誘うことすらセクハラ…どうすりゃいいのと嘆く男性たち

人間関係

亀山早苗

 

■生き生きしていない自分に気づいてはいるけれど

 

「最近、どうもダメなんですよね」と独り言のようにつぶやく男性がいる。

 

「先を考えると面倒になってしまって、恋愛する気になれないんです」

 

こう言うのは、トシヒロさん(34歳)だ。彼は独身だが、同じような言葉を10歳年上、44歳のタカオさんも口にしている。2人は職場の先輩後輩の関係だ。

 

「いや、既婚者はもう恋愛しなくたっていいじゃないですか。でも、僕なんか出会って恋して結婚したほうがいいわけですよ、一般的には。だけどもう女性を口説くとか、ゼロから関係を作って結婚までもっていくという作業が面倒なんです。シミュレーションしただけで頭が痛くなる」

 

そんなトシヒロさんを横目に、タカオさんは「既婚者はもう恋愛しなくていいってなんだよ。家庭と恋愛は別なんだよ」とぶつぶつ。

 

「不倫するかどうかは別としても、心の中であの女性いいな、ステキだなと思ったり、その人と言葉を交わしたりするだけでも日々のモチベーションにつながると思うんですよね。だけど、最近そういう女性に出会わない。いや、出会っているのかもしれないけど、ステキだと思える余裕がないというか」

 

男として退化しているのではないか、とトシヒロさんもタカオさんも言う。そこは意見の一致を見ているようだ。

 

 

■男性が生きづらい世の中

 

「会社でも、ちょっと女性に声をかけたらセクハラと言われるんじゃないかと、男性たちはけっこうビビってます。男が生きづらい世の中だなあと思う」

 

タカオさんはそう言った。たとえばね、とタカオさんは前のめりになる。

 

「たまには後輩たちを誘ってメシでも……と思うんですよ。だけど、行こうと誘うと彼らは行きたくないのに無理強いされていると思うかもしれない。女性に対しても同じです。誘っていいのやら悪いのやら。前は気軽に誘えば気軽に来てくれたし、こちらが下心をもっていたとしてもそこをうまくかわしてくれた。だけど、今はあからさまに下心を指摘される。仕事関係はない場合、誘うときには若干の下心はありますよ、なかったら誘わない。だけど、そこを指摘されると男としてはつらい」

 

下心をもつのはやむを得ない。女性として意識されることを喜ぶ人もいるだろう。だが、問題はその表現のしかたなのだ。

 

「もちろん、セクハラになるようなことなんてしません。だけど、こっちだって男として意識してもらえたら、それはそれでうれしいじゃないですか。個人的な関係をもつかどうかは別の話ですよ。曖昧で、でもどこかほんわりと色気のある男女の関係ってもてないものですかね」

 

独身のトシヒロさんは、もはや色気のある関係でさえ面倒になっており、既婚者のタカオさんは色気のある関係をもちたいけどセクハラと糾弾されることを怖れる。いずれも「男としての意識」を放棄せざるを得ない状況であるらしい。

 

確かにさりげなく色っぽい会話などできない現状がある。男女が互いの違いを楽しみ、軽い冗談を楽しめる世の中になればいいのに……と感じてしまう。

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亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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