クルマのボディカラーにも流行はある。売る側、買う側それぞれの思惑とは?

車・交通

出典:「」より

CMFという言葉を知っているだろうか。カラー・マテリアル・フィニッシュの略で、日本語に直せば色・素材・仕上げとなる。クルマのデザインというと、まずはフォルムやディテールなどの形が思い浮かぶ。次はボディカラーとなるだろう。しかしそれはエクステリアの話。インテリアはウッドやレザーなど、素材の組み合わせも大切になる。さらに最近は自然保護の観点から、天然素材の使用を控えるようになったので、人工素材をいかに質感高く見せるかという仕立ても注目されるようになっている。

 

最近になってCMFが注目されてきた理由としては、自動車業界の規制や条件が厳しくなって、多くのクルマのフォルムやディテールが似通ってきたこともあるだろう。これはカーナビやエアバッグなど多種多様な装備を仕込まなければならないインテリアについても言える。

 

となるとエクステリアについてはこれまで以上にカラーが重要になりそうだが、最近はそれ以上にLEDの光らせ方やグリルのシルバーの質感などにこだわるクルマが多くなった。ここでもCMF重視の傾向があるような気がする。逆に印象的な色にはあまり出会っていない。

 

ちなみに我が国では「日本流行色協会」という組織が、時代や社会、人々の意識などをもとに、次の年を象徴する色を発表している。流行というのは字面が示しているように、社会の流れの中で自然に作られて行くものと思う人が多いかもしれないけれど、人為的な流れもあるわけだ。

 

もちろん自動車のボディカラーは、各ブランドのカラーリストがオリジナリティを出そうと日夜必死に考えていると想像する。ところが同じ時代に同じ業界のカラーリストが考えるコトは似ているのか、今回の東京モーターショーでは似たような色を何度か目にした。

 

そのひとつがオレンジ系で、ダイハツ、アウディ、BMW、DS、ルノーなどがコンセプトカーや市販車に起用していた。でもこうしたビビッドな色、テレビCMなどに登場することも多いけれど、流行になることはあまりない。単純に好きな色を選ぶ筆者のようなユーザーがすべてではなく、売却時の下取り価格を考えたい、周囲のクルマと同じようなカラーがいいなど、消極的な理由で色を選ぶ人も世の中には多いからだ。

 

 

■消極的なメーカーが多いなか、ひとり気を吐く「マツダ」

 

これは日本に限った話ではない。フランスのパリはファッショナブルなイメージとは裏腹に、最近街を走るクルマはグレー系が多いし、タイのバンコクでは下取りで高く買い取ってくれる白が人気という話を現地のディーラーで聞いた。みんなクルマの色に興味を抱かなくなってきているのだろうか。

 

最近増えつつある2トーンカラーについても同じようなことが言える。こちらはミニのルーフ塗り分けが火付け役だと思うけれど、多くのクルマがミニと同じルーフ塗り分けに留めているのは残念だ。筆者が所有する2台も2トーンだが、ルノー・アヴァンタイムはサイドウインドー下端のラインでブルーとシルバーを塗り分け、シトロエンC4カクタスは白い車体に茶色の樹脂を貼り付けてアクセントにしている。ところがアヴァンタイムは2年足らずで生産中止、C4カクタスは先日のマイナーチェンジでこのパターンを止めてしまった。

 

そんな中でブランドの色を構築しようとしているところもある。マツダだ。マツダは2012年に発表した旧型CX-5に始まる新世代商品群で、「ソウルレッド」と呼ばれる深みのある赤を全車に起用。マツダと同じ広島を本拠地とするプロ野球チーム、カープの赤ヘルとイメージが重なって、マツダ=赤という印象を多くのクルマ好きに強烈に印象付けた。

 

その後もマツダは「マシングレー」など新しいイメージカラーを投入。今回の東京モーターショーでは2台のコンセプトカーが、この2色を発展させたカラーをまとい、多くのギャラリーの熱い視線を浴びていた。

 

もちろんマツダはソウルレッドやマシングレー以外のボディカラーも用意しているので、ブルー系を選んだりすることも可能だが、作り手がそのスタイリングに似合う色はこれだ!とアピールすることは、イメージが伝わりやすくて好ましいと思っている。

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モビリティジャーナリスト

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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