「申し訳ございません」を繰り返すのはNG! 対人トラブルを回避する、とっさのときの大人の応対

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『ワンランク上の「接客交渉術」』(宮田寿志/ぱる出版)

クレーマーの中で悪質な手合を「モンスタークレーマー」と呼ぶが、クレームの原語からすると意味が通らない。本来のクレームとは、契約上あるいは法律上の正当な要求のことを指すのだから、それを超えての要求は言いがかりか理不尽な脅迫でしかない。

 

モンスタークレーマーを言い換えるのなら、トラブルを起こす人という意味でトラベラーと呼ぶのはどうか。などと場を和ませようとして自分の無知をさらけ出し、より深みにハマってしまうのがどうにも申し訳ない限り。

 

しかし、この「申し訳ございません」を安易に使うのは避けたほうが良いと、『ワンランク上の「接客交渉術」』(宮田寿志/ぱる出版)では繰り返し説いている。

 

本書は、クレーマー撃退とかクレーマーを一発で黙らせるといった内容ではない。面倒くさい交渉術に特化した本だ。そして、交渉するにはまず相手のことを知らなければならず、人間は十人十色であるから、どんな人に出逢うかは神のみぞ知るというもの。

 

そこで著者は、相手が発する言葉を三つの分類に落とし込めば対処しやすくなるとしている。

 

一つは「言い分」、つまりは相手の主張だ。ここには多分に感情が込められているため、そこで反論してしまうと泥沼に陥ってしまうので特に気をつけて聞き役に徹しなければならない。

次に「質問」で、これは起きている事象の原因や疑問点であり、相手の要求に必ずしも応えられない場合、納得してもらえる点を探るのに参考となる。

そして三つ目は「要望」であり、それが具体的な要求でもあるから、着地点を見つけるのに重要なのは当然のこと。

さらに相手の言葉を聞くときの初歩的なテクニックとしては、「共感」が挙げられている。

 

サービスや商品の状態などが期待しているとおりでなかったことに対する怒りや哀しみといった感情が相手にはあるのだから、そこに共感してみせることで、話を聞いている態度を強調するのだ。

 

これを、はじめから対応することを拒否するかのように「申し訳ございません」と謝ったり、先に対策を提案したりしてしまうと、まずはこちらに感情をぶつけたい相手にしてみたら不完全燃焼のように気持ちが悪く、かえって怒りを爆発させてしまいかねない。

 

また、自分が権限のある役職でなければ安易に提案できない場合もあるだろう。そういうときには上司に対応を相談するわけだけれど、どうしても相手の要求を断らなければならないということもある。

 

その場合には、「お願い」するのではなく「懇願」するのが良いそうだ。特に日本においては「判官贔屓(ほうがんびいき)」という言葉があるくらいで、弱い立場の人に同情することが気持ち良さにつながるからである。

 

しかし読者の中には、「なんでそこまでお客さまにペコペコしなきゃならないの?」と疑問に思う向きもあるだろう。「お客様は神様」の精神の悪習と非難する人もいるかも知れない。そんな疑問に対して著者は、「自分が損をしないため」と率直に述べている。面倒くさいと思って「申し訳ございません」で流そうとすると、余計に面倒くさいことになるという次第だ。

 

なにしろ著者は「お客さまはお金さま」と考え、対応するのは自分自身ではなく「店員という着ぐるみ」をかぶっているくらいのつもりで演技をするよう勧めている。一見ドライ過ぎる考え方だが、誰しも「自分の非を認めたがらない」ものであるし、「そもそも接客の目的はお客さまに非を認めさせることでもありません」というのはそのとおりで、打ち負かす必要は無く、友達になる必要が無いとの同じくらい、敵対する必要も無い。

 

たとえ接客業をしていなくても、ご近所さんとのトラブルや通りすがりの人とモメたり仕事上で謝罪したりしなければならない場面は誰にでもあること。面倒くさいから謝っておこうと済ませるよりも、交渉術を身につけて対人トラブルに備えておくのが良いだろう。

 

文=清水銀嶺

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