アメックスカードが4月からサイン廃止!? セキュリティ面は大丈夫なのか

マネー

 

クレジットカード会社のAmerican Express(アメリカン・エキスプレス)は2017年11月11日、クレジットカード決済時のサイン記入を18年4月に全世界で廃止すると発表しました。発表をうけ、他のカードブランドが追随する姿勢を見せています。ここで改めて、クレジットカードサインの歴史を学び直してみましょう。

 

 

■フランスはどのようにカード不正をなくしたか

 

American Expressによると、サイン廃止の主な理由は、不正防止技術の向上でサインの必要性が低くなったこと。海外だと、表面に四角い金属チップを埋め込んだ「接触ICカード」がクレジットカードの主流になりつつあります。これなら、決済時に入力するのは本人のみ知りうるPIN(暗証番号)だけなので、不正使用が少なくなります。

 

たとえば、1990年代初頭のフランスではカード不正が多発していましたが、接触ICカードの普及で実店舗での不正は少なくなりました。接触ICカード決済がスタンダードとなり、なおかつPINで本人認証が行われれば、不正はさらに減るでしょう。また、フランスやイギリス、カナダ、オーストラリアといった国々ではSuicaやnanaco、WAON、楽天Edyのような、端末にかざすだけで決済できる「非接触ICカード」も広がっています。取引額は少ないものの、端末にカードをかざすだけ(PINレス)でスピーディーに支払い可能です。

 

翻って日本を見ると、会計時にサインが求められる「磁気カード」がまだまだ使われています。磁気カードの場合、本人認証をするには利用者のサインとカード裏面の署名を目視で見比べるしかありません。店員がそれを判断するのはなかなか難しいという課題もあります。

 

そんな日本でも、2020年に向けて磁気カードから接触ICカードへのシフトが進んでいます。“クレジットカードの100%ICカード化”も、遠くない未来に実現しそうです。

 

 

■American Expressとサインの歴史

 

次に、サインの歴史を振り返ってみましょう。1891年、American Expressがトラベラーズチェック(旅行小切手) を旅行者に発行し、サインによる本人認証を開始。これがサインの嚆矢となりました。トラベラーズチェック発行時、旅行者は2か所あるサイン欄のうち1か所にサインし、振り出す際、もう1か所にサインします。小切手を受け取るお店等は2つのサインを照合して本人認証。これが1960年代になり、サインパネルに記入されたサインと、売上票に記入されたサインを照合するクレジットカードのシステムに受け継がれました。

 

1970年代に磁気ストライプのないカードから磁気ストライプのあるカードに移行し、2000年代から本格的にICカード決済が浸透していきました。日本はオーストラリアやカナダ、欧州よりICカードの浸透が遅れていますが、今後は日本でも間違いなくICカード決済が主流となるでしょう。

 

 

■それでもサインは残る?

 

今回のリリースについてAmerican Expressに聞いたところ、サイン廃止は「あくまでもオプション」とのこと。犯罪者は換金しやすい商品を狙うため、高級ブランド品や家電といった高額商品を取引する際は加盟店のニーズに応じて(磁気カードの利用者についても)利用者にサインを求めるそうです。

 

日本でも、スピーディーにレジ処理しなければならない加盟店はサインレスを喜び、不正取引に悩まされている加盟店は引き続きサインを重視するかもしれません。

 

国内だと、スーパーマーケットやファストファッションチェーン、コンビニエンスストア、カフェの一部店舗はすでにサインレスを採用しています。今回の発表を受け、そのような業態はサインレスをさらに進めるでしょう。一方、家電量販店や高級ブランドショップ、百貨店はセキュリティ対策で当面サイン記入を残すと思われます。

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クレジットカード評論家

池谷貴

コピーライター、編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元に入社。ディレクターとして雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わっている。雑誌編集については、電子決済、PCI DSS/カードセキュリ...

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