アラフィフの“新アイコン” 中山美穂、美しすぎる存在感に大人たちは夢をみる

エンタメ

出典:連続ドラマW 『賢者の愛』より

父親と憧れの人とを奪った“親友”に、20年かけてひとつの復讐をするヒロイン・真由子。その復讐とは、かつて憧れていた男・諒一と“親友”百合との間に出来た息子・直己を完璧に自分好みの男性に育て上げ、彼の人生を完全に支配することだった……。

 

と、文章にすると、おどろおどろしいホラーにも思えるが、これはWOWOWでオンエア中のドラマ『賢者の愛』のストーリー。このドラマでヒロイン・真由子を演じているのが、中山美穂である。

 

中山美穂……生き馬の目を抜く芸能界で、彼女ほど「パッション」や「自意識」が表に出ない女優も珍しい。何をやっても、どんな役を演じていても、なんとなく、ふわふわっとした印象ばかりが表に出て、そこに演じ手の強い意志のようなものが感じられないのだ。バラエティやクイズ番組にガンガン出て、自ら出演するドラマや映画の宣伝をするイマドキの女優たちとは一線を画す昭和感……何だか逆に新しい。

 

とは言え、彼女も最初からふわふわモードだったワケではなく、ドラマデビューは1985年の『毎度おさわがせします』。10代の少年と少女が“性”に対してはっちゃけた行動に走るこの作品で、中山は“ツッパリ少女”の「のどか」を演じ、ドラマにリンクさせたデビュー曲「C」のヒットによって、中森明菜の後継者=ツッパリ系アイドルとしてその地位を確立……と思いきや、そのすぐ後に『ママはアイドル』で、正統派アイドル路線にシフト。このあたりから、「ミポリン」は“誰からも憧れられるふわふわした存在”として芸能界に君臨していく。

 

 

■ 雨宮塔子や中村江里子、鈴木保奈美とも一線を画す独特の存在感

 

また、ミポリンは私生活も切り売りしない。「やっと会えたね」の決め台詞がきっかけで結婚した辻仁成氏とパリ在住だった頃も「中山美穂のパリ日記」的な発信はほぼなく、これは同時期にパリに住み、ここぞとばかりに「ワタシのお洒落なパリライフ」を公開していた雨宮塔子や中村江里子と一線を画すミステリアスぶりである。

 

そんな中山美穂もいつの間にか46歳。世の中的には“アラフィフ”と呼ばれる域に達したワケだが、相変わらずの浮世離れ感と生活感のなさで独特の雰囲気を醸し出しているのが素晴らしい。前述のドラマ『賢者の愛』でも、湘南のお屋敷に暮らし、仕事は大手出版社の編集部副部長。20歳以上年下の直己とは毎回一流ホテルでワインやシャンパンを空け、逢瀬を重ねるというバブルモード全開のキャラクターを演じているのだが、これが笑っちゃうくらい見事にハマるのである。

 

思うに、現在45歳から50歳くらいまでのR50アラフィフは、“バブルの残り香”を青春時代にギリギリ受け取った世代で、バブル全盛期の先輩たちに比べたら、あの根拠のないポジティブさは持ち合わせていないものの、ゴージャスな世界への憧れはしっかり胸に秘めていたりもする。中山美穂は、そんな世代の潜在的な憧れをふわふわっと美しく体現してくれる、アラフィフ世代の新アイコンなのだ。

 

だから彼女には、同時期にしのぎを削った鈴木保奈美センパイのように、ドラマの中とはいえ、「ホルモン」とか「シニア婚活」とか「閉経」とか、リアルなエイジングが目の前にどどーんとくるような単語は間違っても口にして欲しくない。ミポリンにはいつまでも「腹から声出したことあるんかい!」とツッコみたくなるような、たおやかなハスキーボイスと憂いを秘めた笑顔で、人生の折り返し地点をサクっと過ぎた大人たちに、非日常の夢を魅せ続けて欲しいのである。

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小姑系エンタメライター

上村由紀子

エンタメ系ライター(おもにドラマ・演劇)&ラジオDJ。TBS『マツコの知らない世界』「劇場」案内人、『アカデミーナイトG』出演、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』舞台コメンテーター。「ジャニーズから小劇場...

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