最近流行りの「家庭用シェルター」は役に立たない!? そこに潜む致命的な問題点とは

ライフハック

 

あなたの自宅には核戦争に備えたシェルターがありますか?1,000人に聞けば999人が「そんなものはない」と答えるのが日本の現状です。究極の防災対策のひとつでもある「核シェルター」導入をはじめ、いわゆるシェルターにも色々な種類のものがあります。私たちが家庭で行う防災対策において、シェルターを役立てるためにはどうすればよいのか、ご紹介します。

 

 

■核シェルターは熱・爆風・放射線を防ぐ

 

北朝鮮による弾道ミサイルの発射情報を、Jアラートによる配信で見聞きする機会が増えています。ミサイルに原爆や水爆などの核兵器が搭載されていた場合、爆発の影響から確実に身を守るためには「核シェルター」が必要になります。核兵器の特長は3つです。付近のものを瞬時に蒸発させる「熱」、あらゆるものを吹き飛ばす「爆風」、人体に深刻な影響を与える「放射線」、これらを防ぐ能力が核シェルターに求められる性能となります。

 

この核シェルター、住宅の室内に設置する数百万円程度の“簡易的”なものから、自宅の地下に埋める数千万円クラスの本格的なものまで、ピンキリで存在します。熱と爆風を防ぐためには地下に埋めるのが最良ですが、埋めただけでは窒息してしまうため外気を取り入れねばなりません。しかし、そのままでは拡散した放射性物質を室内へ取り込んでしまうため、シェルターには必ず空気清浄機が付いており、2週間程度の籠城ができるようになっています。ところがこの核シェルターには、ひとつ致命的な問題点があるのです。

 

 

■核シェルターへ避難する準備はできているか

 

それは、「爆発時にシェルターの中にいなければ役立たない」という大前提です。あなたが熱心な自宅警備員であり、24時間365日シェルターの中で生活をしているのであれば解決ですが、多くの方は日中、通学や出勤、買物などで外出をしています。せっかく大枚を叩いて自宅にシェルターを設置しても、外出したタイミングで核ミサイルの攻撃に巻き込まれると自宅まで戻ることはできません。外出を後悔しながら核の業火に焼かれることになるのです。

 

また昨今、実際に北朝鮮の弾道ミサイル発射情報をJアラートが数回配信しましたが、即時に避難行動を取ることができたでしょうか。早朝にJアラートが配信された際、これで目を覚ますことができたでしょうか。1945年8月の広島への原爆攻撃は、空襲警報が解除された後の投下であったため、住民は防空壕へ避難することができませんでした。シェルターを用意しても、そこへ避難するための準備とセットで対策をしなければ、役に立たないのです。

 

 

■津波シェルターという存在

 

お金の湧き出る魔法の壺があるならば、核シェルターを自宅に作ることは有効です。しかしきちんと作られた核シェルターは安くても1千万円以上の費用がかかりますから、大部分の方にとっては費用対効果の点で見送りになる防災グッズであるといえます。そこで、もうすこし手軽なシェルターとして、大地震による津波から身を守る「津波シェルター」なども存在します。

 

これは、カプセル形状のシェルターを室内に設置しておき、大地震発生時にその中へ逃げ込み、津波に巻き込まれてもシェルターが浮いて救助を待つことができるという商品です。南海トラフ地震の想定区域の中には、まだ揺れが続いている最中に津波の一波が襲ってくる、避難が間に合わないような地域も存在します。こうした地域の最終手段としては役立つ可能性があります。

 

しかしこの津波シェルターも核シェルター同様、災害時に中に入れなければ意味がありません。そのため可能であれば、まず津波がこない高台に住むべきですし、そもそも自宅が倒壊しないように耐震補強をしておかなければ意味がありません。津波シェルターを導入する場合は、確実にそこまで移動できるような経路を確保しなければならないのです。

 

 

■自宅の耐震化と家具の固定が、最も簡単で有効なシェルター作り

 

日本に核ミサイルが飛んでくるかどうかは(発射ボタンを押す当人以外)誰にも分かりません。しかし、大地震や大津波は一定の頻度で必ず、しかも繰り返しやってきます。日本には核ミサイルに対するシェルターこそ数が少ないですが、これは予算と優先順位の問題で見送られているに過ぎません。地震に対する耐震化された建物、津波に対する津波避難ビルや津波避難タワー。確実に発生する災害に対しては、着々と整備がされ続けているのです。

 

家庭の防災では、必ず不意打ちで生じる大地震への対策が最優先です。自宅のどこにいても命が守れるように自宅そのものをシェルター化する、建物の耐震化、家具の固定、ガラスの飛散防止などをきちんと行うことが重要となります。全ての部屋を最適化するのが難しければ、寝室など無防備な状態で長時間在室する部屋や、リビングにつながる廊下などすぐ飛び出せる場所から順番に対策を行い、緊急地震速報が鳴った場合に飛び込める場所を作っておくのがよいでしょう。

 

ベッドに直撃する場所やドアをふさぐ場所の家具だけは固定する、枕元にある窓ガラスだけはフィルムを貼る、自宅の中の1箇所だけは落下物のない安全な空間にする。このような「地震シェルター」をまず準備するのが、家庭の防災対策における最初のステップとしてオススメです。そしていつの日か、宝くじで高額当選を果たした暁には、日頃は趣味部屋として使える、便利な地下核シェルター付の地震に強い家をぜひご購入ください。

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備え・防災アドバイザー

高荷智也

ソナエルワークス代表、備え・防災アドバイザー。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災対策」と「経営改善にもつながる中小企業の身の丈BCP」のポイントを解説するフリ...

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