになるような関係を大切にしていくのはナンセンスです。外に目を向ければ、自分の成長につながるような環境もあるはずです。そういう意味では、やはり塾の選び方、そして塾の利用の仕方がとても重要なのだと思います。

 

●親子関係が最悪
すでにお伝えしましたが、この時期この部分はとても大きいと思います。生徒が塾に来た時に様子がおかしい場合は、だいたい来る前に親子バトルをしています。よく毎日毎日飽きないなぁと感じてしまうご家庭もあります(ました)。中学生の場合は母親vs女の子、小学生の場合は母親vs男の子のケースが多いのですが、週末になると父親を交えたバトルに発展することになったりします。中学生の場合、お父さんとの距離がとても遠い生徒も多いのですが、それも良し悪し両面があります。「ここはお父さんの出番なんだけどなぁ……」と感じる場面で、ご協力いただけるかどうかがポイントです。

 

簡単に言うと、保護者の方が子どものことを信頼できているかが大きいのですが、もちろん信頼できないようなことを子どもがしている場合もあります。これを言ってしまうと身も蓋もないのですが、受験期になって慌てて親子関係を修復しようとしてもなかなか難しいのです。小さいお子様をお持ちの方は、今のうちからぜひ良好な関係を築いておいてください。受験期になってどうにもならない場合は、我々塾の講師が間に入って取り持つ羽目になったりします。今までに家庭訪問をしたことも数え切れないくらいあります。

 

もう一つ付け加えておくと、お父さんとお母さんの仲が悪いと、確実に子どもにとってマイナスになります。子どもの前でそういう場面を見せなかったとしても、子どもたちには伝わっています。せめて受験直前期くらいは、お願いしますよ!

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後藤 高浩

株式会社ジー・エス代表取締役 GS進学教室代表 東京都八王子市で進学塾を運営する傍ら、学校や塾の先生対象の講演・研修に携わる。最近は、就職活動で苦しんでいる大学生の支援にも注力している。

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