ネットだけが原因じゃない! 「座間9遺体事件」を繰り返さないため子どもたちに教えたいこと

人間関係

 

事件発生から連日、ニュースで新たな事実発覚が報じられている座間市の大量殺人事件。短い犯行サイクルや被害者の人数、遺体損壊の激しさや「保管」方法など、あらゆる点において衝撃的な今回の事件ですが、被害者に高校生が3人いたと思われること、まだ身元が特定されていないということから「自分の子ではないか」という問い合わせが全国から相次いでいるといいます。

 

 

■座間の事件は「ネット社会」がもたらした惨劇か?

 

この事件は「被害者の兄が行方不明の妹のTwitterアカウントにログインして探った」ことが発端になって発覚したこと、「容疑者がTwitterで被害者と知り合っていた」ことなどから、連日のニュースショーでも「犯人はインターネットで標的を物色していた」「Twitterではヒトの本性が伝わりにくく、簡単に心を許しやすい」「保護者は自分の子どものネットでの交友関係に注意するべき」などといったコメントをよく耳にします。

 

でも、ほんとうにこの事件は「インターネット社会」だから起きた惨劇なのでしょうか? そして被害者の少女たちは「SNSでのやり取り」がなければ巻き込まれることはなかったのでしょうか? SNSの利用を制限したり、スマートフォンの使用時間を管理したりといった「」を徹底すれば子どもたちを犯罪被害から守ることができるのでしょうか?

 

■ネット社会を特別視する人々

 

わたしはそうは思いません。むしろ危険なのは「トラブルや犯罪はインターネットの中にある」という「ネット世界」を特区として隔てる視点のほうではないでしょうか。

 

わたしは40代後半で「若者」ですらありませんが、インターネットがない時代からデジタルデバイスを使ってネットワーク通信をしながら友人を作り、仕事をみつけ、恋もしてきました。クルマを買うのにも、みかんを買うのにも、あたらしくできたレストランに行くのにも、そして、中学生と小学生の息子ふたりとのコミュニケーションの手段にも、インターネットを使っています。

 

ましてや、今のこどもたちは生まれたときからインターネットがある世代です。自宅のドアを開けて、おともだちのおうちにつながる道を歩いていってお話するのも、スマートフォンのアプリを使ってチャットするのも、同じ「ひと同士のコミュニケーション」として地続きであることを保護者や教師がしっかり認識するべきです。

 

 

■深夜のSNSは、なぜ「よくない」のか?

 

深夜にチャットしたりメッセージを送ったりするのが「よくない」のは、こどもが深夜に「ネットばっかりやってる」のが悪いのではない、「そろそろ寝ないと明日の朝ちゃんと起きられない」から「寝なさい」、もしくは「相手の子だって夜遅くメッセージもらって起こされたら迷惑でしょ」ということにすぎません。それは「夜遅いからもうテレビは消して」とか「明日も学校だから工作は終わりにしてよね」というのと同じこと。

 

もし「明日は日曜日だからともだちに泊まりに来てもらってもいい?」という子どものリクエストをOKしているなら、「明日は日曜日だから深夜までチャットしてていい?」というリクエストもまた、OKしていいはずです。泊まりに来たともだちと深夜に部屋でキャッキャやっているのと、深夜に部屋にこもってチャットしながら笑っているのと、どこに違いがあるでしょう?

 

チャット相手が誰だかわからないから……と思うのは、おとながこどものチャット相手のことを「ひと」と認識していないからです。そして、その特別意識や無理解こそが、こどもの、ネットを使ったコミュニケーションに対する正常な判断を歪めていってしまいます。ネット経由であろうがなかろうが、年頃になったこどもが自分の交友関係をすべて保護者に事細かに報告しなくなってくるのは当然のこと。

 

 

■子供たちに教えたいこととは…

 

だからわたしたちができるのは、社会には危険なこともあり、悪意を持った人間もいるのだということを教えることしかできません。インターネットもSNSも、家の前の道路も、電話も手紙も、すべて「ひと」と「社会」につながる「道」でしかない。あなたが玄関を開けて一歩踏み出した先は「社会」であり、どんな道を使おうと、その先で出会い、話をして関係を持つ相手は「ひと」であること。そこは、常に行動と判断がものをいう、楽しいことも恐ろしいことも起こりうる場所だということを。

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シングルマザー文筆家

吉田メグミ

フリーライター。1970年東京生まれ。デジタル、カルチャー、エンタテインメントなどの雑誌、書籍、WEB記事を書き続けて四半世紀を過ぎました。小学生と中学生男子ふたりの母もやってます。フリーペーパーココカラ編...

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