まるでイタリアのマフィア…貴乃花親方は“着こなし”で損している!

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写真:日刊スポーツ/アフロ

元横綱の日馬富士関が貴ノ岩関へ暴行を加えた事件が連日マスコミを賑わせています。そんななか、当事者の2人以上に注目を集めているキーマンが貴乃花親方です。ここで最初に明言しておきますが、私は親方の考えに基本的には賛同しています。それなりの理由が状況から透けて見えるし、親方なりの軸や芯が通っていると思えるからです。だからこそ“着こなしで損をしている”のが非常にもったいないと感じます。

 

 

■被害者側なら悪役のようなイメージは避けるべき

 

最近の親方はタイドアップしたスーツにストールを巻くのが定番。ティアドロップ型のサングラスを掛けていることも少なくありません。ベースはダンディなスタイル。ストールを垂らすだけの巻き方も「垂らし巻き」などと呼ばれて決して間違いではありませんし、サングラスもレイバンの名作「アビエーター」かそれに近いデザインなので王道と言えます。奇抜なアイテムは選んでいないのに、印象は良くありません。

 

小島瑠璃子さんはテレビ番組『ワイドナショー』で「貴乃花親方の服装が変」とダメ出し。坂上忍さんはテレビ番組『バイキング』で“イタリアのマフィアみたい”と表現していますし、ネットで見る限り世間的な印象もそれに近いようです。相撲協会と闘うことも辞さないという決意がマフィアのような雰囲気を強調しているのかも知れませんが、被害者側なのに悪役のように見えてしまっているのは印象の面で大きく損をしていると言わざるをえません。

 

母親である藤田紀子さんがテレビ番組で「親方は、イタリアが好きですから」とコメントしていることから、親方はイタリアのダンディなスタイルや着こなしが好きなのかもしれません。ストールやマフラーに関しては、子どもたちからの贈り物で思い入れが強いという情報もあります。そうした好みや想いをスタイリングに投影することは悪いことではありません。ただし、今回の場合は状況が状況なので、強そうなヒールのイメージで得することはないでしょう。

 

 

■キングカズはシーンにマッチする絶妙な服装でアピールに成功した

 

スポーツ界×ファッション×イタリアンマフィアで思い出すのは、キングカズこと元サッカー日本代表の三浦知良選手です。映画『ゴッドファーザー』が好きというのは有名な話で、マフィアの研究が趣味という噂も。その影響からかスーツを愛用し、保管用に専用マンションまで購入。ここ数年は特定のテーラーでオーダーしたスーツしか着ていないようです。

 

そんなカズ選手は、自己プロデュースに関してしたたかに計算しているのではないかという説が濃厚です。1993年にJリーグの初代MVPに選ばれた際の表彰式が象徴的。フォーマルなタキシードが奨励されていたにも関わらず、1人だけ赤いスーツで出席したのです。

 

MVPとしての登場シーンは華やかさがいっそう際立っていました。お祝いの席、主役のMVP、ブラジル帰りの個性的な選手……などの要素が重なり、ドレスコードを破った問題よりもカズ選手の個性やスーツへのこだわりが広く知れ渡る結果となりました。何をどこまで計算していたかは確認できませんが、他のエピソードを考えればドレスコードを破る価値があるという勝算はあったはずです。

 

貴乃花親方は幼い頃からマスコミの注目を集めていたので、対メディア戦略はお手の物。今回の騒動を表に引っ張り出すことには成功しているわけですから、状況を考慮して着こなしにはもう少し気を使うべきです。着用するアイテムはそのままだとしても、カメラが回っているときはサングラスを外す、人前に出るときはストールをコートの中に入れるか手に持つ……その程度の差で謙虚なイメージが生まれ、マフィアな印象は払拭できます。味方は今より増えるはずです。

 

 

■織田信長に学べ──服装はコミュニケーション手段のひとつ

 

たかが着こなし、たかがファッションと思うかもしれませんが、服装はコミュニケーション手段のひとつ。意識を少し変えるだけで自分の味方をしてくれる存在になり得るので、活用しない手はありません。見た目の印象を狡猾に利用した例としては、織田信長の逸話が有名です。

 

“尾張の大うつけ”や“かぶきもの”と呼ばれていた信長は普段、髪はボサボサで着物の着こなしは自己流。人としての評判も良くありませんでした。取るに足らない人物だと考えたからこそ、隣国の斎藤道三は娘を嫁がせ、尾張を乗っ取ろうと画策したわけです。ところが2人が初めて面会した際、信長は絢爛な烏帽子を被り、きっちりとした正装に着替えていました。

 

さらに、丁重な言葉使いや深いお辞儀などで礼を尽くしました。悪評とのギャップにやられた道三は、すぐに信長を気に入って味方になったという話です。服装や所作がイメージだけでなく、その場の流れや相手の考えも変えることができるエピソードと言えるでしょう(実際はもっと細かい戦術も駆使していたようですが、それはまたの機会にでも)。

 

歴史的なリーダーは自己プロデュースの一環として、服装や見た目にも気を使っている人が多いと言われています。相撲界を変えるリーダーになるべき貴乃花親方だからこそ、自分の好みや個人的な思い入れだけでなく、シーンを意識した着こなしを実践してほしいものです。

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「着こなし工学」エバンジェリスト

平 格彦

1974年、東京都生まれ。O型。天秤座。ライター/編集者。コラムニスト。プランナー。AllAbout「メンズファッション」ガイド。[着こなし工学]ファウンダー。JAPAN MENSA会員。野菜ソムリエ。大学でマーケティングを...

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