フィギュア宇野昌磨選手が「トヨタの従業員アスリート」って知ってた?

話題

 

平昌オリンピックの男子フィギュアスケートで、宇野昌磨選手が銀メダルを獲得した。その宇野選手の所属が「トヨタ自動車」と知って、「あ、そうだったんだ」と思った次第。


トヨタ自動車は韓国・平昌(ピョンチャン)で開催される2018冬季オリンピック・パラリンピック大会に、トヨタの従業員アスリートを含む、世界20ヵ国50人以上を「チーム トヨタアスリート」としてサポートしている。「Start Your Impossible」のテレビCMでご存じの方も多いだろう。


チーム トヨタアスリートは、従業員アスリートに加え、各国で選出したトヨタの理念や価値観(「チャレンジ」「改善」「質実剛健」「チームワーク」「謙虚・感謝」「素直・正直」等)をともにするアスリートから構成されているという。

 

宇野昌磨選手はトヨタ自動車に嘱託社員として属する「従業員アスリート」


宇野選手は従業員アスリートだ。そう知って、「え、社員なの? じゃ、現役を退いたらトヨタ自動車の社員として働く可能性もあるわけ?」と早合点したのは筆者である。ご丁寧にトヨタの広報部に連絡し、「そうなんですか?」と聞いてしまったのもまた筆者である。あぁ、恥ずかしい。


宇野選手はトヨタの従業員アスリートである前に、中京大学の学生だ。確かにトヨタの従業員アスリートではあるけれども、「嘱託社員」である。ちなみに、「総務・人事本部 スポーツ強化・地域貢献室」の所属だ。


しかし、従業員であることに変わりはなく、銀メダル獲得の快挙に対し、豊田章男社長は健闘をたたえ次のようにコメントした。

 

宇野昌磨選手、平昌オリンピックでの銀メダル獲得おめでとうございます。

初出場となる世界最高の舞台。
世界中のライバル達の活躍を見届けて、最後に登場するプレッシャー。
世界中のファンの方々の期待。
すべてを力に変えて、「宇野くんらしさ」を出し切った素晴らしい演技に感動しました。

ずっと背中を追い続けてきた羽生選手と揃って登った表彰台。
努力に努力を重ね、自分自身との闘いに勝ち抜いた人にした見えない景色があったと思います。

世界中が歓喜に包まれた素晴らしいニュースをありがとう!


従業員アスリート以外のチーム トヨタアスリートはすべて外国人選手だ。そのうちのひとり、パラリンピックのバイアスロン(スキーと射撃)とクロスカントリースキーに出場するアンドレア・エスカウ(ドイツ)選手が乗るスキースレッドには、トヨタがモータースポーツ活動で培った技術が生きている。


カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)製のスキースレッドは、ドイツ・ケルンにあるトヨタ・モータースポーツGmbH(TMG)製だ。TMGは、かつてはF1(2002年?2009年)の開発拠点として、2012年以降はル・マン24時間をシリーズの一戦に含む世界耐久選手権(WEC)の活動拠点として機能している。

 

パラリンピックに出場するアンドレア・エスカウ(ドイツ)選手が乗るスキースレッドは、トヨタ・モータースポーツGmbH(TMG)製


エスカウ選手が操るスキースレッドは、ル・マンレーサーのトヨタTS050ハイブリッドと同じ技術が用いられているのだ。コンピューターを駆使した設計プロセスや、最先端の工作機械を用いた製造プロセスもル・マンカーと同じである。


エスカウ選手は2014年にソチで開催されたパラリンピックでもTMG製のスキースレッドを使用しており(そのソチでは金メダルを2個獲得した)、今回は新調したことになる。CFRPで物を作るときはカーボンのテキスタイルを積層するのだが、その積層プロセスを工夫することで、必要な強度を確保したまま30%以上の軽量化を実現したという。競技では6kmのコースを上半身の力だけでこなさなければならず、スキースレッドの軽量化は大きな助けになる。


設計に際して重要視されたのはそれだけではない。人間工学的な観点からも見直された。とくに重要視したのは、射撃時の安定性だという。新型はいくつかの部品の位置を見直すことで、射撃時の安定性を強化すると同時に体とのフィット感も高めたという。


モータースポーツで鍛えた技術は、意外なところで役立っている。
 

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モータリングライター&エディター

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全...

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