暗雲垂れ込めた1年前とは対照的…今年のホンダF1は期待できる!?

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新生ホンダF1の活動が本格的にスタートした。2015年から17年まではマクラーレン・ホンダだったが、2018年はレッドブル・トロロッソ・ホンダだ。


2018年シーズンは、3月25日に決勝レースが行われるオーストラリアGP(メルボルン)で幕を開ける。その開幕に向けて調整を行う合同テストが、2月26日にスペイン・バルセロナ郊外のサーキット(第5戦スペインGPの舞台でもある)で始まった。


その合同テストを前に、ホンダの新型パワーユニット「Honda RA618H」を搭載した新型マシン「レッドブル・トロロッソ・ホンダSTR13」が公開された。ルノーのパワーユニットを搭載していた17年型STR12の設計コンセプトとカラーリングを踏襲するが、ノーズの先端に「Hマーク」があるだけで印象はまったく異なる。STR12のときもエンジンカウルに赤いラインが入っていたが、まるで新たにデザインしたかのように「HONDA HYBRID」の文字が映えている。

 

ホンダの新型パワーユニットを搭載した「レッドブル・トロロッソ・ホンダSTR13」。設計コンセプトとカラーリングは17年型STR12と同様。ノーズに「Hマーク」が光る

ドライバーはフランス出身のピエール・ガスリーと、ニュージーランド出身のブレンドン・ハートレーだ。両ドライバーとも2017年シーズン中にトロロッソでF1デビューを果たしているが、フル参戦は今年が初めてだ。


ガスリーは2016年にGP2(現F2)でチャンピオンになると、2017年はスーパー・フォーミュラに参戦してシリーズ2位になった。ハートレーはポルシェLMP1プログラムの一員として、ル・マン24時間レースの優勝とWECのシリーズチャンピオンを経験している。両ドライバーとも申し分ない実績の持ち主だ。


ホンダは1年前の合同テストでつまずいた反省から、トロロッソと組むにあたっては入念かつ慎重に準備した。例えば、2017年は設備側の都合もあってエンジンとギヤボックスを締結した状態で振動モードのテストを行うことができずにテスト~実戦に突入。シミュレーションで確認してはいたが、実際に走らせてみると事前に確認したのとは異なる振動モードが発生し、MGU-K(運動エネルギー回生システムを構成するモーター/ジェネレーターユニット)のシャフトが折れるトラブルが発生した。


こうしたトラブルを繰り返さないよう、トロロッソと組んで開発するにあたっては、早い段階で日本の研究開発拠点(HRD Sakura)にトロロッソのギヤボックスを取り寄せ、エンジンと組んだ状態での振動モードの評価に取り組んだ。

 

1年前の反省から、ホンダはトロロッソと組むにあたり入念かつ慎重に準備を行った。ハード面だけでなく、ソフト面でもスムーズに進むように、トロロッソ内で日本人の仕事の進め方、考え方をレクチャーした


一方、初めて日本の会社とパートナーを組むトロロッソも、トラブルを未然に回避し、早い段階で結果に結びつける努力をした。パワーユニット側とシャシー側であれ、チームとドライバーであれ、メーカーとサプライヤーであれ、いかにそれぞれが高いレベルにあろうとも、相互理解がなければ結果には結びつかない。


過去に1年間日本のレース界に身を置いたことのあるチーム代表のフランツ・トストは、トロロッソのファクトリーでセミナーを開き、自らの体験をもとに日本の企業の仕事の進め方や日本人の考え方などについてスタッフにレクチャーしたという。


ホンダ、トロロッソ、両者の努力の甲斐があり、8日間予定されているテストの序盤ではあるものの、プログラムは順調に進んでいる。マクラーレン・ホンダだった昨年はトラブルが続発したこともあり、1日目に29周、2日目に40周したにすぎなかった。トロロッソ・ホンダになった今年は1日目に93周、2日目に82周を周回した。信頼性に関してはパーフェクトな出だしを切ったと言えるだろう。


レッドブル・トロロッソ・ホンダSTR13がテスト2日目までに記録したベストタイムは1分21秒318である(1日目は全体の8番手、2日目は6番手)。昨年のトロロッソのテスト前半4日間のベストタイムは、1分22秒956だった。

 

マクラーレン・ホンダだった昨年は、1日目に29周、2日目に40周したにすぎなかった。トロロッソ・ホンダになった今年は1日目に93周、2日目に82周を周回。仕上がりは順調だ


ちなみに、2017年のスペインGPでトロロッソが予選で記録したタイムは1分21秒371(C・サインツJr.)である。気温や路面温度、履いているタイヤ、搭載している燃料量など、条件が異なるので単純な比較はできないが、ホンダとパートナーを組んだトロロッソはすでに、昨年の予選より速いペースでサーキットを周回していることになる。


2017年のホンダは合同テストが始まった段階でつまずき、それが尾を引いて悪夢のようなシーズンを過ごした。暗雲垂れ込めた1年前とは対照的に、今年のホンダは明るいスタートを切っている。
 

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モータリングライター&エディター

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全...

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