フリマサイトに出品される人形たち…「役割」を終えたらどう手放すべきか?

ライフスタイル

大美賀 直子

 

■子どもは人形とのやりとりを通して自立し、成長する

 

幼い子どもが遊ぶおもちゃにはたくさんのものがありますが、なかでも、ぬいぐるみや人形は、幼児が夢中になるおもちゃの定番です。私自身、とても幼い頃にはぬいぐるみや赤ちゃん人形を抱っこして眠っていましたし、小学校低学年頃には「リカちゃん」を使って、暇さえあればままごとをして遊んでいました。

 

このように幼児が人形を大切にするのは、心を自立させるためです。赤ちゃん時代の子どもの心は、お母さんなどの養育者とほぼ一体。しかし、いつまでもそのままの状態ではいられません。そこで、子どもはぬいぐるみややわらかい人形などの温かみを感じられるおもちゃを抱きしめて、お母さんがそばにいない時間の不安を乗り越えて成長していくのです。

 

さらに成長すると、人形を使って人間らしいやりとりを楽しめるようになります。お母さんの真似をして人形を抱っこしたり、ミルクを飲ませたり、ご飯を食べさせたり。あるシーンを設定して、人形を使った「ごっこ遊び」ができるようにもなります。このように人形遊びを通じて、人間らしい感情の表現や社会性を育んでいくのです。

 

 

■人形への思いが薄らいだ時、どのように手放せばいいのか?

 

しかし、かわいがっていた人形への思いも、多くの場合、成長するにつれて薄れていきます。人形より友達との外遊びが楽しくなったり、本やゲーム、スポーツに夢中になるなどして、興味の方向が拡大していくためです。

 

ところで、人形との日常を大切に思うのは、幼い子どもに限ったことではありません。子どもに恵まれなかった方、子どもが成長したことによる喪失体験によって、人形を現実の子どもの代わりとして、慈しむことはよくあるようです。

 

最近では、「リボーンドール」といわれる、とてもリアルな赤ちゃん人形も既製品やオーダーメイドとして購入することができ、こうした人形を慈しむことによって、現実の子どもと接するのと同じような感情を体験、追体験することもできるようです。

 

このようにして長年、人形をそばに置き続ける人がいる一方で、やはり心境の変化やその人の事情によって、人形を必要としなくなる方もいます。役割を終えた人形は、近所の子どもや保育園にもらわれていくなどして、次世代に受け継がれながら大切にされていく場合もあります。しかし、受け継がれる先がない場合、どのようにしたらいいのか、困ってしまうこともあるでしょう。

 

そうした方の中には、必要に思う方に活用してもらおうと、フリーマーケットやリサイクルショップに出される方もいるかもしれません。しかし、その人形の劣化が激しい、また所有していた方の思いがこもっているような人形は、やはり買い手がつきにくい状況になることがあるようです。

 

 

■手放した後に後悔しないよう、自分のいちばん納得する方法を選択する

 

いずれにしても、人は人形に対して単なる「物」とは違う、特別な感情を抱いていることが多いようです。

 

たとえば、大切にしていたペットが亡くなった時には、人が亡くなるときと同じように供養をし、埋葬する人も多くいます。人形は生き物ではありませんが、人の思いが込められたものとして、神社や寺院で供養を行う風習もあります。数にもよりますが、2000円程度から1万円程度まで値段はさまざまです。最近では段ボールに入れて送るだけで、人形供養をしてくれる人形供養代行のサービスもあるようです。

 

役割を終えた人形をどのように捉え、どのような形で手放すのか、正解はありません。手放すのが忍びなくていつまでも手元に置いている人もいますが、それで自分の気が重くなるのなら、納得のいく手放し方を検討する方が心の健康にはプラスになるかもしれません。

 

一時はなくてはいられないほどの心の支えになった物も、心の変化と共にそれを必要としなくなる時が来るのは自然なことです。手放し方に正解がないだけに、自分の心がいちばん納得できる方法を選択するのがベストです。

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大美賀 直子

オールアバウト「ストレス」ガイド。メンタルヘルスの分野を中心に執筆するジャーナリスト、カウンセラー。精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つ。都内私立大学学生相談室カウンセ...

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