ツッコミもあるあるネタも日本だけ!? 外国人漫才師が説く、日本のお笑いのレベルが高い理由

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『世にも奇妙なニッポンのお笑い』(チャド・マレーン/NHK出版)

今やM-1グランプリは、師走の風物詩。だが、その闘いが始まるのは今、真夏だ。今年も4000組前後のコンビが8月1日から各地で始まる長い闘いに身を投じる。優勝者だけでなく、ファイナリストもこれを機にブレイクすることがあるM-1は、まさにお笑いのジャパニーズ・ドリーム。だからこそ、練り込まれたネタは確かに面白くて、ときには巧みなオチに感動すら覚えるほど。こんなに楽しいものはないだろうと思いながら、毎年ヒイヒイ笑っている。

 

とはいえ、「日本のお笑いは世界一、おもしろい」といわれたら、「いやいや」とカブリを振りたくなる。どこでどう笑うかなんて文化の違いによるところが大きいだろうし、そもそも比べるものでもないような気がする。だが、ホームステイを機に日本のお笑いにどっぷりハマり、外国人漫才師として20年も活躍し続けてきた、オーストラリア出身の漫才師チャド・マレーンの言葉なら、「そうなの?」とちょっと耳を傾けたくなる。日本人として忖度する気持ちを持ちつつも、その発言の根拠が気になるところ。

 

彼の芸人人生とお笑いに対するアツい情熱を語った(チャド・マレーン/NHK出版)を読むと、外国人が日本のお笑いをそんなに愛してくれるなんてと、素直に嬉しくなってしまった。それだけでなく、お笑いを論理的に捉えた鋭い考察に唸らされて面白い。

 

まず彼が指摘するのは、海外の笑いはクスッと笑えるのに対して、日本は声を出して笑えるということ。その違いは何かといえば、ツッコミの有無だ。海外は一人で舞台に立ってしゃべりまくるスタンダップ・コメディが主流。皮肉っぽかったり、斜に構えたり、ストレートな笑いにはならないという。一方で、日本はコンビ芸が多く、常識人であるツッコミが笑いを回収してくれるため、ボケはいくらでもボケられる。笑いの可能性を広げられると分析する。

 

確かに、一人でボケられまくっては、意味がわからず置いてけぼりをくらってポカーンとしてしまうだろう。ツッコミが適切にツッコんでくれたとき、私たちは笑っていることに気付く。そして、ツッコむ内容やそのタイミングがちょっとズレたときほど気持ち悪いことはなかったりして。ちなみに、笑いどころを教えてくれる笑い声の効果音は、ツッコミと同じ役割を果たしているらしい。

 

また、圧倒的な芸人の数もお笑いの面白さを支えているという。当然、競争は激化するから、テレビに出られるのは厳しい闘いを制してのし上がってきた人たちということになる。それだけでなく、他人と差を付ける芸が磨かれるため、落語に漫談、漫才、コント、新喜劇、一発ギャグなど、バラエティに富んだジャンルが日本のお笑いを面白くしていると考察する。

 

「ラッスンゴレライ」や「ラララライ体操」など、流行り廃りが早くて危険と警鐘が鳴らされるリズムネタだが、これに近い「ペンパイナッポーアッポーペン」が世界で大ブレイクしたのもまた事実。日本ではまだ知名度の低い芸人が海外に出てネタを披露して、大ウケしたという話も聞く。芸人たちがしのぎを削って生み出したネタは、確かにじわじわと世界を席巻している。文化の違いがあるからどこまで響くかわからないけれど、高度に発達した技によって研ぎ澄まされた武器を日本のお笑いはたくさん所持するのだ。

 

アニメ、ドラマに映画、スポーツ、日本料理など、世界と友好な関係を結べる文化はほかにもいっぱいあるけれど、ひとつのものを見て一緒に笑えたら、それは最高の手段だろう。何より、世界から笑いをとれるってめちゃめちゃ気持ちよさそうだ。謙遜を美徳とする日本だが、ここはひとつ調子に乗ってみてもいいかも。お笑いを愛する日本人としては、世界がドカンとウケる様子を横からニヤニヤしながら見てみたい。

 

文:林らいみ

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