来年、強豪レッドブルとタッグを組むホンダF1。今度こそ期待できる?

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気の早い話だが、2019年のホンダF1に期待である。ホンダは6月19日に、2019年からレッドブル・レーシングにパワーユニットを供給すると発表した。2年契約だ。ホンダはすでに、レッドブル・グループ傘下のスクーデリア・トロロッソと2018年から3年間のパワーユニット供給計画を結んでいる。つまり、2018年はトロロッソへ単独供給。2019年と2020年はレッドブルとトロロッソへの2チーム供給となる。


レッドブル、トロロッソの両チームに対して2020年までの供給契約としているのは、2021年にパワーユニットに関するレギュレーションが大幅に変更されるのと関連している。レギュレーション変更のタイミングは、新規メーカー/コンストラクターが参入するチャンスだ。ポルシェがF1に復帰するのではというウワサもある。その場合、レッドブルをパートナーに選ぶ、いやいや買収してワークス参戦するという話まである(とりあえず、眉につばをつけて聞いておきたい)。

 

 

■ワークスチームとプライベートチーム

 

今年からホンダがパワーユニットを供給しているトロロッソは、レッドブルの姉妹チーム。本家レッドブルとは違い、明るいブルーのカラーリングを採用する


いずれにしても、ホンダはまたとない強力なパートナーを得たことになる。レッドブルはトップ3に君臨するチームだ。2018年のポイントランキングを見てみると、前半12戦(全21戦)を終えたところで、メルセデスがトップ、フェラーリが2番手で、3番目にレッドブルがつけている。メルセデスとフェラーリは、パワーユニットとシャシーをひとつ屋根の下で開発するワークスチーム。パワーユニットはシャシーの都合に合わせ、シャシーはパワーユニットの都合に合わせて開発することができる。


一方、レッドブルはプライベートチームだ。シャシーは自分たちが独自に開発するが、パワーユニットは専業メーカーが開発したものを供給してもらわなければならない。現在はルノーが開発したパワーユニットを搭載している。


レッドブルにとってはありがたくないことに、ルノーは2016年にワークスチームとしての復帰を果たした。それまではレッドブルをワークス待遇に位置づけてパワーユニットを開発していたが、2016年以降は自分たちのチームが最優先となり、レッドブルはカスタマー扱いに格下げとなった。

 

6月19日に、ホンダは2019年からレッドブル・レーシングにパワーユニットを供給すると発表した


メルセデスとフェラーリのワークスチームがランキング上位を独占していることが示すように、現代F1でトップを目指すにはワークスチーム、あるいはワークス待遇が不可欠である。現時点でランキング4位のルノーも、メルセデス、フェラーリ、レッドブルが占めるトップ3の一角を崩すべく開発に取り組んでいる。レッドブルが活躍してくれるのはパワーユニット供給元としては歓迎すべきだが、心境としては複雑だ。


レッドブルとしても自分たちに対して優先的にパワーユニットを開発してくれないのはおもしろくない。トップに返り咲くためにも、自分たちのために優先的にパワーユニットを開発してくれるパートナーと組みたい。


それがホンダというわけだ。厳密に言えば、ホンダが優先すべきは先に供給契約を結んだトロロッソである。好結果を手に入れたいホンダにとっても、本音を言えばレッドブルを優先してパワーユニットを開発したいところだろう。だが、表向きはレッドブルを優先するわけにはいかない。6月19日に発行したプレスリリースでは、トロロッソとレッドブルの2チームに対して「同一仕様のパワーユニットを同じ体制で供給する」と記している。

 

 

■もうホンダは言い訳できない…

 

トロロッソとパートナーを組んだ2018年シーズンは、前半戦を終えたところでランキング8位


2015年にホンダがパワーユニットサプライヤーとしてF1に復帰した際、パートナーに選んだのはマクラーレンだった。アイルトン・セナとアラン・プロストを擁した1988年にはマクラーレン・ホンダで16戦15勝を挙げ、F1を完全に支配した。


その栄光を再び、の意気込みで復活したパートナーシップだったが、不発に終わった。ホンダと組む前の年、2014年のマクラーレン(メルセデス製エンジンを搭載)はランキング5位であり、強さに陰りが見えていた。ホンダはホンダで80年代後半から90年代初頭にかけてF1を席巻したほどの力はなく、2015年から17年のマクラーレン・ホンダはまったくの下位チームとしてシーズンを過ごした。


実戦で揉まれるなかで、ホンダは着実に力をつけた。トロロッソとパートナーを組んだ2018年シーズンは、前半戦を終えたところでランキング8位につけている。上位との差は歴然としているが、歯車がかみ合ったグランプリでは好成績に結びつけることがあり、第2戦バーレーンでピエール・ガスリーが記録した4位がこれまでの最上位だ。


一方、ランキング3位のレッドブルは前半の12戦を終え、ダニエル・リカルドの2勝とマックス・フェルスタッペンの1勝で3勝を挙げている(メルセデス5勝、フェラーリ4勝)。その強豪レッドブルが来年はホンダのパワーユニットを搭載するのだから、いやがうえにも期待は高まるというものだ。


別の見方をすると、ホンダは勝って当たり前のチームと組むことになり、言い訳のできない(シャシーやレースオペレーションのせいにできない)シーズンに臨むことになる。これまで以上に真価が問われるということだ。優勝しか期待していないが。
 

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モータリングライター&エディター

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『トヨタ ル・マン...

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