不死鳥のごとく復活した「ゲーセン」。陰の立役者はショッピングモールだった!

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千葉千枝子

 

警察白書の統計によると、風営適正化法にのっとり公安委員会の営業許可を受けたゲームセンターの数は1986年(昭和61年)の2万6573軒をピークに減り続け、2017年は4381軒。昭和の黄金期に一世を風靡しながらも、家庭用ゲーム機やオンラインゲーム等の普及で、ここ20年ほどは苦戦を強いられてきました。しかし、ここにきて売上が「好転」しています。

 

 

■クレーンゲームがゲーセンの売上を“引っぱった”

 

最大の理由は、2016年6月の改正風俗営業法(改正風営法)施行で入店規制が緩和されたこと。これまで16歳未満は夕方6時以降、保護者同伴でも入店が許されていませんでしたが、法改正によって子連れの若い夫婦や中高生が来店するようになりました。

 

コンテンツの面からゲーセンの売上をけん引しているのは、クレーンゲームです。自宅やネットでは味わえないリアルな魅力がツイッターやインスタグラム、YouTubeで拡散され、さらなる人気を呼んでいます。景品の原価率を店側で設定できるため、計画的に利益を生みやすいのです。

 

そして、もう1つ。「復活の立役者」と言っても過言ではないのが、ショッピングモール(SC)です。ゲーセンが減る中、SCの開業数はここ数年右肩上がりで推移しています。日本ショッピングセンター協会によると、18年5月末現在のSC総数は日本全国で3231と過去最多。地方自治体は近年、「賑わいの創出」や「交流の場づくり」を目的として積極的にSCを誘致しています。交通の要衝に建てられるため集客しやすく、雇用創出や税収確保が見込めるというメリットもあるのでしょう。今や、SCは地域経済の重要な担い手なのです。

 

 

■ショッピングモールがゲーセンを甦らせた…?

 

さる4月27日には、「アウトレットの空白地帯」といわれた中四国エリアの広島にイオンモールが初の本格的アウトレット「THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ アウトレット広島)」をオープンさせました。

 

アウトレット以外のエリアに、近未来をイメージした映画館。そのすぐ脇に、広島カープデザインの特別仕様レーンがあるボウリング場、バーチャルリアリティーゲームを取りそろえたゲームセンター、スケートリンク場も併設され、なんとカーリングも体験できます。モノ消費の代名詞・日用品を扱ってきたイオングループが、非日常やコト消費にこだわった施設をオープンさせ、話題をさらいました。

 

そんなSCにゲーセンが出店するメリットとは何でしょうか。考えられるのは、単体営業に比べて集客コストを抑えられる、家族そろってアミューズメントを楽しむ健全なイメージが定着する、という2点です。

 

高齢者もゲーセンで絆を深める時代。フードコートや銀行のATMがそろうSCは、便利このうえありません。ショッピングモールがゲーセンを甦らせたのでしょうか? いえ、21世紀に生き残りをかけた流通業界の新たな戦略の“急先鋒”に、ゲーセンがあるのかもしれません。

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千葉千枝子

淑徳大学 経営学部 観光経営学科教授。中央大学卒業後、富士銀行、シテイバンク勤務を経てJTBに就職。1996年有限会社千葉千枝子事務所を設立、運輸・観光全般に関する執筆・講演、TV・ラジオ出演などジャーナリスト...

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