漢字も得意なキャデラックは大いにアリ!

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近年、日本でのキャデラックはマイナーだ。全グレード左ハンドルのみだけに、“アメリカ仕様のまま”といった印象が強いこともその要因か。ところがどっこい、驚くほど日本向けにローカライズしている。

 

キャデラックのデザインは近年「アート&サイエンス」がキーワードとなっている。独創性と未来感を両立したデザインはドイツのプレミアムブランドとは一線を画す。

 

■アメ車に対する古い固定概念は捨ててしまおう!

 

今、の勢いが止まらない。月に1000台以上販売する。「なんだアメ車も売れているじゃん!」と思うのは気が早い。なぜなら、は月100台少々しか売れていないからだ。ジープと異なり右ハンドルが一切用意されず、価格帯も500万円以上となれば購入層がおのずと限られてしまうのも致し方ないか。

 

また、キャデラックに限っては「古き良き」アメ車像がいまもなお根強い、という要素がある。「古き良き」でもあるが、それは同時に、「燃費が悪い」「デカイ」といったネガティヴな付随イメージとくっついている。

 

良くも悪くもキャデラックのイメージを作り上げた、かつてのフルサイズカー。写真の1976年型キャデラック フリートウッドエルドラドコンバーチブルは8200ccのエンジンを搭載。しかも、前輪駆動だった。

しかし、現代のキャデラックはとりたてて「デカ」くもないし「燃費が悪」くもない。エンジンはいまや2.0リッター直4ターボが主流で、高出力と低燃費を両立している。そのいっぽうで、大排気量&多気筒のエンジンも用意されているので、旧来からのファンをも見捨てていない。

 

ボディサイズは、エントリーグレードのATSの場合、全長4680mm×全幅1805mm×全高1415mmと、メルセデス・ベンツCクラスや3シリーズとほぼ同サイズ。もちろん、お望みならフルサイズのCT6や超弩級サイズのエスカレードも購入できる。

 

2012年に登場したATS。メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズが主なライバルとなる。FRのみの設定で、エンジンは2.0リッター直4ターボを搭載する。

 

■左ハンドルの不安を和らげる“おもてなし”と“性能”

 

左ハンドルのみと聞くだけで多くの人は身構えるかもしれない。しかし、最新のに乗り込むと、まず目につく漢字表示の多さに、緊張もほぐれるはず。今回試乗したCTSも、メーターパネル内だけで「平均燃費」「残り100km」「北東」などと日本語というか漢字のオンパレード。

 

ドイツ系ブランドはこのあたりはすでに対策済みだが、イタリアなどは未だに漢字対応していないブランドもある。外部接続機器に収録された楽曲の、漢字タイトルが表示されないケースもある。

 

また、漢字変換の細かさにも軽い衝撃を受けた。空調操作部分で、近年、多くのメーカーに備わる「SYNC」スイッチ。運転席・助手席の温度調整が独立式の場合、それを両席で統一するものだ。キャデラックの場合、このスイッチがなんと正しく「同調」に訳されていた。日本のでさえ、「SYNC」表記なのだから。日本人の多くはこの漢字表記の配慮にホッとすると思う。筆者はホッとした。

 

「同調」と表示された空調コントロールパネル。「AUTO」もわざわざ「オート」に訳しているあたり力の入れようを感じる。

燃費については、100km近く郊外を中心に走ったが、なんとリッター当たり10kmを超えた。いくら2.0リッター直4ターボとはいえ、1.8tに迫る車両重量に4WDと相成れば、2桁km/Lの達成はむずかしいだろうと予想していただけに、この数値は十分良好と言える。

 

市街地走行でリッター10kmを超えたのは驚きだった。ちなみに、ガソリンはレギュラーではなくハイオク。

左ハンドルのハンデは大きいかもしれないが、それを補完する対策も若干あるし、性能はリーズナブルといえる。走りや乗り心地は、大味だった時代のアメ車とは大きく異なる。足まわりの適度な硬さもふくめ、メルセデス・ベンツやBMWなどから乗り換えても大きな違和感を抱かせないはずだ。CTSのフロントブレーキがBrembo社製だったりするのも、走りの質を高めたことの表れだ。

 

このようにいまのキャデラックはむかしのキャデラックではない。しかし、たとえば、がオウナーだったりするように、アメリカでは依然としてセレブやスターに真っ先に選ばれるアメリカン・ラグジュアリー・カー・ブランドなのである。キャデラックはキャデラックでありつづけているのだ。

 

(文:千本木國康)

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