ついにバービーの体型が変わった。「モテ系」から女子が離れ始めた理由

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後藤百合子

ついにバービーの体型が変わった。「モテ系」から女子が離れ始めた理由

■カービー(豊満)バービー発売の衝撃
今週号の米『TIME』誌の特集は、あのバービー人形。アメリカの少女の9割以上がもっているという国民的アイドルですが、驚くことに、先月から「カービー(豊満)バービー」というぽっちゃり型が従来のスレンダー型に加えて売り始められたというのです。

 

そもそもバービーの現実には決してあり得ない体型は、時代の流れに逆行するものでした。世界中で大ヒットしたメーガン・トレイナーのぽっちゃりさん応援ソング「オール・アバウト・ザット・ベース」や、フランスの激ヤセモデル雇用禁止法など、モデル体型にあこがれるティーンエイジャーを拒食症から守るトレンドが最近の世界世論の主流になっており、そもそも1950年代にドイツの売春婦を模した人形をモデルにして作られたというバービー人形も批判対象のひとつでした。

 

いっぽう、バービーを販売するマテル社はそんな世論には馬耳東風といったところで、がりがりセクシーなバービー体型を変えるどころか、インターネットを使ったマルチメディア戦略で着々と売り上げを伸ばしていたところだったのです。

 

しかし、そこにストップをかけたのがあのディズニーの「アナ雪」。

 

アメリカでは2013年の公開なので、すでに公開から2年以上過ぎていますが、相変わらず子供たちの間の人気は衰えるところを知りません。逆に、ライバル会社にエルサ人形の版権を握られたマテル社は、2012年に3%、2013年に6%、2014年には2桁の16%とずるずると売り上げを落とし、ついにカービー・バービーの発売に踏み切ったというところが真相のようです。

 

 

■「かわいくておバカ」では生きていけない
では、バービーの体型まで変えた「アナ雪」のエルサの魅力とは何でしょうか?

 

私にも6歳の娘がいるのでよくわかるのですが、正直なところ、子供に両者の違いがわかっているとはとても思えません。バービーもエルサも金髪(エルサは銀髪ですが)で、くびれたウエストにきらきらのコスチューム。少女たち目にはこのような容姿がデフォルトで美しいと映っており、それがバービーであろうがエルサであろうが大した違いはないのです(このことはエルサ人形と一緒に売られているアナ人形の不人気をみればよくわかります)。

 

問題は、人形を娘に買い与える親の意識のほうです。

 

女の子は美しく、可愛らしく、素敵な男性をみつけて婚約し、素敵な結婚式を挙げて「ハッピーエンド」、の物語を信じるには世の中は複雑になりすぎてしまいました。素敵な結婚式の後も人生は続きます。離婚はもはや当たり前。バービーのような夢の家に住んで専業主婦(ホームメーカー)になっても、夫はいつリストラされるかわからず、超学歴社会で子供に大学もしくは大学院まで教育を与えるためには妻も働かざるをえませんし、子供にもバービーのように「数学って難しいのねー」なんて甘えたことを言ってないでちゃんと勉強してもらわなければ困るのです。

 

つまり、「かわいくておバカで楽天的」なバービーは古き良きアメリカではアイドルに成り得たけれど、現代社会ではただの落ちこぼれであり、「ありのままに(自分の力で)生きていく」と朗々と歌い上げるエルサのほうがどうみても時代にマッチしています。自分の娘にはバービーではなくてエルサになってもらいたい、という親の願望こそが、バービーの売り上げ激減の直接の原因だと思うのです。

 

 

■女はもはや「モテ系」をめざさない
では、この少女たちが大人になったとき、どのような女性になっていくのでしょうか?

 

私は、彼女たちがより「モテ系」ではなく「自分らしさ系」のファッションや興味を追求するタイプになっていくと思います。男性が望む「こうあってほしい」女性像に近づこうとするのではなく、「自分がなりたい」女性になろうとする女性の数がさらに増えていくでしょう。そして「結婚ー人生の目標」という少女はほぼ絶滅するのではないでしょうか。

 

その中でこれからどんな家庭や家族を理想の形としていくのか、模索が続いていくのだと思います。

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後藤百合子

大正5年創立、今年で100周年を迎える繊維会社の4代目社長。 日本語、英語、中国語(北京語と広東語)のトライリンガル。現在、シンガポールでも会社を経営中。 ツイッターアカウントは@sinlife2010

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