【大人の着こなし考】私が吉田カバンを避けた過去と、今だから選びたい理由

ライフスタイル

 

私の社会人としてのスタートは出版社の広告部。毎日スーツを着て出勤していました。そして、通勤用に初めて購入したバッグは〈ポーター〉の定番シリーズである「タンカー」の「2ウェイ ブリーフケース」。選んだ理由は、学生の頃に読んでいた雑誌『ポパイ』『ホットドッグ プレス』『チェックメイト』などでよく紹介されていたからです。日本の老舗ブランドで品質に間違いがないのは明白。何とか手の届く価格帯だったのも大きな理由です。購入してしばらくは気に入って毎日使っていました。ところが、1年も経たずに使うのを止めてしまうことに……。その理由は、人気が出すぎたからです。

 

私が新卒で出版社に入社した当時、月9ドラマ『ラブジェネレーション』がスタートしました。木村拓哉さん演じる主人公の哲平は広告代理店のクリエイティブ職から営業職に異動となった設定。「タンカー」のブリーフケースを愛用していました。その影響で「タンカー」シリーズの人気が沸騰してしまい、入手困難となる時期もあったのです。

 

当時の私は基本的に髪が長めで、“ロン毛リーマン”として誌面にも載ったことも。その上で「タンカー」シリーズを持っていると、かなりの頻度で「キムタクを意識してるの?」を言われることに。先天的な要素が大きい“似てる”は嬉しく思えるのに、後天的な“意識してる”は寄せるために努力しているということなので恥ずかしく感じたものです。

 

今となっては些細なことですが、まだ若者だった頃は変なプライドもあり、“意識してる”と言われのが嫌で「タンカー」を使うのは止めてしまいました。しかもちょっとしたトラウマになって「タンカー」シリーズだけでなく、〈ポーター〉やそれを展開する“吉田カバン”からも遠ざかることになりました。

 

しかし先日、を目にして思い出したんです。吉田カバンの魅力は、日本の職人と鞄を作り続けている哲学や、“一針入魂”の品質にあると。ミーハー的な人気に踊らされることなく、「タンカー」が今でも定番シリーズであり続けているのは、地に足の着いたブランドである確固たる証拠です。なぜ今まで遠ざかってきたのか、少し後悔もしました。

 

ちなみに「タンカー」シリーズが誕生したのは1983年。アメリカ空軍のフライトジャケット「MA-1」をモチーフにして細部までこだわったデザインは今も変わらず、金具は経年変化が楽しめるような仕上がりです。また、石井種次郎氏が手掛ける最高峰のレザー製ビジネスバッグは、当然ながら圧倒的な完成度です。オジサンになった今だからこそ、長く使える品質にこだわっている吉田カバンがしっくり来るので、改めて選んでみようと思います。

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「着こなし工学」エバンジェリスト

平 格彦

1974年、東京都生まれ。O型。天秤座。ライター/編集者。コラムニスト。プランナー。AllAbout「メンズファッション」ガイド。[着こなし工学]ファウンダー。JAPAN MENSA会員。野菜ソムリエ。大学でマーケティングを...

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