「産まない女子vs産んだ女子」の対立はなぜ起きるのか?

人間関係

清水なほみ

 

 

ちょうど自分の職場でも、多かれ少なかれこういった意識の対立があるな~と感じているところに、タイムリーな記事を見つけました。

 

『産まない女子vs産んだ女子~職場では言えない「罵り」と「怒り」を大公開』

『「資生堂ショック」いまだ収まらず~「産まない女子」と「産んだ女子」が職場で大ゲンカ』

 

女の敵は女と言いますが、そもそもなぜこういった「対立」が起きるのでしょう? それは、両者がお互いに「他者原因」で「反映分析」で「外的基準」で物事をとらえているからです。

 

いきなり難しい言葉を並べましたが、要するに「人のせいで自分が幸せでない状態になっている」と勝手にとらえてしまっているということです。そして、「幸せでない」と判断している基準が、自分の中にある基準ではなく、外野から押し付けられた「幻想」の基準になっているということです。

 

例えば、産休を取った人の仕事も負担しなければならなくなったのは、その産休を取った人が悪いわけではなく、会社が業務負担の調整をしていないからですよね? もっと言えば、業務負担の調整を会社に要請していないからですよね?

 

さらに、産休・育休をとった人の代わりに忙しく仕事をしているせいで、結婚できない又は産めないわけではなく、これまで「結婚しない人生」「産まない人生」を「自分が」選択し続けてきたわけです。誰も悪くありません。

 

さらにさらに、「結婚していない自分」「産んでいない自分」に対して、「私がそうしたくてしてるんだからいいんだも~ん」と胸を張っていればいいものを、「結婚して産んでいる人の方が幸せ」という外部からの「基準」に惑わされて、勝手にネガティブなラベルを貼ってしまっているのです。

 

自分の仕事にやりがいを感じていれば、自分の働き方に誇りを持っていれば、少なくとも誰かのせいで自分に仕事を「押し付けられている」とは感じません。毎日仕事を「やらされている」状態であれば、そもそもが受け身の状態なので、業務量が増えれば増えるほど「負担が増えた」と感じるでしょう。

 

資生堂ショックは少し間違った方向で伝わっているようですが、これまで子育てを理由に仕事を「勝手に軽く」されていた人たちの中で本当はもっと活躍したいと思っていた人たちに、活躍の場を広げた制度と言った方が正しいと思います。

 

一方、「産んだ女子」が罪悪感や申し訳なさを感じてしまうのも、同じ仕組みです。「自分は子どもを産んでもバリバリ働く」という選択をするなら残業もするでしょうし、「ある程度ライフワークバランスを保ちながら無理なく両立する」という選択をするなら、時短勤務や休日勤務の免除を希望するでしょう。今の働き方は「自分の選択である」と自覚していれば、その選択に対して胸を張っていられます。

 

「昔はこうだったわよ」という価値観を押し付けられたとしても、「内的基準」つまり「自分はこうしたい」という基準がきちんとあれば、「私は自分と子どものためにこういう選択をします」と堂々と主張できるのです。でも、「夫の稼ぎが少ないから働かざるを得ない」といった、「自分の意志ではない」と感じている状況で、同僚や上司から嫌味を言われれば「ハラスメント」と受け取ってしまうかもしれません。

 

「産んだ女子」が「産まない女子」に対して遠慮がちになるのは、やはり「結婚していない・産んでいない」という状態に対して世間一般の「幸せの基準」を当てはめてしまっているからだと思われます。つまり、勝手に相手を憐れんでしまっている可能性があるのです。

 

一人が好きで悠々自適に暮らしたいからずっと独身の人だっています。子どもは苦手だから産まないという選択をする人だっています。結婚しているかしていないか、産んでいるか産んでいないかは、その人自身の価値や幸せとは何の関係もないのです。産んだ女子が「幸せオーラ全開」にしているわけではなく、「産んでいる」こと=幸せ、裏を返せば「産んでいない」こと=不幸という根拠のない基準に当てはめて見るから、「幸せオーラが目障り」なんてことになるわけです。

 

両者が「分かりあう」必要はないと思います。だって、立場が違うとわからないことだらけです。私自身、自分が妊娠・出産・子育てを経験してみて初めて分かったことが山ほどありました。「分かりあおう」とすればするほど、きっと溝は深まります。

 

分かり合う方法を見つけるのではなく、ただお互いを「思いやる」ために自分がどうあるべきかを考えればいいのだと思います。自分が満たされて幸せなら、立場が異なる人を思いやって、できるだけ相手の負担にならないようにするにはどうしたらいいのかを考えられます。

 

自分を満たして幸せにしてあげるには、「自分原因」で「目的志向」で「内的基準」で物事をとらえればよいのです。

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清水なほみ

女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性...

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