「副業禁止」を言うからには、会社もやるべきことがある

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「副業禁止」を言うからには、会社もやるべきことがある

ロート製薬は4月から、国内の正社員約1500人を対象に、就業先を届け出れば、平日の終業後や土日祝日に他社やNPOなどで働く兼業を認める制度を始めるそうです。会社の枠を超えて培った技能や人脈を持ち帰ってもらい、ダイバーシティー(多様性)を深める狙いがあるとのことです。

 

このようにサラリーマンの副業を認めていこうという流れは、少しずつ動きが出始めているとはいうものの、実際に認めている会社はまだまだ少数派です。

 

最近はマイナンバーの導入にからんで、会社に内緒の副業がばれるというような話から、それを防ぐ方法をレクチャーするような記事も目にしました。「副業禁止」が大多数の現状だからこそ、こういう話が出てくるのだと思います。

 

そもそもの話として、サラリーマンの副業がなぜいけないこととされるのか、少し調べてみた中で出てきた理由は、以下のようなものでした。

 

・会社の情報やノウハウを漏えいさせないため

 

・会社の資産を使って個人に金儲けをさせないため

 

・社員には自社の仕事に集中してもらうため

 

・副業を手掛けると会社への帰属意識に差し支えるため

 

・副業で疲れがたまると本業に差し支えるため

 

・副業を通じた評判などが、本業に悪影響を与えないようにするため

 

・就業時間中に副業されるのを防ぐため

 

などなど。

 

それぞれもっともな感じがしますし、もしも私が企業人事の立場であれば、たぶん何の疑問も持たなかっただろうと思います。

 

ただ、これをコンサルタントという立場で一歩引いてみてみると、例えば「本業に集中できない」は、何も副業に限ったことではなく、趣味や非営利の社外活動でもあり得るでしょうし、私生活上の問題などが、同じく仕事に集中できない原因となることはあるでしょう。

 

 

一番の理由と思える「情報漏えいや流出」「会社の資産を利用した金儲け」についても、もちろんそうなる恐れは排除できませんが、実際問題として、いま持っている会社の資産や情報を、同じ人が本業と副業の同時並行で使うことは、相手側も違和感を持つでしょうし、意外に難しいのではないでしょうか。

 

副業を通じてというよりは、自分以外の関係先や自分の退職後など、会社から身を遠ざけた上で、中には不正の意図をもって行われることの方が多いように思います。

 

さらに、「帰属意識」「疲労」「自社の評判」などとなってくると、これはもう自社以外の仕事を副業として行うことに対する、単なる嫉妬のようにも思えてきます。

 

かつてであれば、企業が社員の副業を禁止することに、私はそれなりの説得力があったと思っています。終身雇用が前提で、給与も年とともにそれなりに上がっていく、要は「会社はあなたの面倒を最後まで見るので、その代わりに変な浮気はせず、会社に一途に向き合いなさい」ということです。

 

ただ、残念ながら、今はもうそういう時代ではありません。会社に対して一途に向き合っていた人が、ある日突然仕事を失うかもしれない時代です。一途であった人ほど他へのつぶしが効かず、収入を得る手段がなくなってしまいます。

 

最近は共稼ぎの家庭も多いですが、女性の社会進出という理由だけでなく、一人の稼ぎだけでは家計を維持するのが難しいということや、働き手が複数いれば何かあった時のリスクヘッジになるということもあるでしょう。

 

今の時代に、会社が「副業禁止」を言うのであれば、社員の面倒を自社ですべて最後まで見るという覚悟が必要だと思います。そのつもりがないのであれば、「副業禁止」は、社員が生活を維持していく選択肢を奪っているだけです。

 

もちろん、何でも野放しにしろとは言いません。ただ、将来の保証をしないのに、昔からの慣習のままで「副業禁止」を言うのは、私はちょっと一方的すぎるのではないかと思います。

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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