実質値上げの塾が増加中。費用対効果の高い塾の見つけ方とは?

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後藤 高浩

実質値上げの塾が増加中。費用対効果の高い塾の見つけ方とは?

先日の記事で学校教育費について書きましたが、受験生(特に受験学年)がいるご家庭は、まず塾の費用負担で頭が痛いのではないかと想像します。私は、毎年大手塾や気になる中小塾の年間費用をベンチマークしていますが、やはりここ数年毎年少しずつ値上げをしている塾が多いことに気付きました(GSは消費税増税分以外は4年間据え置きです) 。チラシに出したりする見かけの授業料を下げているところはいくつかあるのですが、授業時間(日数)を減らしていたり、模試教材費やその他の費用を合算したら実は値上げとなっていたり、合宿・特別講座等のオプションでかなり費用がかかる場合があるので、注意が必要です。

 

塾の費用を調べる時は、年間トータルの総費用で比較するようにしてください。模試教材費や施設設備費、オプション授業を平均的に登録した時の費用も含めて、1年間総計でいくらかかるのかということです。大手塾では、小6・中3の1年間で100万円以上の費用が当たり前にかかるところが少なくありません。私の手元にある大手塾の分の平均だと、100万円弱くらいの感じです。もちろん、これは集団授業の場合です。個別指導や家庭教師の場合は、本人の状況・希望によってかなり差がありますが、年間で200万円近い費用(月15万円以上!)をかけているという話を聞くことは珍しいことではありません。夏休みだけで100万円に近い支払いをしていたご家庭を、私はいくつか知っています。

 

「お前のところはどうなんだ!?」という声が飛んできそうなので、ここでGSの学年別年間総費用(2015年度分)を公開しておきます。

 

●通常の模試・教材費、講習会、日曜特訓等、すべて含んだ税込みの金額です(GSには施設費等の類はありません。入学時には2万円の入学金が必要です)。

 

●授業時間数を大手塾と比較すると、多くもなく少なくもなく、ちょうど平均的な時間数だと思います。

 

●兄弟姉妹同時通学割引は、2人目2割引、3人目4割引きです(入学金は無料)。

 

小4(4科)……31万7千円

小5(4科)……42万9千円

小6私立(4科)……64万7千円

小6都立(3科)……39万8千円

中1(3科)……29万9千円

中2(3科)……35万8千円

中3(3科)……59万4千円

中3(5科)……64万3千円

 

ただ、私は塾の費用は安ければいいと考えているわけではありません。安かろう悪かろうでは意味がありませんし、多少高い費用を払ってでも、納得できる指導が受けられたり、成績アップや志望校合格という成果が得られた方がいいとお考えになっている保護者の方は多いと思います。もちろん、同じような指導を受けられるのであれば、費用は安ければ安いほどいいのでしょうが……、いわゆる費用対効果・コストパフォーマンスという考え方ですね。

 

 

問題は、費用対効果の大きい塾をどうやって探すかということになるわけですが、私はこれは口コミ以外ないと考えています。はっきり言って、塾のチラシやホームページを見ただけでは何も分かりません。こういうブログを読めば、その塾(校舎)の責任者が考えていることはある程度分かりますが、それだけのことでしかありません。塾に行って面談等で話を聞いても、良いことしか言うわけがなく(笑)、責任者の話術が巧みだったりするとコロッと騙されて(?)しまう場合もあります。

 

その塾(校舎)にある程度長期間通って、受験を終えた生徒や保護者の方に話を聞くのが一番確実です。実際に塾に通った後、どんな講師にどんな指導を受けられるのか、日常的な保護者へのフィードバックがどんな感じでされるのか、困った時にどういう対応をしてもらえるのか等をリアルに聞けるはずです。変な言い方になりますが、第一志望校に合格できなかった生徒・保護者が納得・満足しているようであればまず間違いないでしょう。受験を終えた生徒の弟妹がどのくらい入塾しているかも1つのバロメーターになると思います。

 

大手塾の場合この部分で怖いのは、校舎による当たりはずれがとても大きいことと、同じ校舎であっても校長が異動になって変わったらまったく別の塾になってしまう場合が多いことです。特に1つの学年でクラスがたくさんあるような大規模校舎の場合、クラスによって(はっきり言うと成績によって)講師の質がかなり違う場合があるので注意してください。前の年に卒業した生徒・保護者から、「あの塾とてもいいわよ~」と聞いたとしても、今も同じ指導の質が保てているかどうかは分からないのです。

 

塾の講師の力量によって、費用対効果に大きく差がつくことになります。塾のシステムとか教材とか在籍生徒の質も含めた環境の部分にも一定影響を受けますが、やはり最後は「人」の力に行き着いてしまうのでしょう。生徒を指導する力量は、必ずしも塾講師としての経験年数には比例しません。一定の経験は必要だと思いますが、長いことやっている講師の中にも使えない者はたくさんいます。子どもの質は変わってきているのに、昔の栄光が忘れられず旧態依然の指導を繰り返していたり、体力・気力が低下して常に授業を「流している」状態でやっていたりするのです。しかし、如何せん経験があるので、子どもたちや場合によっては保護者にもそのことを気付かれずに、「あの先生はいい先生だ」という評価になっていたりします。

 

私は、こういう「老害講師」に教わるのであれば、まだ多少粗削りでも、若くて一生懸命な講師の方がまだましだと思っています。あっ、もちろんGSは元気で一生懸命で熱心なおじさん集団を自負していますので、ご安心ください。今年は若い講師が3名卒業して(1名は産休)、ベテランが1名入社したため、平均年齢は現在46歳となっています……。

 

もう1つ、塾の講師たちの本気度を見抜くファクターとして、生徒たちをきちんと叱れるかどうかという点があると思います。のべつ幕なしに怒っているような講師は論外ですが、生徒たちが他の生徒に迷惑をかけたり、明らかにできることをさぼっていたりする時に、真剣に生徒と向き合って叱れて、改善させられるかどうかということです。これができなければ、子どもたち1人ひとり(あるいはその集団を)を良い方向に導くことはできないはずです。

 

もっと言えば、保護者の方に対してもきちんと苦言を呈することができるかどうかも大きいでしょう。子どもたちを成長させるために、どうしても保護者の方の協力が必要だったり、保護者の方にも変わっていただかないといけない場面はあります。そういう時に、(不遜になってはいけませんが)保護者の方ともきちんと向き合うことができないと、本当の意味で子どもたちの成長につながらない場合が多いと思っています。

 

この部分については、若い経験の浅い講師や、すっかり隠居生活を決め込んでいるロートル講師にはできない場合が多いのです。

 

 

もう1つはまったく逆の視点になりますが、「できないことはできないとはっきり言ってくれるかどうか」という視点も必要だと考えています。私が校舎運営でダメだと考えているのは、何でもかんでもいいですよと引き受けて、結局ほとんど何もできないという状況です。特に大手塾の若い校長たちに多いのですが、最初から無理なことを抱え込んで悶々としていたりします。結局やりきれずに終わるわけですが、結果として生徒や保護者に迷惑をかけて、不満を募らされてしまうことになります。

 

具体的には、時間外の補習や質問受付、授業以外の課題を用意して点検すること、毎日の声かけ等が当てはまります。生徒は1人ではないので、ある一定期間ならともかく、長期的に1人の生徒に時間を割いて関わるという約束を何人もの生徒として行ったら、時間の制約・物理的な制約で行き詰まり、すぐにパンクすることは目に見えています。無理なことを断る勇気と、可能な代替案の提示・実行のスピード感がとても重要だと思います。

 

その視点で言うと、学習(特に塾の指導)の時間対効果に敏感になるべきだと考えます。ダラダラ長い時間塾に拘束されているのに成果が上がらない状況が最悪です。(特に講習会で)授業時間が異様に長かったり、意味なく自習に来るように強制されたり、個別指導で面倒を見ると言われて行ってもほとんど相手をしてもらえなかったり、大量の宿題を出してほとんど点検しなかったり、時間当たりの成果に鈍感な塾はダメな塾の烙印を押されても仕方ないでしょう。

 

費用も時間も、いかに効率的に成果を出すかという視点を保護者の方はもっと持つべきだと思います。もちろん、塾選びの段階で、その部分の判断が問われることになるわけです。

 

学校教育費はもちろん、塾や習い事も含めて、子どもの教育にお金がかかるのは事実ですし、今すぐこの状況を大きく変えることはできません。塾を経営している私がこういうことを書くと、「お前が言うな!」という突っ込みを常に覚悟していなくてはなりません(今のところ幸いあまりありませんが…...)。

 

ここでは、FPとしてのアドバイスを1つ書きたいと思います。

 

私は奨学金を借りることには反対の立場です。ここでは詳細を書きませんが、今の我が国の現状だとあまりにもリスクが大きいからです。私の教え子たちの中にも、奨学金返済のために20代~30代の時期にとても苦労している者が結構います。返済しなくてもよい支給型の奨学金がもらえるのであればどんどんもらうべきです。しかし、現在は国の制度としてはありませんし、大学や自治体が主催のものはとんでもなくハードルが高いものがほとんどで、実質存在しないと言ってもいいくらいです(貸与型の奨学金についても、無利子ものは成績の基準があったりして、結構狭き門となっています)。

 

東京都のチャレンジ貸付事業などはとても良い制度だと思います。志望校に合格した場合は返済しなくてもよいケースがほとんどです(これはGSの保護者でも利用している方はいらっしゃいます。塾が証明書を書かなくてはならないのです) 。ただし、中3・高3しか使えないこと、年収要件があることと、1年間で20万円しか貸与されないこと等の制約があるため、万人が利用できるものではありません。

 

そこで私がFPとして提案したいのは、おじいちゃん、おばあちゃんに教育費を出してもらうことです。

 

 

「そんなことができるのなら、子どもの教育費で苦労していないわよ!」という声が聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください。FPの仕事をするようになってから分かったのですが、可愛い孫のためにお金を出してもいいと考えているおじいちゃん・おばあちゃんは結構多いのです。もちろん、メリットがあるからここで紹介しています。

 

意外と知られていないのですが、2015年から相続税・贈与税の制度が大きく変わりました。まず、相続税の基礎控除額(この金額までは相続税がかからないというライン)が大きく減らされたのです。例えば、配偶者1人子ども2人を残して亡くなった場合、2014年までは8000万円までが非課税でしたが、2015年からはその額が4800万円となりました。それを超えた分は少なくとも10%以上(最大55%)が税金で持っていかれてしまうわけです。もちろんこの制度変更は、たくさんお金を持っている高齢者の方に、元気なうちにもっとお金を使ってもらおうという考え方に基づいています。子どもや孫への贈与については、毎年基礎控除の枠が110万円ありますが、やはりこれも超えた分の贈与には、決して小さくない額の税金がかかります。

 

ところが、教育費の名目であれば、1500万円まで一括で贈与ができて、税金は一切かからないのです。特定口座を作らなくてはならないことと、領収書を金融機関に提出しなくてはならない煩わしさはありますが、もし1500万円を普通に一括贈与したら366万円の贈与税がかかるので、この制度のメリットはとても大きいと思います。

 

1500万円の内訳ですが、学校の授業料等はもちろん、塾・習い事の費用も500万円までOKです。修学旅行の積み立てやランドセル・机等の学用品も認められます。さらに、何と子ども・孫が30歳になるまで非課税なのです。大学院の費用までおじいちゃん・おばあちゃんが非課税で孫に渡すことができるということです(孫が30歳になった時に特定口座に残金が残っている場合は、その分に課税されるので注意してください)。

 

さらに、教育費ではありませんが、同じような制度で「孫の結婚資金」についても1000万円の非課税枠があります(こちらは、孫の年齢が20歳~50歳までの期間。1000万円のうち、結婚式の費用は300万円までです)。

 

「子ども・孫のためにお金を使いたいけど贈与税を取られるのはちょっと……」と考えているおじいちゃん・おばあちゃんは多いと思います。これらの情報をぜひ教えてあげてください。お正月などに会った時に、お願いしてみたらいかがでしょうか? 意外とあっさりOKしてもらえるかもしれませんよ…...。

 

こういう部分の手続き等詳細をお知りになりたい方は、GSのFP事務所へどうぞ……(笑)。

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後藤 高浩

株式会社ジー・エス代表取締役 GS進学教室代表 東京都八王子市で進学塾を運営する傍ら、学校や塾の先生対象の講演・研修に携わる。最近は、就職活動で苦しんでいる大学生の支援にも注力している。

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