“1000馬力オーバーのトヨタ車”は東京オートサロンの目玉となるか?

車・交通

 

世界最大級のカスタマーカーイベント、「東京オートサロン2018」が1月12日から幕張メッセ(千葉市)で始まる(12日は14時以降に一般特別公開。13日、14日は終日一般公開)。個人的に大注目しているのはTOYOTA GAZOO Racingのブースだ。「GRスーパースポーツコンセプト」が発表されるからである。

 

トヨタはプレスリリースで

 


モータースポーツを通じてクルマを鍛え、人を鍛える「もっといいクルマづくり」に取り組んでおり、世界ラリー選手権(WRC)や世界耐久選手権(WEC)などのトップカテゴリーをはじめ、国内ラリーやレースに参戦している。そして、それらの活動で得た技術や知見を生かし、新たな市販車に繋げていく

 


と宣言している。


2017年9月には「GRシリーズ」を立ち上げたが、これはモータースポーツ直系のスポーツカーシリーズだ。メルセデス・ベンツにとってのAMG、BMWにとってのM、アウディにとってのアウディ・スポーツと同種のブランディングで、スポーツ性とプレミアム性を高めたブランドである。


では、オートサロンで発表されるGRスーパースポーツコンセプトはどんなクルマかというと、現段階では「WECへの参戦活動が生かされたコンセプトカー」とだけ発表されている。同時に、車両のシルエットがわかるスケッチが1枚公開された。

 

現在「GRスーパースポーツコンセプト」の手がかりはこの1枚のスケッチのみ。ホイールアーチの高さから車高が相当低いことが想像できる


斜め後方からGRスーパースポーツコンセプトを眺めた様子である。シルエットくらいしかわからないが、それでもこのクルマがスペシャルな1台であることを理解するには充分だ。間違いなく、専用設計されたオリジナルモデルだろう。既存のモデルをベースに「WECのエッセンスを付与してみました」といった子供だましの演出ではないことは伝わってくる。


判別できるホイールのシルエットから、GRスーパースポーツコンセプトは相当に車高が低いことも想像できる。横に立ったら腰のあたりにルーフが位置するような、極端に低い車高の持ち主ということだ。前後のタイヤを包み込むフェンダーのふくらみやコクピットの形状は、WECに参戦するトヨタTS050ハイブリッドと色濃い関連があることを示している。

 

 

 

■エンジン500ps+モーター500ps=1000ps

 


想像でしかないが、確信に近い想像で言うと、GRスーパースポーツコンセプトは、トヨタTS050ハイブリッドのロードゴーイングバージョンの位置づけに違いない。となると、気になるのはパワートレーンである。

 

トヨタTS050ハイブリッド。「GRスーパースポーツコンセプト」はこのモデルのロードゴーイングバージョンという位置づけに違いない

トヨタTS050ハイブリッドは、「THS-R」と呼ぶハイブリッドシステムを搭載している。「THS」ならプリウスをはじめとするトヨタの市販ハイブリッド車が搭載しており、TOYOTA HYBRID Systemの略だ。THS-Rの「R」はRacingである。


市販車が搭載するハイブリッドシステムは、ゆっくり減速する過程で、そのときの運動エネルギーをモーターで回生して電気エネルギーに変換するのに適したシステムになっている。一方、THS-Rは、超高速域から短時間で一気に減速する際に発生する大量のエネルギーを効率良く回生するシステムとしているのが特徴だ。格段に高性能であり、求められる技術レベルが違う。


短時間に大量のエネルギーを回生するため、TS050ハイブリッドはフロントとリヤに高出力のモーターを搭載している(減速時にこのモーターを発電機として使う)。前後の振り分けは未公表だが、2基のモーターを合わせた出力は367kW以上だ。馬力に換算すると500ps以上である。これだけでも驚きだがエンジンがまたすごく、2.4L・V6直噴ツインターボもまた367kW(500ps)以上を発生する。


合わせて1000馬力以上だ。リチウムイオンバッテリーの容量の問題があるので常に1000馬力オーバーで走れるわけではないが、500馬力のエンジンパワー(これだけでも充分にハイパワーだ)に500馬力のモーター出力が加わったときの加速といったら、そのままワープするんじゃないかと思うくらいの勢いだ(何度も目にしているので、間違いない)。


ロードゴーイングカーとして成立させる必要から、そのままスペックということはないだろうが、THS-Rのエッセンスは受け継いでいるものと期待したい。それでこそ「スーパースポーツ」を名乗るにふさわしい。

 

メルセデスAMGが発表したプロジェクト・ワン


そうやってGRスーパースポーツコンセプトの中身に想像を巡らすと、段違いの性能が浮かび上がってくる。大きな出力を支えるサスペンションやボディ骨格もスペシャルメイドに違いない。2017年にメルセデスAMGが発表したプロジェクト・ワンはF1のパワーユニットをそのまま積んだロードゴーイングカーだが、GRスーパースポーツコンセプトはそのWEC版だ。

 

プロジェクト・ワンとともにライバルと目される、アストンマーティン・ヴァルキリー


F1デザイナーのエイドリアン・ニューウェイが設計したアストンマーティン・ヴァルキリーもライバルとして浮上する。こちらは、ニューウェイお得意の空力に特化したスーパースポーツカーだ。プロジェクト・ワンもヴァルキリーも、車両価格が日本円にして軽く億に達する点で共通している。GRスーパースポーツコンセプトの販売計画は発表されていないが、もし販売されるとしたらライバルと同等と見て間違いないだろう。


GRスーパースポーツコンセプトは東京オートサロンで発表されるや否や、「なんだこのクルマ!」と世界中のクルマ好きを驚喜させるに違いない。一部の気の早い大金持ちは「売ってくれ」と言ってくるはずだ。

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モータリングライター&エディター

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全...

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