ヨーロッパからはどう見える? 日本ならではの「新年度感覚」と「画一主義」

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桜が咲く季節になると、どこの企業も年度末のドタバタに追われ、それが終われば新入社員の入社式。学校関連では卒業に入学と、繁忙ながらも新たな生活に向けて華やぐ季節ですよね。実はヨーロッパでも、この時期にサマータイムが開始されるため、急に日が長くなって誰もが春うららのウキウキ気分になっています。その上、クリスマスに次ぐ重要イベントのイースターを迎えるため、その準備やプレゼント選び、休暇旅行の計画などで、やはり忙しさと楽しさの入り混じった時間を過ごす人が多くなっています。

 

 

■オーストリアにはない新年度感覚

 

しかし私の住むオーストリアには、日本の4月に当たるような新年度感覚はあまり存在しません。会社が決算を迎えるのは12月ですし、学校が始まるのは夏休み明けの9月で、子供の成長や語学習熟度等に合わせて、小学校入学を一年間先延ばしにする選択肢が設けられています。幼稚園も表向きは9月に新園児募集を掲げているものの、実際には五月雨式に新しい子供が続々と入ってくる状態。大学に及んでは、入学時期は9月と2月末の2回ですが、各自の勉強の進捗具合によってテスト日程が決まるため、通年で随時卒業できるシステムです(ただし卒業式のセレモニー自体は年に4回)。

 

 

■自己責任!? 自由すぎる オーストリアの就活事情

 

上記のような理由から、オーストリアには日本のように決められた新卒の就職活動・入社時期といったものが存在せず、企業側も新卒・既卒混合での通年募集をかけています。そればかりか、高校卒業後に一度働いてから再び学業の道に戻る人もいますし、大学にいたっては在学期限が設けられていないため生涯学生を貫く強者もいます。

 

他にも、高校や大学卒業後に数か月~数年の間、世界各国を旅行して見識を広めようとする人も少数ではありませんし、そういった個々の生き方に異議を唱えるような社会的風潮も存在しません。自由の代償として、自己責任という言葉が自らの双肩にのし掛かかるものの、こうした意味では、日本と比べてかなりフレキシブルな人生設計をすることが可能です。

 

 

■「集団>個人」があらゆる場所で浸透している日本社会

 

それに対して、日本社会は何事においても“集団行動・一律行動”が前提にあるため、少々窮屈な面があるのは事実。画一的な就職活動や入社時期に始まり、学校の朝礼や修学旅行先で、規律を守るべくビシッと整列させられたり、各家庭の事情などそっちのけで、幼稚園の登園時刻まで正確に定められていたり……。「集団>>>>>個人」といった図式が社会のあらゆる場所に見て取れます。そのため、人とちょっと違うことをしたり、集団からはみ出る行為に及んだだけで叱責を受けたり、異端児のレッテルを貼られてしまう面は否定できないところです。

 

 

■一方で世界では評価される日本の集団主義

 

「自由度の高い海外生活をひと度知ってしまうと、なかなか日本には戻りにくい」と口にする人が多いのも事実ですが、しかしそんな画一的で堅苦しい日本社会や日本人のサガは、裏を返せば美徳であり、世界では高い評価を受けているのも事実。

 

例えば、かつて私がエアラインに在籍していた折、乗務訓練の教官だった男性(イギリス人とオーストリア人のハーフ)が「日本人は指示もしないうちに、みんな自分の座席に秩序だって着席するうえ、シートベルトまできっちり締めてくれる。これほどよく教育されている国民は他に類を見ない!」といたく称賛していました。その他にも、日本に展開するチェーン店などでは業界にかかわらず、全国どこのショップに行っても同じサービスや対応を受けることができます。

 

国内にずっといるとこれを普通に感じてしまいますが、海外では良くも悪くもかなりの部分が個人の采配に任されているため、店員の対応には大きな当たり外れがあるのが事実です。

 

こうして見てみると、どこの国にもそれぞれ際立った特徴があることが窺えます。もし日本で生活する中でたびたび息苦しさを感じるようであれば、しばらく他の国々を訪れてみて、「自分の気質と合っているな」と感じられるようなカルチャーを探してみるのも一計かもしれませんね。

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ライジンガー 真樹

All About「オーストリア」ガイド、ダイアモンド社 地球の歩き方「ウィーン特派員」。 ウィーン移住をきっかけに、オーストリアの歴史・文化・グルメなどの魅力を日本の人々にも伝えたいと願い、CA乗務の傍ら旅行...

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