テスト問題を予想さえすれば、誰でも東大に合格できる?

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■教師がどうやってテストを作り、成績をつけているのかを理解すれば、「良い点」「良い成績」は簡単に取れるようになる――。教師だらけの家庭で育ち、東大に現役合格した日本教育政策研究所代表が明かす「勉強の新事実」

 

新年度を迎え、多くの人が新しい生活のスタートを切り、多くの若者が念願の大学生となった。ここ数年の統計によると、毎年60万人強の新大学生が誕生している。

 

そのうち、「日本の最高学府」である東京大学に晴れて入学できた学生の数はどれくらいか、ご存じだろうか。正解は約3000人。この数は長年変わっておらず、文理6つの類の中でも最も人数の多い「理科一類」では毎年1000人以上の定員が募集されている。

 

この数字だけを見ても、東大に合格したからといって「天才」とは決して言えないことが分かる。毎年3000人もの天才が現れるわけがないのだから――そう語るのは、理科一類に現役合格した経歴を持ち、現在は日本教育政策研究所の代表を務める谷川祐基氏だ。

 

谷川氏は著書(CCCメディアハウス)の中で、これまでの常識を覆すような「勉強の新事実」を展開している。谷川氏曰く、学校の勉強とは暗記ではなく「他者理解」なのだという。

 

 

■教師だらけの家庭で知った「教師の本音」

 

谷川氏は高校3年の秋から受験勉強を始め、一度も塾に行かず、予備校に通うこともなく、東大に現役合格した。それまでにも、小学校から中学までずっと学年トップの成績をキープし、高校も愛知県の公立高校では最難関とされる旭丘高校に進学している。

 

それでも、自分は決して頭が良かったわけではなく、必死の努力をしたわけでもないという。もしも他の子供と違っていたところがあるとすれば、それは「勉強のやり方」を分かっていたことであり、その恩恵をもたらしてくれたのは育った家庭環境だと語る。

 

谷川氏の母親は小学校の教師であり、叔母は中学教師、叔父は高校教師、さらに幼稚園の教師である叔母と小学校の教師をしている叔父もいた。このような教師だらけの中で育ったことで、教師の本音と、学校教育の真の姿を知ることができたというのだ。

 

谷川氏が気づいたのは、「学校のテストは教師が作る」「学校の成績は教師がつける」という単純な事実だった。問題作成者であり成績判定者である教師がどうやってテストを作り、成績をつけているのかを理解すれば、「良い点」「良い成績」は簡単に取れるようになる、というのだ。

 

まず、子供たちの成績を下げようとして難しい問題を作る教師はいない。なぜなら難し過ぎて平均点が低くなるテストでは、子供たちの理解度が判定できないからだ。また、自身が想定した平均点より著しく低い結果が出た場合、教え方のほうに問題があると考えられてしまう。だから教師は、子供たちがしっかり理解できるように教えようと努め、良い点を取ってほしいと願う。

 

教師は、「ここがテストに出るぞ」とわざわざ教えてくれることもある。そうやって子供たちに点を稼がせようとしているのだ。谷川氏も述べているように、実のところ、平均点を気にしているのは子供たちではなく教師のほう、というわけだ。

 

 

■テストの点=予想が当たった確率

 

学校のテストというのは、授業で教えられた範囲からしか出題されない。これは高校・大学受験についても言える。法律で「学力検査」が禁じられ、あくまでその学校に適するかどうかを測る「適性検査」を課すのは中学受験だけ。大学受験はたとえ東大であっても、基本的には学校で習う範囲内だけの勉強をすればいい。

 

谷川氏によれば、もしも小学生で成績が「中の上」まで届かないとしたら、その原因はただひとつ。勉強量が足りないわけでも、やる気や集中力が足りないわけでもない。教師の話をよく聞いていないからだ。そして、テスト前なのに勉強をしない理由は、勉強のやり方が分からないから。

 

授業をちゃんと聞いていれば、何がテストに出るかを予想できる。そうすれば、どこを勉強すればいいかも分かる。テストの点とは、実は予想が当たった確率なのだ。そのためには教師の話をよく聞き、教師の気持ちになって考えてみればいい。それが「勉強とは暗記ではく他者理解」という理由だ。

 

ちなみに教師がテストを作成する際には、100点満点で65点が平均点となるように作ることが多いらしい(あまりに簡単では「突出してできる子」と「できる子」の見極めが困難になるため)。世の中のテストの平均点が65点前後になるのは決して偶然ではなく、出題者がそう意図しているのである。

 

中学生の頃、谷川氏が成績アップのコツとして友人に「テスト問題を予想すればいいんだよ」と教えたところ、その友人は父親に「けしからん!」と怒られたそうだ。それでは本当の学力が身につかない、と。

 

だが谷川氏に言わせれば、テスト問題を予想することは決してズルではない。それどころか効率のいい勉強法だ。なぜならテストでは、出題範囲における「重要」かつ「本質的」な事項が「バランスよく」問われる。予想することで出題範囲の内容と重要性を決定づけながら網羅できるのだから、それが学力や実力でなくて何なのだろうか――と。

 

 

■東大生はちっとも苦労していない

 

誰だって良い成績を取れればうれしい。それが意欲につながり、学びの習慣となり、将来の可能性を広げてくれることもある。良い成績が欲しいなら、そのために適切な努力をすればいいはずだ。

 

勉強とは本来、楽しいものであり、学ぶことに対する好奇心と達成欲のない子供などひとりもいない、と谷川氏は言う。そして、苦労すれば良い成績を取れるという誤解は、日本社会に長時間労働を生む弊害になっているとも指摘する。だが、そもそも「努力」と「苦労」は別物だ。

 

 

(東大に入って東大生をたくさん見たとき)まずわかったのは「どうやら、勉強で苦労してきた人は一人もない」ということでした。

 

努力をしてきた自負がある人はたくさんいました。ガリ勉していた人はいたし、たいして勉強していない人もいました。ただ、「勉強がつらかった」とか「机に向かうのが嫌い」とか「もう二度と勉強したくない」などと言う同級生は一人もいなかったのです。(48〜49ページ)
 

会社で評価され、いい給料をもらい、出世するために必要なのも、本来は苦労ではなく努力のほうだろう。上司が認めてくれないと愚痴をこぼす前に、上司が自分に何を求めているのか、上司に立場になって考えてみるのもいいかもしれない。

 

(谷川祐基 著 / CCCメディアハウス)

 

(文:ニューズウィーク日本版ウェブ編集部)

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