同質の人との関わりだけでは判断がゆがむ

人間関係

 

ここ最近、高齢者のマナーという話題がいくつかありました。同じ老人会の関係者が「次の駅から敬老者が16名乗ります」などと張り紙をしたり、同じく10席近くに荷物や冊子などを置いたりして、電車の座席を確保しようとした話です。


「多少のことは大目に見れば」という意見がある一方、「こうすれば席を確保できるという考えが高齢者にはまかり通っているのか」「いくらお年寄りでもマナーはマナー」など、批判的な意見が数多くありました。


他にもお店の利用マナー、執拗なクレームや八つ当たり、主に男性ですが横柄な言葉遣いなど、若者よりも高齢者のマナーが問題だという声をよく聞きます。私も実際に目にしたことがありますし、自分はそういう高齢者にならないようにしなければと常々思っています。


このあたりをコメントした記事で、ちょっと興味をひかれるものがありました。高齢者のマナーに関する問題には、孤独感などの生活環境の問題や認知症などの身体的な問題はありますが、この席取りのような話では、同質の人間が集まるととんでもない結論を出したり、安易な方向に流れたりする傾向があることも、原因の一つだとされていました。


例えば、ほとんどの人が行きすぎた席取りはみっともないことだと理解していますが、同じような境遇、世代の人が集まって、「若い人が席を譲らない」などの話で盛り上がったりすると、収拾がつかなくなっておかしな結論に導いてしまったりするといいます。集まると急に無責任になって、安易に賛成したり、「おかしい」「違う」とは言えない雰囲気に流されたりするのです。


また、これは高齢者だけに限らず、例えば企業や官公庁で起きている不祥事にも、同じことがいえるそうです。「同じ会社の同じ部署」「同期入社の同世代」「同じ出身大学」「高学歴」「中高年の男性管理職」など、同質性の高い集団が、社会の常識や多様な視点を無視していたり、それらが理解できなかったりして、おかしな判断をした結果として起きているとのことでした。


特に最近は、自分と異なる意見に対して、必要以上に敵対したり罵倒したり、逆に同じ意見や考え方の人を必要以上に厚遇したりする傾向を感じます。


確かに同質の人で固めれば、あうんの呼吸で通じて反対者はおらず、物事の進みは早くなるでしょう。ただし身近なチェック機能はなく、一度走り始めると暴走してしまいがちで、極端におかしな方向まで判断が歪んでいくことがあり得ます。


自分と意見が異なる人と議論するのは根気がいりますし、誰でも面倒な気持ちになるのは仕方がありません。ただ、ダイバーシティ、多様性が重要であると言われるのは、こんな判断のゆがみや間違いを正す目的もあります。


同じ会社の気が合う仲間だけと付き合っていれば、それが一番楽かもしれませんが、そんな環境に浸りきっていると、実はとんでもない非常識がまかり通っているかもしれません。より良い組織、会社にするためには、やはりできるだけ多くの人と付き合い、多くの人から話を聞き、多くの人と意見を交わすことが大事なのは、間違いないことでしょう。


似た者同士だけでつるむことには注意しなければなりません。

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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