結婚の障害となっているかもしれない「ある劣等感」

人間関係

 

■「一家の大黒柱」という感覚

 

男性たちの心の中には、今も「男は一家の大黒柱」「家族を養わなければいけない」という感覚がある。自らそういう感覚をもったというよりは、育っていく中で刷り込まれた価値観だろう。女性の中にも「自分は養われるもの」「自ら稼がなくても結婚すればいい」と思っている人はいる。

 

そんな価値観が男性たちの首をじわじわと絞めている。

 

「30代になっても非正規で働いている。何度か正社員になろうとがんばったのになれなかった。そうしているうちに、自分はダメなんだと思うようになりました」

 

ツカサさん(37歳)は小声でそう話す。大学を卒業後、とある会社に勤めたが人間関係で挫折、そこからずっと非正規雇用で働いている。当時付き合っていた彼女は、彼が仕事を辞めたとたんに去って行った。

 

「女性は現実的ですよね。結婚を考えていたのに逃げられてしまいました。彼女の立場になればやむを得ないと思うけど、別れたことでますます自己否定の気持ちが強くなった」

 

もはや「大黒柱」になることは諦めていると話す。

 

 

■女性から見ると「卑屈さ」がNG

 

今どきの女性たちは、「専業主婦になりたい」と口では言うが、実際にはそれが難しいとわかっている。

 

「自分が非正規で働いているから、せめて相手は正社員であってほしいという気持ちはあります。ただ、好きな人が非正規だったら、ともにがんばっていくという生き方もあるんじゃないかな」

 

カスミさん(34歳)は前向きにそうとらえている。実際、彼女が今付き合っている人も非正規で働く同世代の男性だ。

 

「うちの親は結婚には反対ですが、私が今、資格をとる勉強をしていて、この試験に受かれば今より労働条件がよくなるんです。だから、彼が非正規でもなんとか暮らしていけると思う。彼自身は非正規であることに、それほど後ろめたさをもっていないし、なんとかもっと安定できるようがんばっているので、それが救いです。自分は非正規だからダメなんだと卑屈になられるのが一番困るので」

 

女性からすると、確かに男性のそういう劣等感には耐えられない。置かれた状況の中でどうがんばるのか、将来に向かってどう計画を立てていけるのか。それが大事なのではないかとカスミさんは力説した。非正規だから関係がうまくいかなくなるわけではなく、不必要な劣等感が恋愛を阻害しているのかもしれない。

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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