「エモい」の汎用性が高すぎる! 流行語からスラングへと進化する言葉の面白さ

ライフスタイル

 

ネット上や若い世代から生まれ、爆発的に世間一般へと広まった流行語。当然ながら、いつのまにか消えていったり死語扱いされたりするモノもあれば、「流行語」から我々の生活に「常用語」として馴染んでいくモノもある。そして、三省堂が実施した「今年の新語2016」で2位に選ばれた「エモい」(※1位は「ほぼほぼ」)は、間違いなく後者にあたるだろう。

 

いっぽうで、「エモーショナル(emotional)」を日本語の形容詞と無理矢理ドッキングした造語で、本来なら「感情が揺れ動く物事を経験したとき」、すなわち「相当に衝撃的な物事と出会ったとき」に使われるはずの「エモい」が、昨今では「ラーメンがエモい」「あの俳優エモい」「猫がエモい」……などと「美味い」「かっこいい」「かわいい」の代わりとしてあまりに気軽に、あるいは「これから合コンへエモりに行きます」……などと明らかに違った意味合いで使用されているケースも見受けられる──そんな風なことが書かれたコラムをORICON NEWSが配信していた。タイトルは『』である。

 

あまりに汎用性が高すぎて、ツイッターやインスタグラムやLINEで多種多様なかたちで溢れかえっている「エモい」を「じつは意味がよくわからない」と吐露する10代のつぶやきも散見されているという。

 

実際、10代が使っている「エモい」は、ニュアンスとしては「ヤバい」という言葉に近く、会話の文脈で都合良く解釈してもらえて、共通語だから細かい説明の手間が省けるといった利点があるようだ。若者からすればLINEのスタンプ的な使い勝手の良さがある言葉なのかもしれない。

 

……と、同コラムの筆者は語る。入念なリサーチに基づいた、なかなかに適確な分析だと感心する。「常用語として我々の生活に馴染んでいった」だけではなく「10代にいじられ進化すらしていった」ってことだろう。

 

こういった“進化”、いたずらな汎用性の増加に対し、「真の意味合いをきちんと理解してから使いましょう」といった意見もなくはない。しかし、私の個人的な見解を述べさせていただくと、それは良いことだとも悪いことだとも思わない。ただ単に「面白い」とは思う。さらに付け加えるなら「面白い」だけで充分ではないか……とも思う。

 

たとえば、女子高生のあいだから派生したとされている「卍」なる言葉(記号?)。どういう意味なのか、どういったときに使うのか、イマイチ把握できていない、すでに成人している御仁も多いのではなかろうか? 彼女ら曰く「意味なんかないの。あるのは感情だよ」(名言!)ってことらしいが、こういった汎用性に優れた言葉が中高年世代まで流出し、いささかピントのズレた使い方をされているさまは、これはこれで面白い。

 

今年50歳になる私の知人女性が「今度、京都に行くんだけど、オススメのマジ卍教えて」とLINEを送ってきたとき、その「若者のトレンドへと懸命に乗っかろうとする前向きな姿勢と、卍(=寺)のあまりに正しすぎる解釈とのパラドックス感」に、ついつい吹き出してしまった。まさに心洗われる微笑ましいエピソードではないか。

 

もう一度繰り返そう。流行語からスラングへと“格上げ”された言葉は、どんなに誤った使い方をされても、面白ければなんだっていいのだ。

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ネットニュースパトローラー

山田ゴメス

1962年大阪府生まれ B型。 ネットニュースパトローラー(※citrus限定肩書き。たまにスポーツ新聞や週刊誌も。略して「NNP」)。 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッショ...

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