もはや教師じゃ手に負えない…? 今どきの「いじめ」に警察が介入する事情

人間関係

 

2017年の1年間で全国の警察が認知した刑法犯は前年比8万1009件(8.1%)減の91万5111件となり、3年連続で戦後最少を更新しました。02年に記録した約285万件の3分の1以下です。02年~03年といえば、「ピッキング犯罪」の多発を契機に、一般市民の防犯意識が向上しました。警察庁の担当者によると、「住宅や自動車のセキュリティー向上、ドライブレコーダーを含む防犯カメラの増加などが功を奏したためではないか」とのことです。そんな中、逆にじわじわ増えてきているのが学校でのいじめ問題です。いじめ問題に警察が介入する背景とは、何なのでしょうか。

 

 

■多忙すぎる学校の先生

 

言うまでもなく、学校の教職員は時間外業務に追われ、非常に多忙です。それに加え、最近はいわゆる「モンスターペアレンツ」やクレーマーに対応する場面も増えてきているようです。学外で起こったトラブルも、場合によっては学校の責任を問われます。しかし、多忙を極める教職員だけでは対応できる範囲に限度があり、難しいところ。

 

また、学校内外での陰湿ないやがらせ、教師や相談機関に打ち明けた結果の報復行為がエスカレートする危険性は常につきまといます。特にSNSを使ったいじめは、学校や教師が把握しづらく、事態が複雑化する恐れもあります。

 

医務室や保健室があっても、骨折など大ケガを負った場合は病院に行くもの。同じく、担任や学年主任、教頭先生の手に負えない事態=窃盗や暴力行為をはじめ身体生命に危険を及ぼすおそれがある場合=犯罪行為は、警察署に相談するのが当然と言えるでしょう。

 

 

■「何か起きてなくても」動くようになった警察

 

警察側の事情もあります。「何か起きてからでないと動いてくれない」という世間の批判をうけ、近年は「事件が起きないように努力する」姿勢に変わりつつあります。犯罪を事前に防ぐ=防犯の意味合いが強くなっているのです。

 

命を脅かすストーカー事件が多発して「ストーカー規制法」が制定されたように、事件化する前に警察が動くようになったのは「事件を未然に防ぐのが重要」という認識が広まった結果でもあります。病気になってから医者の世話になるより、病気にならないよう指導を受けたり、生活を改善したりするのが大切なのと同じでしょう。

 

警察に相談できる場所があれば、事態が深刻化する前に何らかの手を打てます。犯罪に発展する危険を少しでも感じたら警察に相談する、という動きは今後ますます活発になると考えられます。ちなみに、緊急ではない110番の「#9110」が日常的なトラブルの相談窓口として、1989年から運用されています。

 

防犯設備の観点から考えてみましょう。学校内は、倫理的あるいは費用的な問題もあり、駅や繁華街といった場所ほど防犯カメラの設置数が多くありません。時に大人が思いつかないようなことをやってのけるのが子どもですが、暴力や窃盗はいかなる理由でも許されません。多忙な教師の目を盗んで行われる犯罪は、もはや教師の裁量を超えています。犯罪抑止の目的で警察に相談するのは、いわば自然の流れとも言えるでしょう。警察としても、防犯の一環で「いじめ相談」に対応することは大変意義があります。

 

 

■警察へ相談をする前に準備しておきたいこと

 

万が一、自分の子どもがトラブルの当事者となった場合、警察に何を、どう相談すればいいでしょうか。まず、相談前にきちんと筋道立てて話が出来るよう準備しておきましょう。関係する人物を簡単な相関図に落とし込んだり、メモ程度で構わないので起きた事柄を時系列に書き出したりすれば、相談される側も事態の全体像を把握しやすくなります。

 

また、SNSの画面を保存する、ICレコーダーでやり取りを録音する、スマホのカメラで写真撮影する、といった対策もできそうです。ただ、相手が目の前にいる場合は注意しないと、かえって事態を悪化させてしまいます。操作の手順を事前に確認し、相手に気取られないよう速やかにスイッチをオンしましょう。相手との力関係、距離感をよく考えて、「道具を奪われないようにする」ことが大切です。

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安全生活アドバイザー

佐伯 幸子

オールアバウト「防犯」ガイド。92年より「頭を使って身を守る方法/知的護身術」を提唱。子どもや女性の安全対策を中心に、暮らしの中のあらゆる場面での危険を指摘、排除する方法を分かりやすく解説。危機管理のス...

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