【中年名車図鑑|7代目 トヨタ・クラウン】日本中のドライバーに「いつかはクラウン」と思わせた、日本ならではのプレステージサルーン

車・交通

大貫直次郎

かつての免許取り立てのドライバーは、こすったりぶつけたりすることを考慮して中古車の購入からスタートし、新車に移ってからは徐々に車格を上げていくのが主流だった。トヨタ車では、カローラ→マークⅡ→クラウンの流れが王道。このクルマ選びを象徴する「いつかはクラウン」というキャッチコピーを冠したクルマが1983年に登場する――。今回は2018年一発目ということで、近年装着車がめっきり減った“正月飾り”がとてもよく似合った第7世代のS120型系クラウンで一席。

 

 

【Vol.49 7代目 トヨタ・クラウン】


1955年のデビュー以来、国産ラグジュアリーサルーンの代表格に位置するトヨタ自動車の“王冠”ことクラウンは、1983年8月にフルモデルチェンジを実施し、第7世代のS120型系(MS123/MS120/GS121/GS120/LS120)に移行した。
7代目の開発テーマは「世界最高級のプレステージサルーン」の創出。具体的には、プレステージサルーンにふさわしい基本性能と高品質の追求、高級グレードの強化とハードトップおよびステーションワゴンのパーソナルユースへの対応、魅力ある新機構・新装備の積極採用という3テーマを掲げた。

 

■「世界最高級のプレステージサルーン」を標榜したデザインとメカニズム

 

7代目クラウンというと4ドアハードトップのイメージが強い。ハイソカーブームに乗って、若年層からも多くの支持を集めた

まず基本骨格に関しては、強靭な新設計フルフレームに防振性能を高めたボディマウントシステム、フレームとボディの間に新設したアブソーバー、剛性および遮音向上を図ったボディシェルで構成。ホイールベースは従来比+30mmの2720mmに、スリーサイズは従来と同レベルの全長4690~4860mm×全幅1690~1720mm×全高1400~1515mmに設定する。ボディタイプは新設の4ドアハードトップのほか、4ドアセダン、ステーションワゴンおよびバンを用意した。懸架機構はフロントにダブルウィッシュボーン/コイル、リアにセミトレーリングアーム/コイル(ロイヤルサルーン系)または4リンク/コイルを採用。さらに、プログレッシブパワーステアリングや4輪ESC、オートレベラーといった電子デバイスも組み込んだ。搭載エンジンは5M-GEU型2759cc直列6気筒DOHC(175ps)や1G-GEU型1988cc直列6気筒DOHC24V(160ps)、1G-EU型1988cc直列6気筒OHC(125ps)、M-TEU型1988cc直列6気筒OHCターボ(145ps)、2L-T型2446cc直列4気筒OHCディーゼルターボ(96ps)、2L型2446cc直列4気筒OHCディーゼル(83ps)など計11機種をラインアップ。組み合わせるトランスミッションには、5速MT/4速MT/4速AT(5M-GEUには1つのマイコンでエンジンと統合制御する電子制御式2ウェイオーバードライブ付4速ATをセット)を設定した。

 

4ドアハードトップのインテリア。三重ドアシールドや新ボディマウントにより、世界最高水準の室内静粛性を実現した


エクステリアについては、品格と豪華さを併せ持つ現代感覚あふれるスタイルの創出を基本に、各ボディの個性を従来よりもいっそう際立たせる。4ドアハードトップは“ハイソサエティ オーナーカー”が造形テーマ。クリスタルピラーと称する光沢のある樹脂でカバーしたリアピラーやラップラウンド形状のリアウィンドウなどにより独自の美しいシルエットを創出する。4ドアセダンは“日本を代表するフォーマルセダン”の実現を目指し、低いベルトラインや大きく明るいグリーンハウス、風格のあるフロントグリルなどを採用した。そしてステーションワゴンは、“本格的高級ステーションワゴン”の演出を念頭に、開放感あふれるスカイライトウィンドウや居住性に配慮した2段ハイルーフなどを導入する。一方で内包するインテリアは、ホイールベースの延長による居住空間の拡大をベースに、ボディごとにアレンジを変えたインパネやシート&ドアトリム表地を採用。また、三重ドアシールドや新ボディマウントなどの設定により、世界最高水準の室内静粛性を成し遂げた。

 

“日本を代表するフォーマルセダン”を標榜した4ドアセダン。風格あるフロントグリル、明るいグリーンハウスが特徴

 

 

■積極的にバリエーションを拡充


キャッチコピーに「いつかはクラウン」と謳い、最高級のプレステージサルーンというキャラクターを誇示した7代目クラウンは、デビューと同時に高い人気を獲得。とくに4ドアハードトップは若い富裕層、後にいうヤンエグ(ヤング・エグゼクティブ)から熱い支持を集めた。


この好評ぶりを維持しようと、トヨタは積極的にバリエーションの拡充や機構面の進化を図っていく。1984年8月には一部改良を実施。3ナンバー車の搭載エンジンは5M-GEU型から6M-GEU型2954cc直列6気筒DOHC(190ps)に換装し、また2L-THE型2446cc直列4気筒OHCディーゼルターボ(105ps)+4速AT車を追加設定した。1985年9月になるとマイナーチェンジを敢行し、搭載エンジンに1G-GZEU型1988cc直列6気筒DOHC24Vスーパーチャージャー(160ps)を設定する(M-TEUエンジンは廃止)。さらに、内外装アレンジの一部変更やスーパーセレクト(4ドアHT)/スーパーサルーンエクストラ(ワゴン)シリーズの追加などを行った。

 

 

■スポーティ志向の「アスリート」の設定は7代目から始まった


7代目クラウンは魅力的な特別仕様車を数々リリースしたことでも脚光を浴びる。とくに人気が高かったのは、後にクラウンのスポーティグレードとしてカタログモデルに昇華する「アスリート」だ。Sタイプパッケージと同様の強化サスペンションに欧州向けチューニングのパワーステアリング、エアスポイラー、エレクトロニックディスプレイメーターなどを装備した走り志向のクラウンは、とくに若い層から熱い支持を集めた。


1980年代中盤以降になると、市場に“ハイソカー”ブームが到来。7代目クラウン、とくに4ドアハードトップモデルがその一役を担うようになる。若いオーナードライバーのユーザー層を拡大し、プレステージのみならずスポーティなイメージも加味した高級サルーンの7代目クラウン。その路線は、「満たされて、新しいクラウン」のキャッチを冠した1987年9月デビューの8代目(S130型系)でも引き継がれることとなったのである。

 

 

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大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バ...

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