単なるシゴキ? 「新人が電話を取る」会社は“昭和的”なのか

ビジネス

 

私は昨年まで人事系メディアの編集長を務めていました。メディアを立ち上げたのが6月だったので、ちょうど研修が終わった新人が現場に配置される頃。社内の新人は部署に限らず、掛かってくる電話に積極的に出ていました。しかし、「電話が鳴ったら新人が取る」というのは時代遅れかもしれません。

 

 

■「代表電話が鳴ったら新人が取る」は昭和的価値観

 

に、次のような記事がありました。

 

(働き方改革をする上で)最も大事なのは、「昭和的価値観の排除」にほかなりません。これはどんなものを指すかというと、主に以下のようなものがあります。

 

  • (主として)朝9時に全員が出社する
  • 会議には、関連する部門の人は全員出席する
  • 代表電話が鳴ったら若手が取る
  • 社内で相手を「○○部長」など、肩書き付きで呼ぶ

 

いずれも、働き方改革を進める上でプラスになることは極めて少なく、マイナス要因として大いに影響を与える内容です。

 

「代表電話が鳴ったら若手が取る」というのは「昭和的価値観」であり、働き方改革を進める上では障壁となるということですね。しかし、新人に電話を取らせるのは何らかのメリットがあるからなのでは?

 

■新人に電話を取らせることにはメリットがあるが…

 

新人にとって電話を取ることのメリットは、社会人としてのビジネスマナーの基礎を身につけられるということ。また電話応対に前向きに取り組み、先輩に対して「○○さんからお電話です」と元気にハキハキと取り次ぎができれば、同僚からの信頼を勝ち取ることができます。先輩社員にとっては、仕事に前向きな新人は育て甲斐のある存在。先輩が「育ててあげよう」という気持ちを抱きやすく、新人が会社のコミュニティに適応できるきっかけにもなります。社会経験が少ない子でも、「明るく」「元気に」「前向きに」電話に出ることはコミュニケーションの訓練になるのです。

 

ところが、冒頭の記事では新人にだけ電話を取らせることが「昭和的価値観」であると主張しています。新人だけが電話に出ることがなぜ古いのでしょうか?

 

 

■ベテランになっても電話に出るA部長の例

 

ポイントは、新人に「だけ」電話を取らせるのが古いのであって、新人も含め社員全員が電話に出ることは昭和的価値観とは言っていないということです。考えてみれば、若手よりも仕事量が減ったベテランが電話に出ないというのも不思議な話です。事実、私が人事メディアを運営していた際に取材した某社の営業部長は、人に電話を取らせることなく自分で積極的に電話に出ていました。

 

その部長に「なぜ新人に電話を取らせないのですか」と聞いてみたところ、「掛かってくる電話の中には、新規のお客様もいる。自分の成績になるし、新人が取りこぼすこともなくなる」と話していました。電話を掛けてくるお客様にとっては、自社の社員はみな同列ですから、「私は勤続○年だから電話に出なくても良い」と考えるのは間違いだということが言えます。

 

 

■単なる「新人に対するシゴキ」になっていないか

 

そもそも、重要なお客様からの電話に新人だけが出る理由はありません。新人の電話の練習にはなると思いますが、だからといって自分宛の電話をわざわざ新人に取り次ぎさせるのは無駄です。いっそのこと部内のメンバー全員に社用携帯を渡し、お客様からの電話はすべて各々の携帯電話に掛けるようにしたほうが効率的。そうすれば、新人の余計な取り次ぎも無くなります。これこそまさに仕事効率化であり、「働き方改革」です。

 

掛かってくる電話をすべて新人に取らせることは、「社外への非礼があっても新人訓練のためには仕方がない」と言っていることでもあります。もちろん新人に経験させることも大事ですが、このマインドは他社よりも自社を優先するものにつながりかねず、これが積み重なることで結果的には会社の評判を落としてしまうかもしれません。新人に電話を取らせることが単なる「シゴキ」になっていないか、今一度社内の意識改革をしていく必要がありそうです。

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ライター&ブロガー

安齋慎平

1985年福島県生まれ。県立福島高校、東北大学経済学部卒。ライフハッカー[日本版]などのWebメディアや、企業オウンドメディアなどで執筆中。内閣府広報『Highlighting Japan』など官公庁から依頼された記事も担当...

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