「ご無沙汰」から脱却して、甘い時間を取り返す方法

人間関係

亀山早苗

 

■もう一度、「男」と「女」に戻りたい

 

結婚して18年、下の子が高校に入学した年の結婚記念日に、タカヒロさん(47歳)は、おしゃれなレストランで同い年の妻に言った。

 

「これからは男と女に戻ろう。また恋人時代を過ごそう」

 

妻は吹き出しかけたが、彼の真剣さに押されたようにじっと夫を見つめたという。

 

「私はいつも冗談ばかり言って、家族からそのギャグをバカにされているんですが、そのときは妻も真顔になりました。妻にじっと見つめられて、なんだか私も昔を思い出しちゃって。『昔はよくこうやって見つめ合ったよね』と言いました。妻も恋愛時代を思い出したみたいです」

 

その日から、なんとなくお互いを改めて意識するようになった。どうしてこの人と結婚したんだっけ、何がよくて一緒になったんだっけ……と。

 

「18年、一緒にがんばってきたんだなあと思うと、なんだか妻が愛おしくなったんですよ。妻の好きな花を買って帰ったり、ときにはケーキを持って帰ったり。子どもたちには冷やかされましたが、この年になって改めて妻との関係を再構築したくなったんです」

 

下の子が生まれてから年に一度、あるかないかというレス状態だったが、18回目の結婚記念日の夜からは、月に数回と復活した。

 

「最後までいかないこともあるけど、妻は笑って許してくれる。激しい性行為をしたいわけじゃないんです。お互いに肌のぬくもりを感じたいだけ。妻も『やっぱり人肌っていいわね』と。そういう関係があると、やっぱり元気になりますね」

 

安心感と愛情確認―――夫婦のよさはそこにある。

 

 

■妻から久々に誘われて……

 

一方、妻から誘われたという男性もいる。ショウタさん(44歳)だ。結婚して12年、1人娘は10歳になった。

 

「子どもが生まれて少したったとき、妻を誘ったら怖い目で『あなたはそういうことしか考えられないの』と言われたんです。以来、誘えなくなった。正直、外で恋愛したこともあります。ただ、娘がかわいくて傷つけたくなかったから、恋愛は続かなかった」

 

妻との性関係がないのは、どこか心が満たされなかった。ただ、きっと妻は自分とのセックスが好きではないのだと思い込んでいた。

 

「うちは寝室も別なんですが、ある日、『ねえ』と妻が僕の部屋に入ってきた。どうしたのかと思ったらベッドに潜り込んできて。『あなたは私のこと、女として見てないの?』って。いや、そっちがオレを男として見てないんだろと言い合って、思わず2人で笑ってしまいました。産後、僕が誘ったときにひどいことを言ったのを彼女は覚えていなかった。おそらく育児疲れで苛立っていたのを、僕が察知できなかったんでしょう」

 

長年にわたる誤解だったのだ。妻が「ねえ」と夫の部屋に入って行くには、相当の勇気が必要だっただろう。

 

「女性にそんなことをさせて悪かったなと思いました。同時に、夫婦といってもお互いの心の中まではわからない。もっと言葉や態度でお互いに気持ちを表現していこうと話し合いました」

 

セックスレスから脱却するというのは、夫婦として一段深い関係に入っていくことかもしれない。

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亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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