群馬と岐阜が暑いのは、東京と名古屋を走る「エンジン車」のせい!?

車・交通

 

羽田空港の滑走路に穴が開き、飛行機が4時間にわたって欠航するという出来事があった。原因は最近の猛暑によってアスファルトの中の水分が膨張し、構造がもろくなったためだという。今回の猛暑が尋常ではないレベルであることを示した実例のひとつかもしれない。

 

東京都心の最高気温はこの原稿を書いている時点で35度レベルに留まっているものの、気温とは空気の温度であり、気象庁では地面から1.5mの高さで、直射日光が当たらない構造の温度計が計測しているという。日差しが照りつける地表ははるかに温度が高く、土よりアスファルトのほうが高温になりやすいことは多くの人が想像できるはず。ちなみに後者の場合は日本でも60度を超えることがあるという。

 

でも鉄道の線路や道路のセンターラインが熱によって曲がってしまったというニュースは、最近はあまり耳にしない。おそらく線路や道路は猛暑に備えた対策を考えており、今のところ功を奏しているということなのだろう。空港の滑走路も対策が進めば今回のような事態はなくなるだろう。

 

 

■直射日光が当たらないトンネルが暑い理由

 

一方都市部のアーケードなどで最近良く見るようになってきた暑さ対策がミストだ。頭上から細かい霧を人工的に吹き出すというもので、真下にいると濡れずに涼しさを感じることができる。打ち水によって涼を取るという風習がハイテク化したような感じだ。東京周辺でクルマに乗ることが多い人は、首都高速道路中央環状線の山手トンネルにもミストが設置されていることを知っているだろう。

 

筆者はモーターサイクルも乗るので、何度かライダーとして山手トンネルを通過したことがあるが、冬は暖かくてありがたい反面、夏は潜った瞬間に熱気に襲われて気分が悪くなりそうだった。たまたま今日、クルマで山手トンネルに入ったら、車載温度計の数字が5度以上アップした。

 

でも山手トンネルは直射日光は当たらないし、地下深くを通っているから地表の熱もそれほど伝わらないと想像できる。同じ東京の地下鉄は、昔は駅だけでなくトンネル全体に冷房を設置していたが、車両の冷房率が100%となった現在は逆にトンネル冷房は廃止している。それでも涼しすぎるほど涼しい。

 

なぜ地下鉄のトンネルは暑くならないのに高速道路のトンネルは暑くなるのか。やはり車両が発生する熱が大きいのだろう。今の自動車の多くはエンジンを積んでいる。多くのエンジンは水冷で、水を冷やすためにラジエターを使っている。ラジエターは熱交換器の一種であり、空気によってラジエターの水が冷やされることでエンジンを適温に保つ。交換した熱気はもちろん車外に排出される。そこがトンネルならトンネル内に籠もることになる。温度が高くなるのは当然だ。

 

地下鉄のトンネルも昔は暑かった。電車は減速時にはモーターを発電機として活用し、発生した電気を架線に戻す回生ブレーキが一般的だが、回生ブレーキの技術が確立される前は、抵抗器を使って熱として排出していた。回生ブレーキが実用化されたので、トンネル冷房がなくなったという理由もあるようだ。

 

同じ理屈が電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)にも当てはまる。山手トンネルの走るすべての自動車がEVやFCVになったら、温度はぐんと下がるはず。多くの自動車メーカーが電動化車両の一部としているプラグインハイブリット車(PHV)は、電気がなくなれば発電のためにエンジンを回すことになるけれど、渋滞していなければ熱の発散は防げる。

 

こうして考えると地球温暖化とは別の理由で、都市部の自動車は電動化したほうが良いのではないかという気持ちになる。東京や名古屋、大阪などの大都市のためだけでなく、周辺地域のことも考えて。

 

毎年夏に高温を記録するのは前述の大都市ではなく、埼玉・群馬・岐阜県などの都市だ。大都市で発生した熱が南風で運ばれ、この地域に溜まるためだという。こうした地域の人々が少しでも快適な夏を過ごすためにも、大都市の人々はエンジン車の利用を控えるべきではないかという気がしている。

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モビリティジャーナリスト

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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