『ザ・ノンフィクション』で話題に! 結婚はしないけど、産みたい。「非婚出産」を選んだ理由

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『ふつうの非婚出産 シングルマザー、新しい「かぞく」を生きる』(櫨畑敦子/イースト・プレス)

今年、上半期の大きな話題といえばカンヌ映画祭で是枝裕和監督の『万引き家族』がパルムドールを受賞したことだろう。国内でも映画は大ヒット。親子で万引きする底辺家族の暮らしは論争を巻き起こしたが、一方で必ずしも「血縁関係」をベースにしない一家の幸せそうな姿に「家族って何だろう?」と考えた人も多かったのではないだろうか。

 

高度成長期以来、日本では「夫が働き妻は専業主婦、子ども2人の4人世帯」を家計調査などで「標準世帯」としてきた。無意識に自分の理想もこれにあてはめていた方もいるのではないだろうか。だが少子高齢化が進む現在、こうした世帯はもはや日本の総世帯数の5%以下。現在は無業または有業の一人世帯が3割超と圧倒的で、婚姻等を介した複数メンバーによる家族がメインではない(大和総研調べ)。一般的な家族像なんて、すでに空中分解しているのだ。

 

さきごろ出版された(櫨畑敦子/イースト・プレス)は、そんな時代の中で家族像を考えるきっかけになる興味深い一冊。帯にはまさに「かぞくって何だろう。」の文字が躍る。

 

著者の櫨畑敦子さんは、「子どもがほしいけれど結婚はしない」という積極的非婚出産を選択したシングルマザーの女性。2017年秋に長女のひかりさんを出産し、現在は大阪市内の路地にある古い長屋で友人たちと助け合いながら育児をしている。『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)で彼女とひかりさんの遺伝子上のお父さん・翔平さんの姿が紹介され話題にもなった。

 

本によれば幼い頃から集団生活に馴染めなかった櫨畑さんは、保育園時代から高校まで常に「問題児」であり、ひたすら違和感や怒り、悲しみなどの感情にふりまわされ、母親にも否定される絶望の日々を送っていたという。

 

だが卒業後、組織社会を離れ自由な生き方を選択するさまざまな個人から影響を受け、家でも学校でも(会社でも)ない居場所=「サードプレイス」の概念を知って試行錯誤を重ねる。自宅の一部を交流の場にした「住み開き」を実践したり、応援してもらうことで力を得るために自分のファンクラブを作ったり、仲間と共に行商屋をはじめたり、SNSを利用して積極的に「個人」で繋がる生き方に挑戦してきた。

 

そんな中で持つようになったのが「子どもを産んで仲間と育てたい」という感情。実は男性と2人だけで向き合うと辛くなってしまう櫨畑さんは、「結婚」という形式で家族を閉じるのではなく、多くの仲間と助け合いながら開かれた「かぞく」で育児をしていきたいと考えた。そのため精子提供者を求めて奮闘し(ゲイカップルと人工授精したり契約結婚したりさまざまに挑戦したが失敗)、ついに翔平さんと出会ったのだ。

 

考えてみれば、まだまだ日本では妊娠と結婚はセットで当たり前であり、血縁者で作る家族が一般的だと考えられている。だが、実際には子を持つ同性愛カップルがいたり、養子縁組の家族がいたり、共同保育するシングルマザーたちがいたり、新しい家族の形を実践している方も多い。櫨畑さんはそうした方々に話を聞き、自らの理想の「かぞく」の作り方の参考にしていった。

 

具体的な実践については本書を読んでいただくとして、確実に言えることは自らが決断し勇気を持って実行すれば、今はこうした従来の枠を超えた選択も可能な時代だということ。さらに生きづらさや孤独で絶望する前に、SNSなどで応えてくれる誰かと繋がれる希望があるということ。もちろん賛否両論はあるだろう。だが、こうした櫨畑さんの実践にきっと救われる人もいるのだと思う。

 

文:荒井理恵

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