「リオ五輪」閉幕。スポーツ選手の広告起用が増えるこれだけの理由

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出典:ユニクロ公式オンラインストア

 

■ 過去最高数のメダル獲得

 

日本人選手が大活躍し、過去最高のメダル獲得数を記録したリオ五輪。柔道男子では全階級でメダルを獲得、卓球男子は史上初のメダル獲得、レスリング女子や水泳でもメダルラッシュが続いた。そして、世界を驚かせた男子100m×4リレーでの銀メダル。アンカー勝負では、100mと200mで3大会連続金メダルを獲得したウサイン・ボルトの背中がすぐ目の前にあるという信じられない光景があった。男子テニスシングルスでも錦織圭選手が日本人として96年ぶりのメダル獲得となった。

 

様々なシーンが日本人に大きな印象を与え、感動を残したが、その中でももっとも印象に残ったシーンの一つがレスリング女子53Kg級の吉田沙保里選手ではないだろうか。世界選手権16連覇というスポーツの世界ではもはや想像を絶するような圧倒的な強さを誇った吉田選手が銀メダルに終わった。吉田選手や家族だけでなく、吉田選手に憧れ、吉田選手を目標にレスリングをしてきた女子金メダリストたちまでもが号泣した。銀メダルは吉田選手にとっては、悔しく、不甲斐ない結果だろうが、その戦いぶりと姿勢は、多くの日本人にとても大きな感動を残した。

 

リオ五輪が始まる前には、安全や施設工事の面など、さまざまな不安が取りざたされた。また開催への不安だけでなく、ロシアのドーピング問題、オリンピックにまつわる利権や癒着といったスポーツとは懸け離れた話も飛び交った。こうした中、オリンピックのあり方に問題を提起する人たちもいた。中には、オリンピックの必要性にまで言及する人たちも現れた。しかし、いざ始まってみると、こうした問題など関係なく、真伨に全力で勝負する選手たちの姿は人々の心を打った。

 

こうした中、広告業界のスポーツ選手への注目は高まっている。

 

 

■ スポーツ選手起用のメリット

 

スポーツ選手の広告キャラクター起用熱が高まるのには理由がある。それは、広告に起用した選手が活躍すると、企業にさまざまなメリットがもたらされるためだ。例えば、錦織選手が銅メダルを獲得した時、スポンサー企業であるユニクロに錦織選手が着用していたポロシャツへの問い合わせが相次いだ。2014年の全米オープン準優勝時も、ユニクロのポロシャツが品切れになるだけでなく、錦織選手に関連する銘柄の株価が軒並み上昇した(詳しくは、2014年9月11日AllAbout newsdig記事「」)。スポーツ選手が活躍すると、企業の商品の売上が増加するという実効果が出るのだ。

 

選手が活躍することでのメリットは、商品の売上増加だけにとどまらない。当然ながら、企業イメージの向上に大きく貢献する。芸能人を広告キャラクターとして起用する場合と比較すると、スポーツ選手が活躍した場合、企業にとって単に認知度が向上するだけでなく、イメージも大きく向上するのだ。

 

その他にもスポーツ選手起用のメリットは多い。これからの日本企業は、ますます世界を相手にビジネスをしていかなければならない。こうした中、世界を相手に勝負をしているスポーツ選手の存在は企業にとっても望ましいものである。そして、ひたむきに努力し、くじけずに戦う姿も、企業にとっては望ましいイメージなのだ。

 

 

■ 芸能人起用リスクの高まり

 

これから2020年にかけてスポーツ熱が高まり、広告キャラクターとしてスポーツ選手の起用が増加する背景には、「芸能人起用リスク」が高まっていることも少なからずある。

 

特に2016年に入ってから、不倫問題を中心に芸能人のスキャンダルが増えた。また、日本を代表するタレントであるSMAPの解散報道も世間を賑わせた。これらの騒動によって、広告主はCMのオンエアを中止したり、キャラクター契約を取りやめる自体に追われることとなった。広告主にとって、広告キャラクターに問題が発生するということは、ただ単に広告ができないということではない。広告キャラクターを起用したキャンペーンのために、営業は代理店や販売店に説明し、商品製造数を増やす準備などもしている。それらの戦略が白紙になってしまうのだ。それだけでなく、長い時間をかけて蓄積してきたブランドイメージが一瞬でマイナスに転じる危険性もある。

 

ちなみに2016年に入り、日清食品は、過去に不倫騒動を起こしたタレントを起用した広告キャンペーンを展開した。しかし、消費者のクレームによって、すぐにキャンペーンを中止せざるをえなくなったのだ。数々の広告賞を受賞し、広告のことをよくわかっている日清食品でさえ、問題を起こしたタレントの起用で失敗したという事実は、他の広告主や広告会社にとっても大きな影響を与えた。

 

スポーツ選手と異なり、芸能人は「イメージ」が売り物である。問題が起きた時に、競技の結果で跳ね返す可能性があるスポーツ選手と異なり、芸能人は挽回のチャンスが乏しい。広告主の立場からすれば、芸能人を広告キャラクターに起用することに、ますます慎重にならざるをえない状況が増している。

 

 

■ 2020年に向けて増加するスポーツイベント

 

これから2020年に向けて、日本国内はスポーツムードが日に日に高まっていく。メダルこそ取れなかったものの、ニュージーランドやフランスなどの強豪国に勝利し、世界を驚かせた7人制ラグビー。2019年にはラグビーワールドカップが日本で開催される。

 

そして、今回のリオ五輪で、今まで世界では勝ちきれなかった卓球、バドミントン、テニス、陸上などの競技にも大きくスポットライトがあたった。2020年までまだ4年ある。これらの競技についても、より盛り上がりを見せるような大会運営やイベントなどが増えていくだろう。こうした大会やイベントも、増えれば増えるほど、広告主はスポーツ選手の広告起用をしやすくなる。

 

これから4年間、スポーツ選手の広告起用は一気に増えていくだろう。そして、起用が増えれば増えるほど、スポーツそのものが盛り上がるという循環が生まれるだろう。

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マーケティングコンサルタント

新井 庸志

マーケティングコンサルタント。「ワールドビジネスサテライト」「スーパーJチャンネル」などのニュース、情報番組や「日本経済新聞」「日経ビジネス」「財界」「宣伝会議」など、新聞、雑誌での執筆多数。経営から...

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