ビール電車に水着電車…少子高齢化で鉄道サービスが派手になる

車・交通

出典:西武鉄道Webサイト

 

毎日通勤・通学の人たちを乗せて東京近郊を走り回っている首都圏の大手民鉄(JRを除く大手私鉄のこと)で、最近一風変わったイベントが目立つようになってきた。


たとえば京浜急行では水着ファッションショー電車を運行したり、リラックマ仕様の駅看板やラッピング電車を仕立てたりしている。昨年100周年を迎えた西武鉄道では、きゃりーぱみゅぱみゅとのコラボを展開しているだけでなく、2種類のビール電車も走らせている。


こうした動きは首都圏に限った話ではない。関西の京阪電鉄では、大阪市にある中之島駅のホームや停車中の電車を居酒屋に仕立てたりしていた。


なぜこのようなサービス合戦が繰り広げられるようになったのか。やはり日本が人口減少社会に入ったことが大きいだろう。


今の日本は東京への一極集中が目立っている。首都圏の民鉄にとっては、ラッシュ時の対策は必要となるものの、乗客は増えるわけだから悪い話ではない。しかし将来もそうだとは限らない。先月行われた東京都知事選挙では、東京も将来は高齢化が進み、人口が減少していくことを指摘する人もいた。

 

 

■首都圏の路線でも本数減少が始まっている


すでに郊外の地域では人口減少が始まっている。その影響が鉄道にも出始めている。これまで首都圏の鉄道ではあまり耳にしなかった、本数減少や編成短縮を実施しているところもある。


千葉県内に路線を持つ新京成電鉄は、1982年から走らせていた8両編成が一昨年消滅し、すべて6両編成に戻った。また東京の多摩西部を走るJR東日本の青梅線は、中央線からの直通快速があるのに、青梅駅以遠では本数を減らしているのだ。


第2次世界大戦後、首都圏の私鉄は、沿線で宅地開発をしたり、デパートや遊園地をオープンしたりした。沿線に住んでもらい、出掛けてもらうことで、鉄道利用者数の増加を狙ったのだ。小田急電鉄の箱根、東武鉄道の日光など、有名観光地へ直通する特急列車を走らせることも、その一環だった。


しかし最近の日本人は、遠方に出かける人が減った。そのあおりを受けて、いくつかの商業施設は閉店や閉鎖に追い込まれている。そして昨今、住まいについても都心回帰が進み、沿線に住む人そのものが減りつつある。


こうなると、沿線にデパートや遊園地を作ってもあまり効果は期待できない。それよりも大事なのは、まず沿線に住み、通勤や通学などで鉄道に乗ってもらうことだ。こうした発想の転換が、最初に紹介したような新しいサービスの展開につながっているのかもしれない。

 

 

■ビール電車は地方ではおなじみのイベント


地方の民鉄はさらに厳しい状況に置かれていることを、知っている人もいるだろう。多くの路線が廃止されたり、半官半民の第3セクターに生まれ変わったりしたが、第3セクターになったから安泰というわけではなく、血のにじむような努力を重ねながら運行維持に努めている。


千葉県のいすみ鉄道では、フィンランド生まれのアニメーション、ムーミンとのコラボレーションをしたり、運転士の訓練費用を応募者に負担してもらうという条件で公募をしたり、地元の名産品を使った駅弁を販売したりと、さまざまな振興策を実施している。


ローカル鉄道では、住民を増加させることはもはや難しいので、観光客を呼び込む方向にシフトしている路線が多い。でも沿線に観光資源がない場合もあるので、鉄道自身を観光資源とすべく、いすみ鉄道のように多彩なイベントを立ち上げているようだ。


西武鉄道などが展開しているビール電車は、地方の路面電車ではおなじみのイベントである。乗客向けのイベントやサービスについては、地方のほうが先行している部分もある。


こうしたメニューを首都圏の大手民鉄が実施しなければならないほど、人口減少は切実な話題になりつつある。小池百合子新都知事がこの点についてどう考えているか、気になるところだ。

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モビリティジャーナリスト

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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