潔癖過ぎは禁物! 「キスは唾液(菌)の交換」という事実

ヘルス・ビューティー

今村甲彦

潔癖過ぎは禁物! 「キスは唾液(菌)の交換」という事実

■「キスは唾液の交換」というのは事実
社会学者の古市憲寿氏が「唾液の交換があんまり好きじゃない」と言って物議を醸しましたが、「キスは唾液の交換」というのは事実でもあります。キスをすることにより唾液の交換と共に菌が交換され、抗体が作られて免疫力が向上します。もちろん、菌により感染する可能性もないわけではありません。「唾液の交換」と言うと、それは汚いのではないかという潔癖な方もいるかもしれませんが、それは生き物として子孫を繁栄させていくのに必要な行為であり、不潔というならば生物として弱い部類に入るといえるでしょう。

 

多様性がある生物でないと子孫を繁栄させていくことができません。他の例でいえば、性行為も遺伝子の交換といえます。遺伝子を交換することで多様性を持つことができるのです。遺伝的多様性がなければ、とある病気が流行したときに絶滅してしまう可能性があります。生物としては、多様性がないと困ることが多いのです。

 

■「菌=悪」ではない
近年、「抗菌、抗菌」と叫ばれていますが、「菌=悪」ではありません、菌にも「良い菌」と「悪い菌」が存在するのです。例えば、皮膚の表面には常在菌という無害な細菌が存在します。これらが汗や皮脂を食べて分解し、脂肪酸を発生させて皮膚表面を弱酸性に保っています。この菌がいなければ皮膚が乾燥したり、かゆみを生じたりします。

 

またヨーグルトは乳酸菌ですし、酒やパンなど発酵食品を作る際も酵母菌などの菌を用いています。腸の中にも“腸内細菌”というのが存在しています。腸内細菌は免疫などと関係し、腸内細菌の乱れと病気の関係が近年指摘されてきています。「菌=悪」と毛嫌いせずに、菌と共存していくことも状況により必要なのです。

 

 

■潔癖過ぎは禁物
芸能人のタモリや福山雅治が石鹸やボディーソープをほとんど使わない入浴法を実践しているといいます。これはある意味理にかなった方法でもあります。毛穴には皮脂腺が存在します。皮脂腺の中には皮脂腺細胞があり皮脂を作りだし、皮膚表面へと滲み出させ、毛の表面や皮膚を薄くコーティングしています。皮脂は天然のクリームであり、保湿には欠かせない存在です。

 

皮脂をゴシゴシと洗い落としてしまうことは、皮膚にとっては迷惑なことです。特にお年寄りでゴシゴシ洗うのはよくありません。皮膚を見てわかるように、お年寄りは皮脂がかなり減少しているのです。お年寄りの皮膚が乾燥してかゆみを生じるのはゴシゴシ洗いが関係していることもあります。また、思春期など、大量に分泌されて毛穴に詰まったニキビも、過度の洗浄は禁物とされています。清潔は必要ですが、過度の潔癖はよくありません。

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今村甲彦

医師。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。久留米大学病院高度救命救急センターを経て、現在は地域の中核病院で内科診療および内視鏡検査に励む。「患者さんの声に常に耳を傾...

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