積もり積もった恨みを完璧に封印して…夫には笑顔を向ける妻の本音

人間関係

亀山早苗

 

■信じられない言葉が普通に出てくる

 

以前、知人たちと宝くじが当たったらどうするかという話をしていた。「3億円当たったらどうする?」と尋ねると、そこにいた5人ほどの主婦全員」離婚する」と答えたのには驚いた。

 

「実際は経済的な問題で離婚できない。夫を憎んでいるわけではないの。ただ、夫がいなかったら自分の人生がどれだけ楽しいかということは考える」(43歳・結婚18年)

 

「娘と息子がいて4人家族。典型的な普通の家族だけど、私はずっと夫が急逝してくれたら人生バラ色だなあと思っている。言葉の暴力がひどいから。日々、夫への苛立ちを抱えて過ごしているので、今日こそは警察から『駅で昏倒して心肺停止です』と知らせが来ないかなと願っている」(48歳・結婚22年)

 

「ずっと私を見下してきた夫、ふっと魔が差して事故にあって急病でもいいので、どうになからないかなと。ただ、看病はイヤです」(35歳・結婚7年)

 

読んでいると気持ちが暗くなるかもしれないが、彼女たちはごく普通にこういうことを口にする。「本音だが本気ではない」と語った女性もいる。「自分が願ったから死んだとしたら、ちょっと寝覚めが悪いから」だそうだ。

 

 

■「うちは大丈夫」が危ない

 

とはいえ、日常生活は滞りなく送っている。ウチに限っては大丈夫と夫は思いがち。だが、そんな「ごく普通の家庭」の主婦が、夫の死を願っているのだ。

 

「もう諦めていますから、夫と言い争いはしません。夫が何か言ったらハイハイと適当に聞き流すだけ。夫の両親へのプレゼントなどもちゃんと選んで送っているし、なにより毎日、夫のお弁当も作っている。夫は、うちはうまくいっていると思っているかも。でも、私は『お前の常識や価値観は社会じゃ通用しない』と言われたことを忘れていません。たびたび、そうやって私の人格を否定してきたことも。夫は覚えてないと思いますけどね」

 

ユキコさん(47歳)の心の中は、夫への恨みでいっぱいだそうだ。だが、それを見て見ぬふりをしながら日常を送っている。

 

「普段は夫のことは一切考えない。心の中から排除しています。帰ってきたら機械的に食事を出して、話しかけられたら適当に相づち打って、早く寝ればいいのにと祈るだけ。一応、顔では笑ってますよ。もうすっかりそういう仮面が身についてしまったから苦でもないです」

 

それでも、夫がいなくなれば生命保険と相殺で家は手に入るし、退職金も少しは入るだろうし、あとはパート仕事をがんばれば、現在、大学生の娘は無事に卒業できるとシミュレーションすることもある。

 

「そうやって空想しているときが一番楽しいです」

 

積もり積もった恨みを完璧に封印したまま、妻たちは今日も夫に笑顔を向ける。

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亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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