フォーミュラEにドライバーがコメント。「おにぎりを用意」(可夢偉)「これなら乗れそう」(Juju)

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電気自動車で競争するフォーミュラEのシーズン4(2017/18年)が香港の市街地コースで開幕し、12月2日に第1戦、3日に第2戦が行われた。ほぼぶっつけ本番の状態でフォーミュラE初参戦を迎えた小林可夢偉(MS+ADアンドレッティ)は、第1戦は13番グリッドからスタートして15位、第2戦は16番グリッドからスタートして17位だった。


フォーミュラEではファン投票による上位3名のドライバーに、レース中追加のエネルギーを与える「ファンブースト」の制度がある。可夢偉は第1戦、第2戦とも、2位以下のドライバーに大差をつけてトップに立ち、ファンブーストを獲得した。これについては「ありがたい」と素直によろこんだ。だが、第1戦では使わずじまいだった。


それどころではなかったからだ。無線が正常に機能していなかったのだ。フォーミュラEはハイブリッドシステムを搭載するF1やWEC(世界耐久選手権)のように、エネルギーを最適に使うための高度な自動制御プログラムが認められていない。ピットとドライバーが走行中に情報をやりとりし、ステアリング上のスイッチやダイヤル、レバーで調節しながら走る必要がある。


無線が機能していなかったということは、エネルギーを効果的に使い切ることができなかったということだ。「無線がおかしくて情報をもらうことができず、厳しいレースでした」と、可夢偉は苦い表情を浮かべた。ステアリング上のディスプレイには、バッテリーが蓄えるエネルギーを効果的に使うためのターゲットが表示されるのだが、それが厳しめに表示されていたことも不利に働いた。

 

ほぼぶっつけ本番でフォーミュラE初参戦を迎えた可夢偉。無線がうまく機能しなかったこともあり、エネルギーを使い切ることができなかった


数字を信じて走った可夢偉は、エネルギーをだいぶ余らせて走ることになった。結果的に出力を抑えた走りになる。「全体的に遅かったので、勝負になりませんでした。普通にエネルギーを使って走りたかった」と悔やんだ。


第2戦は無線を正常に使うことができたが、レース途中で乗り換える2台目のクルマがシステムの問題で発進に手間取り、タイムをロス。走行中は、アクセルを踏み込んだのに加速しない症状にも見舞われて、ペースを上げることができなかった。


「乗り慣れないクルマで練習せずに来るとこうなるだなと実感できました」と可夢偉。「ただ、まずは経験を積むことが大事なので、その意味では2日間クルマを壊さず終われて良かったと思います。走れば走るほど良くなる実感がありましたし」と2日間の戦いを総括した。

 

 

■「400キロはウソでした」

 

可夢偉は事前に「体感速度は400キロ」と聞かされていたが、実際には「200キロは200キロです」とのこと


可夢偉のフォーミュラE参戦はとりあえず香港戦のみだが、「もしまたオファーがあったら?」の質問に、「乗りますね」と即答。そして、「そのときはおにぎりを用意します」と付け加えた。なぜ、おにぎり?


「こんなにドライバーを働かせるイベントはないですよ。だって、5時に起きて6時に集合ですからね。朝が早すぎてホテルのレストランが開いていない。ミーティングが終わってフォトセッションが終わったら、『もうクルマ乗らないと』と言われて弁当を食べる時間もない。朝も食べてなければ昼も食べてないですよ。完全になめてましたね。おにぎりだったらミーティングしながらでも食べられるので、次に出るときはおにぎりを持って来ます。それがわかったのが、次に出るときの強さかなって思います(笑)」


クルマに慣れるだけが経験ではないのだ(笑)。ちなみに可夢偉はレース前、フォーミュラE参戦経験のあるドライバーから、市街地走行での体感速度は時速400キロと聞かされていた。「実際に走ってどうだった?」の質問に、「400キロはウソでした。200キロは200キロです」と答えている。

 

小学生女子レーサーのJuju(野田樹潤)は「これなら乗れそう」とコメント


香港には思わぬゲストも登場した。小学生女子レーサーのJuju(野田樹潤)である。10月末の東京モーターショーではアウディの技術パートナーを務めるシェフラーのブースを訪れ、前年度チャンピオンのL・ディ・グラッシとトークセッションを行った。その際、「フォーミュラEに乗ることは夢」だと語っていた。


夢の実現に備えた準備だろうか。Jujuはディ・グラッシと再会して健闘をたたえ合ったのに加え、フォーミュラEカーのシートに座り、実車の感触を確かめた。そのうえで、「これなら乗れそう」と感想を述べる大物ぶりである。理由は、「ギヤチェンジがあまりないから」だ。


モーターで走るフォーミュラEの車両は市販の電気自動車と同様、変速を必要としないのが主流で、変速があっても2速か3速と、ガソリンで走るレーシングカーに比べて格段に段数が少ない。そこが楽だと感じた様子。さらに、「人がいっぱい出ていて(20人)抜き合いしていたから楽しそう」と付け加えた。レースを生で観戦して、競争心にメラメラと火がついたよう。キラキラする目で「出てみたい」と言った。


フォーミュラEのシーズン4は全14戦をJ SPORTSが生中継を中心に放映(有料)。BS日テレではハイライトで放送する(無料)。2018年1月13日にマラケシュ(モロッコ)で開催される第3戦のハイライト放送は、1月17日(水)の深夜0時00分~1時00分の予定だ。
 

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モータリングライター&エディター

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全...

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