私の存在って…? まるで見慣れた家具のように、妻の変化にすら気づかない夫

人間関係

 

■髪を切っても気づかない夫

 

妻が化粧を変えても、髪を切っても、夫はなかなか気づかない。気づかないものだと諦める妻が大半だが、それが化粧や髪でなかったらどうなるのだろうか。

 

「以前、自宅の階段を踏み外して転げ落ち、歯を折ったことがあるんです。そのまますぐ歯医者に行き、とりあえず腫れていたのでその日はそのまま抜けた状態でいるしかなくて……。顔もアザはあるし腫れるしで、大変なことになっていました。でもその晩、遅くに帰ってきた夫はまったく何も言わない。『接待で疲れたあ。お茶漬け食べたいなあ』と言い、出したお茶漬けをさらさらとかきこんで『風呂入るわ』って。さすがにブチ切れましたね、私。『私の顔を見なさいよ』って言ってやりました。夫というものは、そこまで妻の顔を見てないものなんですね」

 

タカエさん(39歳)がそう言うと、夫はようやく妻の顔を見て、「うわ、どうしたんだ!」と言ったそうだ。妻が脱力するのは、そんなとき。この人にとって、私は見慣れた家具よりどうでもいい存在なのかもしれないと不安を覚えるのだ。タカエさんは、その瞬間、離婚さえ考えたという。

 

 

■相談もなく勝手に転職、収入は増えたけど

 

「稼いでいるのは自分だから」。夫にとってそんな気持ちが心の隅にあるのかもしれない。確かにそうだが、パートナーであるなら少しは相談してほしいというのが妻たちの本音である。「相談なく車を買い替える」「相談なく、夫のローンで両親の家を建て替えた」など、「何の相談もなく」大きな買い物をする夫は少なくない。

 

「うちの夫はある日突然、転職しました。新しい職場に通うその朝、『今日から職場が変わったんだ』と。はあ?って感じですよね。『大丈夫だよ、収入はこれまでより増えるから、少し生活が楽になると思うよ』と夫はニッコリ。でも、私はちっともうれしくなかった。夫がどういう経緯で転職したのか、どうしてそういうことを私と共有してくれないのか……」

 

ヨウコさん(42歳)は、その日ずっと暗い気分で過ごしていたという。私なんていなくてもいいのではないか、夫にとって私は何なのか……。

 

「夫は子どもたちをすごくかわいがっていますから、子どもは大事なんでしょう。私はその子どもたちの乳母で家政婦。そんなものなのかもしれません」

 

仕事のことは妻に話さない。そんな夫たちは今も少なくないだろう。心配させたくないとも思うのかもしれない。妻たちは、そんな夫に寂しさを覚える。それは自分の存在価値にも関係するのだから。

 

「子どもたちが成人したら離婚も視野に入れておいたほうがいいかな、と今は考えています」

 

ヨウコさんの寂しげな顔が忘れられない。

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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