“インスタ映え”女子が「ブス」なワケ

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「ブスにブスと言ってやる時が来ましたよ」。マツコ・デラックスさんがおっしゃっています。

 

 

■インスタ映えのためにケーキを無駄にする心なさが「ブス」

 

ことの発端は、「マツコの知らない世界」(TBS系列)で10月に放送された、「スイーツバイキングの世界」。この中で紹介された昨今のインスタ女子たちのスイーツバイキングでの行状が、マツコさんの逆鱗に触れたのだとか。なんでも、スイーツバイキングの値段が年々上昇している理由の一つが、「インスタ女子たちがケーキをあれもこれもと幾つもお皿に盛って撮影し、食べきれずに残すから」。

 

食べ物を粗末にするインスタ女子たちのせいで、一人あたりのケーキ”消費”数が本来食べられる以上にかさんで客単価を上げざるを得なくなっているとの話に、マツコさんが「世間が制裁を加えるべきだと思いますよ、このインスタ映えブームに」「可愛いインスタあげてもお前はブスなんだからな! 地に足つけて生きろ! ブス」とお怒りになったのです。

 

 

■インスタ映えのために子どもを泣かす無神経が「ブス」

 

もともと、インスタブームが熱くなるにしたがって出現した「インスタ映え」という言葉は、自己表現SNSとしてのインスタで、いかに注目と「いいね」を集めるような可愛くて見栄えのいい写真を撮るか、との研究心から出てきたもの。でもその根本にある深層心理は「いいね!が欲しい」「人気者になりたい、自分を認めて欲しい」との承認欲求じゃないのかとの指摘が相次ぎ、承認欲求のために(本来の姿はどうあれ)自分や自分の暮らしぶりを盛ってインスタ映えを追求する人々のことを「インスタ蝿」なんて揶揄する言葉も生まれました。

 

少し前には、レストランなどで出された食べ物を食べる前にまず角度や照明に凝りながらあれこれ写真を撮ってフェイスブックに上げるような人々も「食べ物は撮るんじゃなくて、食えよ」「フードポルノかよ」と批判されましたし、電車の中などで何かあるとすぐ「横に座ってるおっさん臭うなう」「目の前の女子の背毛がモッフモフ」なんてツイートする人々も「ツイッターじゃなくて実際に声に出して言ってみろっ」と批判されたものです。

 

インスタで顕著なのは、とにかく写真が命なため、正方形の画面の中で配置にもアングルにも採光にも凝りまくる撮り方。撮影に熱心になるあまり、お洒落カフェのオープンテラス席で自分の食べ物にカメラを向け、ああでもないこうでもないと皿を動かしたり自分が動いたりするうちに、連れていた小さな子どもの顔に知らずにエルボーを食らわせて泣かせていた若いママを見たことがありますが、そんな不幸な事故発生もさもありなん、です。

 

 

■インスタ映えのためにランチョンマットを買い込む見栄が「ブス」

 

インスタや、SNSの写真というのは見事にハマるようになっているなぁ、と思ったのはこの夏。カメラの設定のいじり方や画面への収め方、光の当て方などの撮り方のコツをちょっと学ぶと、小さなスマホ画面で見る写真は一気に上達したような気がするレベルへ。そして数多ある写真加工アプリを使えば、写真の知識などなくてもフィーリングでいくらでも、カッコよくも可愛くも一瞬でテイストを変えて、まるでプロのような(と自己満足する)仕上がりが手に入ります。

 

今年の夏、ヒマを持て余していた私もご多聞にもれず、そうやって現実の生活の中からほんの50センチ四方くらいを(そこだけ綺麗にして)カシャカシャと撮り、アプリで加工盛り盛りにして「インスタ修行ww」とSNSに上げて悦に入っておりました。だって、そういう写真撮ってSNSに上げると、一日中暑さでへばって何一つ生産的なことなどしなかった日でも、「何かした気になれる」「まるで自分がちゃんとした素敵ライフを送っている人のように思える」んですよ。

 

で、勢い余って、ちょっとお洒落だけどお手頃な雑貨屋さんなんか見かけると、写真撮るときの背景になるような可愛い柄のランチョンマットを買い込んだり、造花買ったりね(写真に文字通り華を添えるため)。ええ、しょせん見栄ですよ、見栄。現実なんかなーんにも伴ってない虚像のために、必要もない数百円や数千円をちまちまと浪費して、承認欲求を満たすんですよ私という人間は……そうさブスは私なのさブスブスブス……。

 

はっ、つい自分をネガティブに貶めてしまいました……だめだ、前向いて生きよう。「可愛いインスタあげてもお前はブスなんだからな! 地に足つけて生きろ! ブス」とのマツコさんの厳しいご指摘を胸に刻んで、ブスと認識しているなりに地に足つけて、可愛い虚像インスタ上げて生きるのもありだと思うんです。だってそこにチープながら盛って自己表現して、自分のことを好きでいられるんならいいじゃないですか。ただ、さんざん取ったケーキを残したり、周りが見えてなかったり、見栄張りまくったりという「心のおブスはダメよ」って話。そうなのよ、外見ブスは盛ってごまかせるけど、心のブスはごまかせないからね。外見よりも心のブスのほうが、モテないし後々のダメージ大きいのよね、と、40代の美魔女(何度も言うようですがこういうのは言った者勝ちですから)からはアドバイスしておきます。あっ、この見栄がブスなのねスマン。

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コラムニスト

河崎 環

河崎環(かわさきたまき)/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。桜蔭学園中高から転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Web...

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