6月より一般住宅でも民泊が可能に!あらためて考えたいリスクと“闇民泊”の現実

話題

 

「会社では一切その話題にならなかったですね…」。

 

2月に大阪で起きた民泊殺人事件は記憶に新しい。米国籍の容疑者が、大阪市にある民泊用の部屋を利用し、女性を殺害した事件だ。こうした民泊のリスクに対して、運営側はどう考えているのか? 「民泊の代行業者をしている」という知り合いの20代女子に聞いてみると、こんな回答が返ってきたのでさすがに驚いた。

 

『やっぱり起きた』って思ってる人、たくさんいると思います。そのくらい民泊のセキュリティは甘いです。

 

うちなんて身分証明書の提出もないし、ゲストと顔も合わせないから、どういう人が泊まっているのか全然知らないし。帰った後に清掃に入ったら、バスタオルがビリビリに破けてたり、トイレのドアにコブシ大の穴が空いていたりとか、結構あります

 

彼女――Aさんとしておく――が勤める民泊の代行業者は、不動産業を営む会社を母体としている。空いている物件をAirbnbなどの民泊サイトに掲載し、宿泊者を募っているのだ。

 

物件の半分くらいは無許可ですよ。それでも半分は許可をとっているので、いい方かも

 

そう、これが今問題となっている“闇民泊”。まずはその背景にスポットをあててみよう。

 

 

■現時点では、ほとんどの民泊が違法であるという事実

 

「民泊ってホームステイみたいなもんじゃないの?」

 

……正直に言おう。少し前まで、民泊に対してそんなのどかなイメージを抱いていた私である。その大半が違法(Airbnbにあるものでさえも)であるという発想もなかったし、「そもそも民泊って許可いるんだ?」というレベルだったのである。そんな、私のような方(が、もしいらっしゃれば)のために、あらためて民泊の違法性について、簡単に説明させてほしい。

 

人を泊めて宿泊料を徴収する場合、「旅館業法」に従わなければならない。これはホテルや旅館を対象としているものなので、当然、一般住宅が同等の基準を満たすのはハードルが高く、大半の民泊物件がこの時点で違法ということになる。ちなみに、東京都大田区や大阪府大阪市など、いくつかの都市は国家戦略特区に定められており、旅館業法の特例が認められている。しかし、それでも規制が多く、やはり違法にならざるを得ないという現状がある。

 

反対に、来日する観光客は増え続ける。宿泊施設は圧倒的に足りない。そこで、無認可のいわゆる“闇民泊”が誕生するわけである。

 

 

■無法地帯と化する、ホスト不在の“闇民泊”

 

で、民泊(闇民泊も)には大きく2種類ある。ホストがその住居に住みながら空き部屋を貸すタイプと、ホスト不在で住居をまるまる貸すタイプである。私がイメージしていた「ホームステイみたいなもの」は前者の方で、Aさんが斡旋しているのが後者の方になる。

 

両者でそれぞれ異なった問題はたくさんある。それは「民泊 トラブル」で検索すれば山ほど出てくるので、気になる方は調べてほしい。しかし、私が個人的に「闇」を感じてしまうのは、後者のホスト不在型タイプの物件だ。大阪の事件もこれにあたる。

 

やっぱり危ないですよ。うちの場合、鍵の受け渡しはポストで行うので、合鍵つくられてもおかしくないですからね。

 

あと、たまたまなんですが、私が昔住んでいたアパートの隣の部屋が、まさに民泊で部屋を貸してて。しょっちゅう知らない外人が出入りするし、『一人暮らしの間取りに何人泊まってんだ?』って感じで不気味だし。民泊はひとりでは絶対に利用したくない。

 

海外では「民泊で貸した一軒家でAVの撮影が行われていた」なんていう事例もあるようで、はっきりいって、無法地帯なのである。民泊自体が違法なのだからさもありなんという感じもするのだが、それでもまだ、口コミやレビューが見られるAirbnbなどの大手サイトはいい方だろう。

 

近ごろではSNSなどを通して、個人同士で契約を結んで民泊を利用するケースも増えていると聞く。そうした場合、何か起きたときの責任の所在はどこにある? もちろん、自分である。

 

 

■新法で期待がかかる民泊業界

 

そんな状況の中、2018年6月に、いよいよ民泊新法が施行される。住宅を対象とした宿泊業に関する法律であり、簡単にいえば「一般住宅でも宿泊業してヨシ!」というものだ。これにともない、Airbnbを含む大手サイトでは、無許可の闇民泊を排除する方針を固めている。

 

しかし、これで闇民泊が無くなるかといえば、そう単純な問題ではないようだ。民泊新法で宿泊業のハードルは下がったものの、「営業日は年間最大180日」といった、対象が住居ならではの微妙な制限がついている。そのため、「許可をとっても、年の半分しか営業できないのなら儲からない」という理由から、闇民泊は無くならないという見方もある。いずれにせよ、新法施行後、民泊業界がどうなるかはかなり見ものだ。

 

 

■旅はリスクをともなうもの。それに見合うメリットを考える

 

ちなみに、私は民泊反対派では決してない。大昔にNYに2年ほど留学したのだが、その際は、現地の人とルームシェアという、ある意味では民泊よりも格段にリスクの高い滞在スタイルが当たり前だった。当時はインターネットが今ほど主流ではなかったため、地元のフリーペーパーでルームメイト募集のメッセージを探し、実際に会い、意気投合すればその日から一つ屋根の下、と相当ラフに同居人を決めていた。

 

私の同居人は70近くの白人のおじいちゃんだったが、玄関にそっと実弾が置いてあったり、昼間からリビングでAV鑑賞されたりと、結構ディープな経験を余儀なくされた。今考えても、いつ危険な目に遭ってもおかしくなかった。でも、それなりにおもしろい経験もたくさんできた。つまり、そういうことなのだ。

 

どんなに用心しても、旅には危険がともなう。民泊なら、許可が下りている物件に泊まるとか、口コミ評価の高いホストを探すとか、リスク回避の方法はいくらでもあるし、それは実践すべきだと思う。でも、細心の注意を払っても、まさかという事態は起こりえるのだ。

 

それならば、それに見合うメリットを探すべきだと思う。例えば、私なら、民泊は断然ホスト滞在型を選ぶ。リスクはもちろんあるけれど、異文化交流という民泊ならではの体験ができるからだ。そうしたことが煩わしければ、ホスト不在の格安闇民泊ではなく、お金はかかっても、もう少し安全が担保されたビジネスホテルやカプセルホテル、あるいはゲストハウスを選ぶだろう。

 

ただし、これは1人旅の場合。大人数で旅行するなら、民泊で一軒家を借りるのもすごく楽しそうだし、リーズナブルだと思う。ケースバイケースで、民泊も上手に使っていきたいものだ。

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ギャンブルフリーク

荒井奈央

ライター、編集者。さまざまなジャンルの専門家に突撃取材をするのが好き。麻雀をライフワークとし、雀荘はホーム。ギャンブル、裏モノ界隈のネタが大好物で、貧乏旅行にはまっていた時期のエピソードをまとめた『世...

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