なぜ乳児に蜂蜜を与えてはいけないのか?

ヘルス・ビューティー

今村甲彦

なぜ乳児に蜂蜜を与えてはいけないのか?

乳児に蜂蜜を与えてはいけないということを聞いたことがありませんか?

 

理由は、蜂蜜の中には、ボツリヌス菌が混在している可能性があるからです。乳児には、生の蜂蜜を与えると危険です。

 

では、この問題となるボツリヌス菌について解説していきましょう。

 

ボツリヌス菌は、土壌や河、湖、川の泥砂中に分布しています。酸素が嫌いなので、缶詰、瓶詰、真空パックなどで増殖します。ボツリヌス菌は食中毒を起こす可能性がある菌です。1984年には、真空パック辛子レンコンで、多数の中毒者を出したこともありました。ボツリヌス菌には神経毒があり、呼吸筋が麻痺して、呼吸困難で死亡することもあるのです。ちなみに、この事故が原因で辛子レンコンは真空パックがなくなり、賞味期限が短くなっています。

 

乳児に蜂蜜を与えてはいけないというのも、蜂蜜中に芽胞という形で休眠したボツリヌス毒素がいることがあるからです。蜂は自然界から蜜を集めてくるので、ボツリヌス菌が混合する可能性は十分あります。

 

 

成人が生の蜂蜜を食べても、ボツリヌス菌の芽胞は、芽胞のままウンチとして出るので大丈夫です。しかし、乳児では腸内細菌が未熟なため、発芽して毒素を出すことがありえます。イメージとしては、特定の環境下においてのみ、植物の種が殻を破って発芽するようなものです。1歳以上になれば、腸内細菌は十分発達しており、発芽して毒素を出すことはないので大丈夫です。

 

こわい菌ですが、熱に弱いので加熱すれば毒素を破壊することができます。100度以上で10分間は加熱した方が良いでしょう。毒素の摂取量や個人の感受性で食中毒になる人とならない人がいます。

 

ちなみに、潜伏時間は12~24時間で、治療はボツリヌス抗毒素血清を投与します。

 

最近では、逆にボツリヌス菌の細菌毒を有効利用して、医療の分野での活躍が期待されています。ボツリヌス菌は筋肉を緊張させている神経を抑える作用があります。しわ取りなどの美容整形や、脳卒中後に硬くなって動きが悪い筋肉(痙縮)をやわらかくする治療などにも利用されています。

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今村甲彦

医師。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。久留米大学病院高度救命救急センターを経て、現在は地域の中核病院で内科診療および内視鏡検査に励む。「患者さんの声に常に耳を傾...

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