実は“無駄が多い”SUV、それでも人気が続く理由とは?

車・交通

 

Q:SUVが人気ですよね。各社立て続けに新型を発表してるようです。それにしても、立体駐車場にも入らない、こんなデカいクルマが人気なのはどうしてなのでしょうか?(東京都42歳男性)

 

A:もともとSUVというのは、とくに北米では必要に迫られて愛用する層が存在しました。それが、トラックがベースではなく乗用車のプラットフォームをベースとした快適性の高いSUVが登場したことで、状況が一変しました。それが今から20年ほど前の話で、いまやSUVはすっかり人気カテゴリーとなりました。

 

当初は“SUVイコール高級”といったイメージもありましたが、それがどんどん下のクラスまで波及して、現在では多くのメーカーが大、中、小サイズのSUVをラインアップしています。少し前までSUVというのは、ちょっと特殊なカテゴリーという印象もありましたが、いまやすっかり一般化しました。

 

2016年春(※本稿執筆時)現在、唯一、世界中で伸長しているカテゴリーと言われています。その理由は、地域によってそれぞれですが、海外では実際に生活に根差したモデルとしてもてはやされています。

 

悪路とはいわないまでも、未舗装路を走る機会が多いとか、休日にオートキャンプに出掛けるとか、実際にSUVの機能が役に立つ状況で使われています。それは北米でも、開発途上国でも似たような状況です。開発途上国では、これまでセダンタイプでも、未舗装路を走りやすいように、車高をやや高めにした、ちょっと不格好なクルマが多かったのですが、これがSUVになると、見た目にはまったくハンデにならないというのも人気の要因です。

 

では日本ではどうか? むろん降雪地に住んでいたり、ウィンターレジャーをたしなむユーザーでSUVが役に立っているという人も大勢いると思われますが、そうではない人にもSUVが人気なのは、ファッションとして、でしょう。

 

一般的なステーションワゴンやハッチバックを買うよりも、大径タイヤを履き、たくましい雰囲気にデコレーションしたSUVというのは、見た目に付加価値を感じさせます。いわば、「便利に使えるスペシャルティカー」として人気があるわけです。

 

立体駐車場に入らないことから、購入を躊躇する人は、今でもいると思われますが、自動車販売のボリュームゾーンがミニバンやSUVにシフトしてきたことに配慮してか、最近のショッピングセンターや高級マンションなどの駐車場は、車高が高く、車幅の広いクルマにも対応しているケースも多いそう。

 

SUVの人気は、すっかり定着したといえそうです。たとえば車高が高いほど税金が多く課されるとか世の中の仕組みが大きく変わらないと、今後もこの流れは当分続いていくと思われます。ただし、SUVというのは、クルマとして見るともっとも無駄の多いパッケージングでもあり、とくに走りについては、舗装路を走る上では何の取り得もないクルマといえます。

 

サイズのわりに室内空間や荷室が広く確保できるわけでもないし、車高が高めで、大きなタイヤを履けば、重心が高くバネ下が重くなるので、燃費はもちろん、走りや乗り心地も車高の低いふつうのクルマに対して劣ります。そのあたりに気づいて、SUVを買うのはやめようと思う人も増えるかもしれませんが、ごく一部でしょう。やっぱり、見た目のよさは何物にも変えがたい魅力ですよね。

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モータージャーナリスト

岡本 幸一郎

1968年5月、富山県生まれ。 学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。 カテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅す...

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