200万円で買える幸せを追い求め──軽自動車もいいけど、トゥインゴで世界を楽しもう

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ルノーのトゥインゴが人気を集めている。ユニークなデザインと手ごろな価格がその大きな要因だ。しかし、ここ日本ではそれも一部だけの話。多くの人が国産コンパクトを選択する。しかも、圧倒的に軽乗用車が多い。

 

2014年に登場した3代目トゥインゴ。往年の5(サンク)をモチーフにしたデザインに、RR(リアエンジン・リアドライブ)方式を組み合わせた個性的な1台。スマートの兄弟車でもある。

 

■“軽が安い”も今は昔。トゥインゴとN-BOXがバッティング

 

コンパクトカーに何を求めるかは人それぞれだろう。もし、個性や趣味性を求めるなら迷わずトゥインゴを勧めたい。ポップなネーミングにふさわしい内外装のデザインに加え、911シリーズと同じRR(リアエンジン+リアドライブ)方式を採用するなど、クルマに乗らなくともスペックだけで魅力がふんだんに伝わる様々な特徴を有する。しかも、エントリーグレードなら171万円。諸費用込みでも約200万円で手に入る。

 

全長3620mmしかないコンパクトなボディは、RR方式によって最小回転半径4.3mを実現した。

 

インテリアはボディと同じカラーをあしらい、シンプルながらもポップに仕立てた。タコメーターはないが、スマートフォンなどに専用アプリをダウンロードすれば、表示可能。

だが、多くの魅力があるにも関わらず、日本では月200台前後しか売れない。ディーラーの数が少ないことに加え、輸入車に対する敷居が全般的に高く、また「フランス車は壊れやすい」といったネガティブイメージを持たれているからだろう。これに対し、軽乗用車のホンダN-BOXは月2万台近くに達する。シリーズ累計では、2017年度の国内新車販売台数第1位も獲得した(22万3499台)。このなかにはトゥインゴとほぼ同額、ないしはより高価なグレードを購入しているユーザーも多数含まれる。トゥインゴがもう少しヒットしても良いのでは、と思わずにはいられない。

 

特にリアデザインを往年の5に近づけたトゥインゴ。なお、初代5は1972年デビュー。

この背景にあるのは軽乗用車のハイスペック化だ。快適装備はもちろん、安全装備も普通乗用車並みだ。筆頭がホンダ N-BOX。先進安全装備パッケージの「センシング」を全車標準装備。シティエマージェンシーブレーキをはじめ、アダプティブクルーズコントロールまでも備える。後者は、欧州の一部高級車だって未だなおオプション設定の装備だ。しかも維持費は税金面などで軽乗用車が優位。となると、日本で乗るならトゥインゴよりN-BOXの方が圧倒的に安楽かもしれない。

 

今、日本で最も売れている軽乗用車が、昨年フルモデルチェンジを受けたホンダN-BOX。シリーズ累計では、乗用車も含めて2017年度国内トップの販売台数を達成した。

 

先進安全装備群「ホンダセンシング」を全車標準化したのが大きな特徴のN-BOX。自動ブレーキはもちろん、アダプティブクルーズコントロールも備える。

とはいうものの、軽乗用車の高機能化は価格上昇を伴っていることを忘れてはならない。N-BOXの価格は138万5640円からなんと208万円(!)までと幅広い。しかも、売れ筋は中間〜上位グレードというから驚きだ。

 

トゥインゴと同じ約200万円をこの小さなハコに投じているユーザーが多数いる。

 

もちろん、実用性重視ならN-BOXを大いに勧めたい。しかし、みんなと同じクルマに乗っていて何も思わないのだろうか。200万円あれば選択肢は豊富にある。しかも、これだけ輸入車がリーズナブルになった今、その投資先をぜひ見直すべき、と記者は思う。心躍るのは間違いなくトゥインゴのはずだからだ。

 

 

■200万円、そのほかの選択肢

 

200万円で購入出来る輸入車は他にもある。例えばup!(159万9000円〜)、プジョー208(199万円〜)、フィアット500(199万8000円〜)。諸費用込みで200万円となると難しいかもしれないが、オプション満載の軽乗用車と比較すれば、総支払額は大して変わらないはずだ。

 

アンダー200万円で購入できる輸入車の1台がフィアット500。発売から10年以上経つがその魅力は未だ色褪せない。個性で選べばやはり今も昔も輸入車で間違いないだろう。

しかも、これら輸入車だってエアコンやパワステ、オーディオ、複数個のエアバッグは標準で備わる。かつての輸入車にあったエントリーグレードのように我慢して乗るクルマではない。

 

読者の多くは間違いなく、これら輸入コンパクトに目がいくだろう。軽乗用車が200万円とはにわかに信じられないかもしれない。しかし、これが今の実情であることもぜひ認識してほしいし、しかし、昔から軽乗用車のニーズが実用性一辺倒だったわけではない。その代表例が初代トゥデイだ。

 

初代トゥデイは、背の低いルーフ、四隅に配したタイヤ、丸目の愛らしいヘッドライトなど、これまで平凡なデザインばかりだった軽乗用車市場に新たな旋風を巻き起こした。まだデビュー間もない今井美樹出演の広告キャッチが「青山生まれのハンサムです」であったことからもこのクルマの意図する洒落た方向性がお分かりだろう。

 

こちらが初代ホンダ トゥデイ。スラント&ショートノーズデザインが特徴のスタイリッシュな軽乗用車だった。

こうしたファッショナブルカーのなかでも、当時もてはやされていたのが5(サンク)。現行トゥインゴのルーツでもある。輸入元のJAXが積極的な広告展開をしていたこともあり、フランス車の代表格ともみなされた。この5に憧れた女性ユーザーの多くがアルトやミラではなく、トゥデイを選択していた。また、5を購入するにはハードルが高すぎた。何しろ当時、トゥデイが54万8000円で買えたのに対し、5は150万円近くもしていたのだ。 

 

初代5は1972年に登場し、瞬く間に大ヒットモデルとなった。日本では初代のデザインを踏襲した2代目シュペール5がよりポピュラーな存在だ。

 

初代トゥインゴは1992年に登場。デビュー時のインパクトは、現行以上だった。愛らしいボディデザインは、初代ホンダ トゥデイも参考にしたという。

 

時は流れ、軽乗用車とフランス車の価格差は3倍からほぼゼロになったのだから凄い。軽乗用車の高騰ぶりはさておき、5に憧れていた女性の多くは、今も軽乗用車に乗り続けている。しかも多くがN-BOXに。理由を聞けば「気楽なクルマがいいから」。

 

トゥインゴがほどよく実用的で安価でも、所有する気楽さでは国産車に到底叶わない。維持費やディーラー網の安心感で、輸入車は劣る。やはり軽乗用車と輸入車を比較することはナンセンスなのかもしれない。軽乗用車に200万円を投資するのが高いか、それともトゥインゴに200万円を投資するのが安いか、人それぞれ考え方が違う。ただし、その選択の重みはかつてのそれとは異なりランチやディナーで「和食」か「洋食」を選ぶ程度の気軽なものになったのではないかと思う。であれば、読者には今回「洋食」=トゥインゴを“本日のオススメ”として案内したい。

 

(文・千本木國康)

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