【今週のカレイライフ】認知症高齢者が外出先で行方不明!? 離れて暮らす家族にできることは?

人間関係

 

認知症介護の課題のひとつになっている「徘徊」問題。2016年に警察庁に届出があった行方不明者のうち、認知症が原因だった人は1万5432人。2012年から4年連続で増え、過去最多を更新し続けています。

 

「認知症による行方不明」というと、かなり認知症が進んでいる状態をイメージしますが、実際には「軽度なのでまだ大丈夫かと……」「年相応にもの忘れはあったけれど、認知症でないと思っていた」など“予想外”のケースが多数。

 

実は筆者も、つい先日、ケアマネージャー(以下、ケアマネ)さんから「お母さんがいなくなりました」と連絡を受け、仰天した一人です。離れて暮らす義理の両親がいずれも認知症だと判明したのは今年5月。訪問介護(ヘルパー)に訪問看護、デイケアと介護保険をフル活用し、認知症ながらも落ち着いた暮らしを取り戻しつつあった矢先のことでした。

 

1)「認知症徘徊高齢者SOSネットワーク」に連絡

まず、最初にしたのは「認知症徘徊高齢者SOSネットワーク」への連絡です。これは、徘徊が心配な人の情報を事前に登録しておくと、いざというときに警察や市区町村役所、地域包括センターなどが情報共有し、早期発見や安全確保、家族への連絡につなげてくれる仕組みです。

 

「近所で迷子になっちゃったの」という話は、ときどき義母から聞いていました。義母は携帯電話を持っておらず、固定電話でも、自分でかけられるのか怪しい状態です。いずれ必要になるだろうとSOSネットワークに登録しましたが、翌月に利用することになるとは思っていませんでした。

 

2)いなくなったときの様子をヒアリング

SOSネットワークへの連絡をケアマネさんに依頼した後、改めて義父に電話をかけ、はぐれたときの状況を聞きました。が、が、何といっても義父も認知症。はぐれた時間も場所も、そもそも外出理由もぜーんぶあいまい。ただ、幸いなことに義父は落ち着いていました。「あちこち探しながら家まで帰ってきたんですけど、家内がいないんですよねぇ」とのんびり。

 

中途半端に不安にかきたて「俺も探しに行かねば」なんてことになるとダブル徘徊時間発生! になりかねません。情報収集は早々に諦め、こちらもなるべく、のんきそうに聞こえる声のトーンを意識しながら、「帰ってきたらお電話くださいね~」と電話を切りました。

 

3) はぐれた駅で構内アナウンスを流してもらう

続いて連絡したのは、義理の両親がはぐれたという駅です。都内のターミナル駅でした。はぐれてからすでに数時間経っているため、移動した可能性が高そうでしたが、転倒や転落その他、何らかの事情で駅構内にとどまっていることも考えられます。「念のため、駅にも連絡をお願いします」とケアマネさんに言われ、問い合わせ先を探しましたが……どこにかければいいのかわかりません。

 

JR東日本公式サイトにある「Q&A検索」で、「徘徊」を検索してみたものの、「該当データはありません」。結局、「JR東日本お問い合わせセンター(お忘れもの)」にかけました。電話口で事情を説明。そもそも、どういう対応をしてもらえるのかもわからないまま電話をかけたので、まどろっこしいやりとりになりました。結論としては、駅でやってもらえるのは構内アナウンス一択。ただし、そこに到達するまでに繰り広げられるエクスキューズの多いこと、多いこと……。

 

「携帯電話はおもちではないですか」はまだしも、

「駅構内にはいらっしゃらない可能性もあるかと思います」

「駅構内にいらっしゃらなければアナウンスは聞こえません」

「アナウンスが流れても、お聞きにならない可能性もあるかと思います」

「改札口までお越しくださいといっても、ターミナル駅の場合ですと、改札口がたくさんあって、おわかりにならない可能性もあります」

 

などなどなど。悪気はないのはわかっています。業務上、伝えなくていけないこともあるでしょう。でも、率直に言って、御託はいいから、早よアナウンスしてくれや……と脳内昇り龍が大暴れ。さらに「どうアナウンスするかは文面をお考えください」のダメ押しが続きます。イーッッとなりながら、考えた文面がこちらです。

 

「●●●(自宅の最寄り駅)からお越しの×××さん(義母のフルネーム)、ご家族からご連絡が入っています。お近くの係員までお声がけください」

 

4)警察に捜索願を提出

さて、ひと通り連絡したところで、17時。ケアマネさんと相談し、ひとまず1時間待ってみることにしましたが、18時になっても、義母の行方はわかりません。外は真っ暗。いよいよ警察に捜索願いかと覚悟しました。

 

警視庁「」によると、

 

ご家族等が行方不明者になられた場合は、すぐに110番をするか、警察署に届出てください。

行方不明者が行方不明となった時における住所又は居所を管轄する警察署

行方不明者が行方不明となった場所を管轄する警察署

行方不明者届を届出る方の住所又は居所を管轄する警察署届出の際は、行方不明者の写真、印鑑、関係資料(行方不明者の残したメモ、手紙等)をお持ちください

 

義母の写真をカラー出力し、警察署に向かう途中、義父から「家内が帰りました!」と電話がありました。どうやら、はぐれた後、そのまま遠く離れた市民墓地にお墓参りに行っていた模様です。「お父さまはどこにいらしたの?」と帰ってきたそう。マイペースですか。

 

というわけで、今回は捜索願いを出さずにすみましたが、またいつ必要になるかわかりません。義理の両親の写真は封筒に入れ、SOSネットワークに提出した書類の写しと合わせて「捜索願いセット」として保管しておくことにしました。次回の冒険はなるべくご近所で、せめて登録しているSOSネットワークのエリア内でお願いしたいところです。

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老年学研究者

島影真奈美

「定年後の備えラボ」主宰/編集&ライター 年金から保険、住まい、健康など“定年後”にまつわる不安や悩みを幅広く蒐集。快適なシニア生活と世代間コミュニケーションにまつわる研究・考察を行う。『定...

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