「子どもの食」が危ない今、大人と社会がなすべきこと

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南 恵子

「子どもの食」が危ない今、大人と社会がなすべきこと

以前より「子どもの食」が危ない、と叫ばれています。朝食を摂らない子どもがいたり、子ども一人だけで食事をしたりと、様々な問題が取り上げられています。

 

内閣府「平成27年版食育白書」では、下記のように記されています。

 

文部科学省が小学校6年生と中学校3年生を対象に実施した平成26年度「全国学力・学習状況調査」(以下、「学力調査」という。)によると、(略)子供の朝食摂取については、朝食を全く食ベない割合は減少傾向にあるものの、朝食を食べないことがある小・中学生の割合は、小学校6年生で11.8%、中学校3年生で16.1%となっている。また、毎日朝食を食べる子供ほど、学力調査の平均正答率が高い傾向にある。さらに、平成25年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」によると、毎日朝食を食べる子供ほど、体力合計点が高い傾向にある。

 

20~30歳代の独身世代では男性の約2割は朝食を食べず、女性は約2割が「やせ」の傾向があり、栄養の偏りが懸念されます。子どもたちが健やかに成長し、将来の健康を維持するためにも、栄養バランスのとれた食事はもちろん、適度な運動、十分な休養・睡眠などの規則正しい生活を、小さい頃から丁寧に積み重ねていくことが大切なことは自明でしょう。

 

平成18年に「『早寝早起き朝ごはん』全国協議会」が発足し、国民的運動として文部科学省と連携して推進したため、子どもの朝ごはんの摂取は少し改善し、一定の効果は出ているようです。

 

そもそも、基本的な食の習慣・教育は、家庭で担いたいところですが、子どもの夜型生活化や、親の仕事が忙しくて家族そろって食事ができないなどの現状もあります。理想の形はわかっていても、親だって人間です。時間に追われていれば、子どもの栄養のことは二の次で、日々目の前の仕事や家事・育児をこなすだけで精一杯のこともあるでしょう。

 

そんななかで、女性が仕事において能力を発揮し、活躍できる環境を整備する「女性活躍推進法」が成立し、さらには少子化を食い止めるために産めや増やせやとも言われ、母親にはますます負担がかかってくるのでは……との心配もあります。

 

親も忙しく心身のゆとりがないときは地域社会でサポートし、社会全体で子どもを育てる体制が求められてきます。近年は、行政としても地域社会における子どもの食のサポートを推進し、民間レベルでも様々なサポートのケースが見られます。

 

 

例えば、福岡県内のある公立中学校は、朝ごはんを食べていない生徒に今年度から週2回、パンやバナナなどを提供しています。食品廃棄を減らす活動をするフードバンクなどから食品を調達し、あわせて食の大切さも子どもたちに伝える食育や環境教育の機会にもなっているそうです。

 

また、シングルマザーやシングルファーザーなどの子どもたちの「孤食」の寂しさをサポートするために、子どもが夕食を食べに来られる「子ども食堂」が全国各地で展開されています。

 

一人寂しくごはんを食べてきた子どもたちが集い、友達や大人と信頼できる関係を築いたり、地域の人たちに見守られている安心感や温かさを感じながら成長できることは、個人だけでなく社会にとっても、豊かな生活のために大きな意義があります。

 

さらに、生産者やプロの料理人による「食育活動」なども、「伝統野菜」「だし」「味覚教育」など、それぞれの専門分野を生かした内容で、各地の小学校や地域で行われています。

 

食事は、ただお腹を満たせば良いのではありません。また、食べることで体力・学力を伸ばすだけのものでもありません。食べることの楽しさ、また命をいただくことの感謝の気持ち、自然とのつながり、地域文化などを、食を通じて知ることが必要なのです。

 

ただ民間レベルにおいて、継続的に子どもの食をサポートをするためには、経費などの捻出が課題となっています。そこで提案があります。高齢社会の日本、大きな活動でなくてもいいので、子どもを見守り、食の知識や技術を伝えるとともに、食事をすることで人間関係を構築することに、地域の高齢者の方々がもっと活躍してほしいと思います。

 

さらに、親がごはんを作るゆとりがないときは、子ども自らが料理をし、家族のために朝ごはんを作ることがあってもよいはずです。そのためにも、学校や社会に任せるだけでなく、週に1度、あるいは月に1度でも家族で一緒に料理を楽しむ機会を持ち、料理をすることの楽しさや知識・技術を子どもに伝えることも必要だと思います。

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南 恵子

All About「食と健康」ガイド。NR・サプリメントアドバイザー、フードコーディネーターなどの資格取得。現在、食と健康アドバイザーとして、健康と環境に配慮した食生活の提案、レシピ提供、執筆、講演、商品企画ア...

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