会話のキャッチボールが続かないタイプ

人間関係

米光一成

会話のキャッチボールが続かないタイプ

 「はてな匿名ダイアリー 」のという書き込みが話題になっている。

B「このまえ新しくテレビ買ってさ」

C「へーどんなん?」

B「○○機能がついてて、△△インチ」

A「ふーん。俺は大きさ求めてないからいらないな」

という例をあげて、
“なんというか、普通の雑談に「自分にとってどうであるか」を必ず挟んでくる感じ。
これをやられると、お前にとってどうだかとか聞いてねえよという気分になる。
「あーそうなんだ」とかいって雑談できないのだろうか。”
と感想が続く。

 

えええー!

「自分にとってどうであるか」って話すのふつうじゃないの?

 

ぼくだって、Aのような受け答えは苦手だ。

だけど、その理由は、「自分にとってどうであるかを言うから」ではない。

 

たとえば、以下の受け答えだったらどうだろう。

B「このまえ新しくテレビ買ってさ」
C「へーどんなん?」
B「○○機能がついてて、△△インチ」
A「俺、小さいサイズでいいかと思って、○○インチにしたんだよ。△△インチってけっこう大きくない?」

 

最初の例と同様、Aは「自分にとってどうであるか」を挟み込んでいる。
このやりとりでも苦手だろうか?

 

「自分にとってどうであるか」を言わない雑談なんて味気なさ爆発だ。

雑談にまで同調圧力を持ち込まないでほしい。

「あーそうなんだ」レベルのリアクションしかないなら、AI搭載のしゃべるぬいぐるみでいい。

目の前の相手と対面しているのだから、「自分にとってどうであるか」を返してほしい。

 

最初の例で、Aのやりとりが嫌なのは、話題を捨てているからだ。

Bが「新しいテレビを買った話題」を投げる。

Cが、話題を受け取り、「へーどんなん?」って疑問で投げ返す。

会話のキャッチボールが成立している。

Cの投げ返した球をBが受け取り、「○○機能がついてて、△△インチ」と返す。

ところが、Aの「ふーん。俺は大きさ求めてないからいらないな」は、その話題を受け取ってはいるが、相手に投げ返さず、ぽいと捨てている。

それは不愉快だろう。

キャッチボールしているときに、受け取った球をぽいっと横に放り捨てて、「ほらまた投げてこいよ」という顔をしているようなものだからだ。

 

 

会話のキャッチボールが続かないタイプの人の多くは、「自分が変わらない前提」でいることが多い。

前ページのAも、「テレビに大きさを求めてない」という前提が変わらないと思って返答しているために、結果的に「大きさの話をするな」と主張してしまう。

こういう返答では、話題は続けにくい。

自分が渡した話題を放り捨てられた感じがしてしまうからだ。

 

もし、Aが「いまの自分はテレビに大きさを求めていないが、そんな自分も変わるかもしれない」と思っていれば、返答も変わってくるだろう。

「(俺はテレビに大きさを求めてないが)大きいテレビっていいの?」というように返すことができる。

話題を捨てずに投げ返せるのだ。

その結果、やっぱり俺は小さいテレビでいいなと確認できれば、それはそれでいい。

話を聞いて、大きいテレビもいいなと思えたら、自分の枠が広がるワクワクを感じられるだろう。

 

自分の枠が広がるワクワクを体験できるのは、10回に数回もないかもしれない。

たいていの場合は、最初に考えていた結論のままで、変わりがないだろう。

だが、10回に1回でも変われれば、それは大きく自分の可能性をひろげることになる。

 

自分が変わっていく、枠が広がっていくワクワクを知っていれば、相手の話題を捨てず、返球していけるのだ。

 

自分が思っていることは、自分の中では熟考した結論だと勘違いしがちだ。

だから、自分の考えと少しでもズレていれば、話題そのものを拒絶してしまう。

会話が続かない。

いつまでも、「ほら、俺の考えとズレない話題を投げてこいよ」と、ないものねだりのほしがり屋の顔で、困ったり、気まずさを生み出してしまう。

他者からの話を取り入れることによって、あらたに考えなおすきっかけになることも多々ある。

自分は、まだまだ変われるのだ。

結論を疑うことができるのだ。

そう思って、話題を捨てずに返答していけば、会話もひろがって、自分の可能性がひろがっていく。

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米光一成

ゲームデザイナー・立命館映像学部教授・ライター。『ぷよぷよ』『BAROQUE』『トレジャーハンターG』『eMotion e-Mail』等、ゲームの企画監督脚本を多数手がける。「グランドジャンプ」「ケトル」「iPhoneMagazine...

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