「中学生の約2割が運動嫌い」の裏にあるのは「体育の授業」嫌い!? 体育の目的ってそもそも何?

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■学校が“スポーツ嫌い”を増やしている!?

 

ネット上で「スポーツ嫌いの原因は、体育の授業だ!」という声が上がっています。調べてみると、運動やスポーツが「嫌い」か、「やや嫌い」だと答えた中学生は16.4%に上ったという記事がありました()。

 

中学生の約2割が運動嫌いとは! ……問題は深刻です。スポーツ庁が「スポーツ嫌いを半分にする」目標計画を発表すると、「そうやって強要するから余計に嫌いになるんだ!」と、またもやネット上は騒ぎになりました。

 

 

■体育嫌いを生む3つの要因とは?

 

文部科学省が学習指導要領に定めている「体育の目標」を簡単にまとめると、こうです。

 

  • 運動を実際に経験し、生涯にわたって運動に親しめるようにしよう
  • 健康や安全についての知識を得よう
  • 健康的な生活ができるように体力をつけよう

 

これだけ見ると、そんなに問題があるようには思えないのですが、もう少し深めてみると、体育嫌いを増やす3つの要因があることに気がつきました。

 

まず、記録です。小学校高学年からは記録への挑戦という面も要求され、数値というわかりやすい形で他人との違いが見えるようになります。「自分は人とは違う……」と恥じる気持ちが、体を動かすこと全般への拒否反応につながります。

 

次に、集団の視線です。中学年ともなると、人目が気になるようになりますし、高学年になれば、スポーツができる子・できない子の差が広がります。にもかかわらず、集団の視線の中で“できないこと”を披露しなくてはならないのですから、拒否反応が強まるのも理解できます。

 

最後に、団体行動の強制です。「みんなで何かを成し遂げよう!」という錦の御旗を揚げられると、異論を唱えることは不可能です。以前、話題になった組体操を思い浮かべるとわかりますが、1人の失敗が全体の失敗に繋がる緊張感……「空気読めよ」という雰囲気の中で、運動ができないばかりに迷惑をかけてしまうという不安は、もう恐怖です。

 

 

■根強い「体育は、ちょっとビシバシやってほしい」という声

 

「それならば、記録や実技の成果を求めないようにしよう! みんなで何かを目指すのもやめよう!」となるでしょうか。もし、そうなったら、「いいの?」という保護者も少なくないと思います。

 

このあたりのバランスは、個々の事情によりますが、特に体育の授業は、心と体の鍛錬という、過去の軍隊的精神論を引きずっているように私は感じます。「体育は、ちょっとビシバシやってほしい」という声は、教師だけでなく、保護者の中にもあるのです。

 

 

■本当に必要な「体育」は誰でも、5分あればできる

 

本音を言うと、私は体育という授業が必修でなくなっても構いません。が、現実には変わらないでしょう。ならば、授業という観点にとどまらず、本当に必要な「体を育てること」とは何か、と考えてみます。

 

体を動かすことの価値は心を広げることにあると、私は思います。体を動かすと、心が爽快になります。元気だから体を動かすのではありません。体を動かすから元気になるのです。そして、自然と他の人と心がつながります。

 

私の勤める小学校では、全ての休み時間、外に出ることになっています。その時、これをしなさい、と強要はしません。学校は、「外に出る、体を動かす」という場を整えますが、その後は子ども達の意志です。そして、先生も一緒に遊びます。先生も一緒なので、心配な子も安心できます。先生がいるならやってみよう、ということは、低学年ではよくあることです。

 

体を動かすことは、運動能力を育てたり、体力をつけたりするのに、とても効果的です。それだけでありません。次の授業の集中力を高め、子ども同士、子どもと先生の関係が自然と深まるなど、素晴らしいことだらけなのです。にもかかわらず、体育の授業が子ども達を運動から遠ざけている以上、大いに改善の余地があります。軍隊的精神論から離れ、集団の視線、圧力に配慮して、どんな授業をすればいいのか、私自身、まだまだ、取り組むべきことがあります。

 

と、わが身を振り返った時、最近、休み時間に遊んでないなぁと思いました。まず、5分でも、10分でも、誰でも、子どもと一緒に遊ぶことから始められるのが、真に体を育てる「体育」なのです。

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私立小学校校長

青木洋介

1976年生まれ、都内私立小学校校長。 2013年「むさしの学園小学校の母親を変える教室」出版。 低学年から高学年までの担任を経験する中で、子どもが安心して活躍するためには、まず、母親がイキイキしていることが大...

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