医師が指摘する「“コーヒー浣腸”も“腸内洗浄”も効きません!」

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今村甲彦

医師が指摘する「“コーヒー浣腸”も“腸内洗浄”も効きません!」

(産経ニュース)

 

「腸内洗浄で肌改善」などとうたった無許可の医薬品「カフェコロン」を販売したなどとして、警視庁生活環境課は、旧薬事法違反(広告、販売、貯蔵)容疑で、東京都中央区の医薬品販売「ディーセントワーク」元社長、吉沢三代子容疑者(70)ら女3人を逮捕した。同課によると吉沢容疑者は大筋で容疑を認め、ほかの2人は一部否認している。

 

同課によると、カフェコロンの主な原料はコーヒー豆。専用器具で肛門から注入して使うことから“コーヒー浣腸”として知られるが医学的な根拠はなく、腸を傷つける危険性があるという。同課の聴取に対し「腸がむくんで自主排便できなくなった」など健康被害を訴えた顧客もいた。

 

カフェコロンは平成14年から販売開始。押収したパソコンの記録から、少なくとも昨年8月までの約4年8カ月間で、16億円の不正な売り上げがあったとみられる。

 

逮捕容疑は昨年8~10月、福岡県の女性ら5人に未承認医薬品の洗浄液30本付きの腸内洗浄セットを、5セット(4万7520円)販売したなどとしている。

 

はっきり言いましょう。

 

“コーヒー浣腸”は効きません!

 

“腸内洗浄”も効きません!!

 

未承認医薬品の“コーヒー浣腸”とありますが、そもそも“腸内洗浄”自体が医薬品ではありません。医薬品とは、病気の診断・治療・予防に効果がある薬品のことです。

 

●医薬品

 

医療用に供される薬品。旧・薬事法によって次のように規定されている。(1)日本薬局法の医薬品各条に規定のもの、(2)ヒトまたは動物の疾病の診断、治療または予防に使用することが目的とされているもので、器具器械でないもの、(3)ヒトまたは動物の身体の構造、機能に影響を及ぼすことが目的とされているものであって、器具器械、医薬部外品、化粧品でないもの。

 

「ブリタニカ国際大百科事典」より

 

腸内洗浄をやっているまともな医療機関なんてないのです。効果がないので保険適応となっていません。お金儲けのために、消費者をあおってやっているだけです。

 

腸内洗浄を推薦する博士もいるようですが、医師や博士なんてごまんといます。聞いたことがない大学がたくさん存在するように、学会なんてもうさんくさいものもたくさんあります。論文といっても、まともな学会が認めたものでなければ怪しいものもたくさん存在しているのです。

 

腸内洗浄をやっている施設の謳い文句に、「長年腸内に留まり排出できなかった老廃物や宿便を取り除くことができる」とありますが、「ありえない」というのが大半の医師の意見です。「長年腸内に留まり」って、水道管じゃないんだし、そもそも人間の腸は、下から新しく増殖した細胞が出来ていき、古い細胞が剥がれ落ちていくものですから、こびりついたヘドロのようなものは腸に存在してはいないんです。

 

 

大腸カメラで見ても、宿便なんてものはありません。腸内洗浄液を飲むと腸の中はピンクで、長年へばりついた便なんて見当たらないのです。腸内洗浄できれいになる範囲も限定的です。腸洗浄だけで大腸カメラしても、肛門から20~30センチの部分までしかきれいになっていません。

 

人間の腸は、入ってすぐにS状結腸があり、腸がSの字に曲がっているので、肛門から腸全体を洗浄するのは物理学的に無理です。腸内洗浄をやって腸を傷つけたりして事故を起こしたりするのも、そのあたりの解剖学的知識がないからでしょう。

 

あえていえば、腸をきれいにする一番の方法は、大腸カメラの洗浄液を飲むことでしょう。大腸カメラの洗浄液は、便を洗い流す能力が抜群なので、腸全体をきれいにすることが可能です。

 

ただ、腸を洗い流せば健康になるわけではなく、むしろ善玉の“腸内細菌”を増やして腸内環境を整えたほうが健康的と言えます。「善玉菌となる発酵食品を摂り入れる」「食物繊維を多めに摂る」「肉食は控えめに」「適度に運動する」などを心がけたほうが効果的です。

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今村甲彦

医師。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。久留米大学病院高度救命救急センターを経て、現在は地域の中核病院で内科診療および内視鏡検査に励む。「患者さんの声に常に耳を傾...

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